魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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11章 魔法少女と精霊の森

328話 魔法少女は遭遇する

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 私は重力操作により、空中に浮いていた。私の前にいる機械のような何かの生命体のような、謎の物体(アレと呼ぼう)が同じくフヨフヨしていた。

「ちょ、えっ!?何っ、何する気?」
そう言った時、目の前のアレが、腕を伸ばした。それだけならまだいい。その腕が、肘みたいな関節の手前あたりでパックリと折れ、断面……というか空洞が見えた。

 ……オーケーオーケー、冷静になろうじゃないか。穴の空いている腕の断面から出るものと言ったらなーんだ?

 1.弾丸
 2.ミサイル
 3.ビーム

 ギュウィィィィン、ガシャガシャガシャ………

 これはやばい。
 そう感じた私は、重力操作を解き、全力で逃げた。たとえ、「った……なんだよホント……」というギリシスの声が聞こえてきても、たとえ、キュィー、っていう音が響いてきても。

「どうにかして!ケアー!」
ある程度離れたところで振り返る。そう叫んだ途端、目の前に閃光が走る。小型の箱が、空中高速展開し、小型ガトリング付きミサイルになり、緑色をした光の尾を引きながらご丁寧に黄色の光を撒き散らす弾丸までセットだ。

 私のために、犠牲になってもらおう!

 ギリシス達の顔、みるみるうちに青ざめていく。腰でも抜かしたのか立ち上がれないようで、私の方を振り返り、そう数秒経たずでやってくるであろう狂気に指を向けた。

「おいあれ、なんだよ?」
「あれ、なんでしょう?」
「あれ、なんだい?」
ほぼ同時だった。この場に気づいた人はいないだろうけど、もう1つ音が重なる。何かが落下してくる音。そして、それは訪れる。

 ま、ミサイルとかの作り方知りたいけど、そんな余裕はないしね。魔法が効かないんだし。
 とりあえず……真正面から、吹っ飛ばす。

 ドガァッッッ!!!

 ギリシス達の目の前。死ぬか死なないかの瀬戸際の辺りに着弾したのは、継ぎ接ぎし、魔法加工した先端の尖った核石の塊。空間伸縮を限界まで伸ばして脈の捻りを加えたそれを設置、解除し加速。
 半自由落下のメテオが、龍神の銀炎すら破壊してみせたそれが、ミサイルや銃弾を吹き飛ばし、周囲にクレーターを作った。

「おいあれ、なんだよ?」
「あれ、なんでしょう?」
「あれ、なんだい?」
見事に、バグった。私は、ローブのフードが外れて頭部が露わにすることで風圧で吹き飛びそうになった3人を重力操作で押し留めた。私の働きに感謝してほしい。

 よしっ、破壊完了!じゃあ第2撃、行きますっ!

 ドガァッッッ!!!

 感情なんてなさそうなアレが、唖然としていた最中にもう1度降ってきた。もちろん、どでかいクレーターが出現した。

「ふぅ、掃滅完了!」

「おいあれ、なんだよ?」
「あれ、なんでしょう?」
「あれ、なんだい?」

「いい加減バグるのやめて?」
クレーターが2つに、バグ人間3人、本物のバグ人間1人、超絶シュールな光景が広がっていたに違いない。

 でも、一体なんだったんだろう、あれ。どっからどう見てもこの世のものとは思えないんだけど。
 自然すら生み出せるようになった化学世界が作った超次元殺戮兵器にしか見えないんだけど。

 壊れたおもちゃみたいになった3人を放っておき、後から空いた穴を覗き込む。
 黒い棒が突き刺さってるのは言うまでもなく、ステッキで回収しておく。片手が無いため、降りる時の傾斜でバランスが取りにくかった。

 力技で飛び降りたけど。

「消滅まではしてない、と。一体どんな素材なのやら……純粋な高火力でしかどうにもなんないのかぁ…… 」
ぺっちゃりと薄くなったその金属みたいなものを摘むと、どこからか羽音が聞こえてきた気がした。

「……ん?万能感知に反応?」
ぶーん、ぶーん、耳元でぐるぐると何かが動き回ってる音がする。夏に出てくる悪魔、人の血を吸い、痒みを引き起こす虫……

「ていやぁっ!」
「なにすんのぉ!?」
音の聞こえた方へ全力のパチンッ!しかし狙いは外れたようで、その真隣でモヤが晴れるように蛍光色の羽の生えた緑と黄色の妖精?精霊?が現れた。頭に、アホ毛的な二等辺三角形があったのも、特徴だ。

