魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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10章 魔法少女と王都訪問

315話 魔法少女は断固拒否

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 こんにちは、こんばんは。おはようございますの方もいらっしゃるでしょうか?空です。

 現在謁見室。横にフィリオがソファに腰掛け、豪華なテーブルを挟んで前に国王でございまする。

「冒険者ソラ、指名依頼だ。この国のためにも、お主らの大切な人のためにも、受けてくれ。……悪魔討伐の任を与える。」
国王が口を開いた。厳かな雰囲気、更にフィリオの眼圧が迫る。

 これぞ、思い描いてたテンプレ。これぞ、私が通りたくなかった未来ぃっ!

「ア、ハイ。」
受けて、しまった。

 こうなったのには、訳があるだよ……

 そうして私は、こんなことになってしまった発端を少し前から回想することにした。


 ライから薬をもらった後。少しだけ体調は良くなった気がする。そんな中でフィリオの後を追いかけていた。

「で、なんでフィリオは城に?」
「諸々の報告や状況のことだ。……まぁ、それは今は関係ない。今回は、現在起こっている森での魔力の活性化、それが話の中心だ。」
「え……なんか長くなりそう。」
頭の中に赤カーペットとそこに続く階段の先の高台、何故か1つ置いてある豪華な椅子に迫力を持って座る王様が浮かぶ。

「お前が思っているようなところではないぞ。」
「心読むのやめてもらっていい?」

「大事な話し合いはそれ専用の会談室がある。そこを通常謁見室といい、お前の思う場所は低位の人間が伺いを立てるための場所だ。」
「無視ですか、そうですか。」
私の質問には答えないらしい。少しムッとくるけど、いちいち目くじら立ててたらフィリオに怪我を負ってもらうことになる。さすがに自重だ。

 異世界もののアニメでありがちな王との謁見。あんな魔窟、行きたくないんだよね……
 絶対何か頼まれるパターンじゃん。何をどうしても頼まれるよ。

 それくらいの自負はあるくらいの実績はあると思ってる。
 思ってる、ここ重要。

 しばらく歩くと、どデカい建物に段々と近づいてきてるのが分かる。城は中心にあるので、どこからでも近いし、どこからでも遠い。

「ここからは馬車で行く。馬車専用路に沿って走り、そのまま城の中だ。肩肘張りすぎるな。ソラなら、もっと気楽に行け。」
「気楽に、ねぇ。」
「どうせ厄介事に巻き込まれるんだ。いつも通り飄々としておけ。」

「ずっと聞きたかったけど、フィリオは私のことなんだと思ってるの。」
「最強のトラブルメイカー、それか厄介事製造機だな。その分働いてるのが更に癪に障る。」
すっごい私的な理由だった。それでも領主かとツッコみたいけど、まず領主にタメ口効く私も私でやばいやつだった。

 客観的に見て、領主を呼び捨てとか何事かって感じだよ。レイティーさん何も思わなかったのかな?
 あ、もう慣れてるか。

 その後は専用の馬車小屋に入り、馬車を借りて進む。もちろんお金は払ってる。顔パスなんてないし。

 馬車は快適だった。小さめで揺れも少なく、王都だからか馬車路は整備されてる。バイクの方が速いっていう点を抜かせば、いい乗り物だ。バイクの方が速いけど。

 途中で道が途切れる。目の前には堀があり、川が流れている。城といっても和風では無く、完全に中世のヨーロッパ的な洋風さだった。大砲的なのも設置されてたから、今度貸してもらって模倣してみようかと思う。

 そう思うと同時に、橋が現れた。話を聞くと、王都は魔道具の街としても有名で、森と重なり合った不思議な土地と、潤沢な魔力と自然、そしてどこの街からも行きやすい利便性がある。

「なるべくしてなったわけね。」
「何がだ?」
「なんでもー。」
馬車の中で、そんな会話もした。

 問題は、ここから。城に着き、停車させた。フィリオは護衛の私を紹介し、普通に城に通された。フィリオの言う通り、謁見の間というより室って感じだ。

 レッドカーペットなんてもちろんない。豪華なソファはあれど、何故か小高い位置にある椅子もなければ、侍る女性もいない。こういう場合、王妃って言うのかな。

「で、国王ってまだなの?」
ドカッとソファに座った。なんか紅茶の入ったポットなんかもあったから、適当にソーサーに乗ったカップに注いで飲む。ソーサーは重力操作で浮かせ、小指を立ててチビっと飲む。お淑やかさを演出してみた。

 どうよ、これ。それっぽくない?

「行儀が悪い。しっかり持て。」
「……はい。」
指摘された。やっぱりアニメ知識は通用しない。

「で、まだなの?」
「同じ質問をするな。まず王が来る前にそんな好き放題して……監督責任は俺にあるんだぞ。」
「それは知らないよ。ちゃんと監督すればいいじゃん。」

「ソラを、監督、だと?」
「ほんと、その扱いどうにかならない?」
待遇の改善を要求したい。でも、フィリオはこう言うスタンスでいくらしい。なら私も、このスタンスを通させてもらう。そこで、ガチャリと戸が開かれる。

「久しいな、フィリオよ。ん、待たせたか。すまない。」
「ええ、お久しぶりです。ただこいつがおかしいだけですので、お気になさらず。」
フィリオがペコペコと頭を下げる。なんかめっちゃ珍しい姿に、ニヤッと笑えてくる。

 写真撮りたい……この顔、ネルに見せてみたい。よし、記憶に焼き付けた!これを念写すれば……

「…………………………」
「…………………………」
無言の圧だ。人が射抜き殺せそうな眼光を光らせ、私を見る。そっと、視線を逸らした。

 なんで偉い人って、こうも目つきが怖いんだろう。

 単純に疑問に思う。

「確か、魔力の活性化について……だったな。今、我が学園でも高等部と専門部が協力し、解明に取り組んでいるのだが……そこの……」
「空です。」
「ソラ、いい名前だな。ソラが討伐したというモノパージも、今はこちらで預からせてもらっている。」
その後、空気が一瞬ピリついた。なにか、聞かれてはいけないことに踏み込んだような雰囲気。

 これ、機密情報始まるやだよね。
 「お前が信じる者を、信じないでどうする?」っていうやつだよね!?

「今から、なんかやばい話でもするの?私、退席したほうがいい?」
「いや、いてくれ。今回もまた、ソラにトラブルを引っ掛けることになりそうだ。」

「嫌だァァァァァァァァッッ!せっかくの旅行、せっかくのテレネトの再婚計画、せっかくのお別れ会が!私の都合はどこへ!?自由はどこへ!?」
自由度No. 1の称号を持つ冒険者に、自由が許されないというこの理不尽。

 こういう時こそ発動してよ、叛逆境!今こそ理不尽に立たされた時だよ!逆境だよ!

 しかし、何も起こらなかった。叛逆境さんは、おやすみみたいだ。

「静かにしろ、王の前だぞ。」
私の叫びは意図も容易く弾き返された。

「そこまで拒否をするならば、考えないこともないが……今は少し、危ない状況でな。お主の大切な人すら、被害に遭うかもしれない。」
「え……」
それを聞くと、冷静になってくる。

 確かに、こんなところで話すくらいなんだから、結構危険めな可能性は高い。フィリオがここまでやるってことは、多分ネルも危ない?なら、ロアたちは更に……

「聞く気になってくれたか。では、話を戻すぞ。お主が討伐したモノパージだが、フィリオ。事前に話した通り、。」
「え?私からすればそこまでだったけど、強くはあったと思うよ?」

「そこは疑ってはいない。我も目にした。説明が難しいが、何かが巣食っていたような、魂が抜けたような、なんとも言えない不気味さがあった。しかもだ。死亡時刻が殴殺前の可能性があった。」

「つまり、私が殴り殺す前に死んでた、と。」
王自らがそういうら信じられるかもしれない。そう思い、私も少しシリアスモードになる。

「……心当たりというか、何かに取り憑かれたみたいな盗賊なら知ってる。道端にぽっぽいたけど。」
「あの時の、か……………回収はしなかったのか?」
「うん。」
「……………………………」
沈黙が続いた。

「まさか……連れ帰ってこいなんて、言わないよね?」
「そのまさかだ。可能性があるなら、見てみた方がいい。」

「嫌だァァァァァァァ!めんどくさいっ!断固拒否するぅ!」
私は片腕しかない腕を大きく振り、わちゃわちゃさせる。

 そしてまだ回想は続くのである。

———————————————————————

 どうも、足の筋肉痛かヤバめのcoverさんです。この回執筆時、筋肉痛に悩まされながら書いてました。まぁ足なんて執筆時に書くことなんてないからいいんですけど。

 あと、改めて思ったんですけど、この作品、ほんとやりたい放題し放題の適当ですね。いつ完結するんでしょう、見通しゼロです。
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