「って、あぁぁぁぁぁぁ!わたしのっ、わたしの試作号バージョン3がぁっ!?」
「2と1もあるんだ。」
「これ、あんたがっ、あんたがやったってんのぉ!?わたしが復讐してやるわ!」
と思ったら、プンスカと怒りマークがびっしりつくほどに両手両足をブンブン振り回してた。

 ってかこれ作ったの、この人(?)なの?
 いや、この種族がこれで子供が大人かなんて分からないからどうとも言えないけど、この人が、ねぇ。

「なに?不満?このわたしが、このスーパーへカートVⅡ試作号バージョン3の製作者が!」
「なんも言ってないって。そもそもⅦなのか3なのかどっちかにしたら?」
「無理よ。」
仁王立ち的な感じで、顔を上に傾けて、なぜかドヤ顔った。

 あー、どうせ「スーパーへカートⅦ3は誰がなんと言おうと~」ってやつでしょ。

「この子はスーパーへカートⅦ3なんだもの、スーパーへカートⅦ3だわ!そもそも『Ⅶ』『3』じゃなくて『Ⅴ』『Ⅱ』『3』よ!」
「もっと意味分からなかった!」
「なによ!そもそも、あんたさっきからなんなの?大体、高貴な精霊様にそんな言い種ないんじゃ無いの?」
「やっぱ精霊なのね……って違う!精霊に関してもツッコみたいけどとりあえず違う!」
なんとかこの精霊を取り乱す3人のところまで連れて行き、話を聞くという流れになった。

 間違っても、イラついてぶちのめしたりだけはしないよう気をつけようと思った。
 この手の精霊は、大抵ウザいものだから。

「おーい起きてー。起きないとあのメテオ、順番に落としていくよ。はい、さーんにーいち……」
「なんだ?なんか用か?」
「あ、ようやく起きた。」
残りの2人も、似たような方法で起こした。さすが悪魔、声だけでとはやべぇな、そんな声も聞こえてくる。精霊は、「魔族レベルの非道さね……」と中は呆れていた。

 私は私のやり方で。イッツ魔法少女クオリティー。但し、それが優しいとは限らない。

「……で、んだよこのふわふわ。」
「ふわふわ言うな!わたしはフランベールよ!」
「名前もふわふわしてんじゃん、フランベール。天才科学者よ!」
「すごいですねー。」
ナリアが、ゆっくりパチパチと手を叩いた。目が死んでる気がする。

「フランベール……東○かい。特徴は何ひとつ噛み合ってないけど。」
「なにか酷いこと言われた気がする!なんだってんの!わたしはすごいのよ?」
「そう言うからすごく感じないんだよねぇ。あんなの作るから、実際凄いんだろうけど。」

「そうよそうよー!すごいのy」
「うっさい。」
目の前をうろちょろ飛び回る精霊に魔法少女チョップを喰らわした。頭を抑えて、涙目でまた怒り出した。

 忙しいね、顔面。

「こう見えても、わたし、精霊の森でも高い地位なのよ!本当よ!」
「精霊の森だぁ?どこだよ、そこ。」
「御伽噺ですか?」

「ちっがぁぁう!あるのよ、精霊の森!」
ギリシスの顔に接近し、甲高い声で騒ぎまくる。ギリシスは圧倒的鬱陶しさに顔を顰めて耳を閉じてる。

「なら連れてってあげるわよ!そしたら本当だって信じなさい!」
「ちょろ。」
「なんか言ったぁ?」
「ナンデモナイデス。」
ということで、なぜか精霊の森に行くことになった。私も行きたかったといえば行きたかったから、結果オーライ(?)

 というか、人間が行ってもいいの?精霊の森とか。大抵、何か守りとかある感じじゃないの?

 まぁ、細かいことはいっか。

「そうと決まればさっさと行くわ~!準備しなさい!」
「ノリ高ぇな、おい。」
「いいじゃん、なんか面白そう。」
「興味深くはありますね。」
精霊はふんふんと鼻歌を鳴らし、3人の声は遮断されたように聞こえていなかった。

 異色のパーティーだね。

「じゃあ、行くわよ。精霊の森。」
その瞬間、私の意識は刈り取られた。その後の記憶は、薄くなって思い出せなかった。

———————————————————————

 なぜかめっちゃ時間かかりました。執筆にこんな時間かかるの久しぶりですね。何が理由なんでしょう?
 ぼっち・○・ろっくをながら見していたからでしょうか?某A○emaで見ていたからでしょうか?

 一体なんなのでしょう。(反省なし)
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