魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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10章 魔法少女と王都訪問

308話 魔法少女は龍になる

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 魔壊病完治からすぐのこと。ゆったり馬車に揺られていた。

 遠くで現龍神が「主の体、どうなってるのだ?」と割と諦観している姿を幻視したけど、まぁ気のせいだ。

 まさか、あんな方法で完治するなんて……

 ちなみに1時間で私の魔力が回復するわけもないのでご馳走様ですをいただきますして魔力を戻した。
 これ、緊急時のために魔力を貯蔵して持ってけるようにしたらよさそうだ。
 貯蔵量が多すぎてめんどくさいだろうけどね。

「主、治ってよかった。」
「こんな簡単に治るならやっとけばよかった。」

「ソラの体がおかしいんだ。症例がほとんどなく不治の病と言われているんだ。治る方がおかしい。」
いちいち言ってたら俺の身が持たないな、そう言って窓の外を見始めた。

 久しぶりにちゃんと魔力が使える。魔法が撃てる。なんか嬉しい。
 他スキルも使えるんじゃない?

 ローブバージョンβに魔力を流す。流す方向が2つになっており、片方がいつも通り隠蔽、もう片方が万能感知だ。
 常時発動ができるよう改良した。

「なんか主、はしゃいでる。」
「そうですか?私にはあんまり……」
「あれははしゃいでる目。家で兵器いじってる時、あんな目してる。」

「子どもになに見せてるんだ。」
フィリオから鋭いご指摘だ。それは私も気にしてるけど、家にいるならどこだろうと見られちゃう。

 いつもやってくるんだよね、兵器改良してると。何かそういう感覚器官的なものが生まれたりしたのかな?

「主、分かりやすい。」
「ツララも大概ね。」
撫でようと思って腕を上げるも、腕がなかった。てへぺろ。

「それは、治らないのか?」
「まぁね。体は魔力じゃないから。」

「あの、ソラお姉ちゃんの回復魔法じゃ!」
「回復魔法ってあれ、特別なことしてるように見えて人間の再生スピードを上げてるだけ。何日何週間とかかる傷を早送りするだけで、消し飛んだ腕は元に戻らない。」

「主の腕、消し飛んだ?初耳。ロックしてる。」
3文字の変態から教わったであろう言葉で、サムズアップを決め込む。本当に、どこに進んでるんだろう。

 これは治りそうもない…………ん?早速常時展開型の万能感知に異変が。
 これ、人の気配?

「……ちょっと黙ってて。」
「どうした?」
「多分盗賊?店とかのチラシで日にち割れてたかぁ……」

「盗賊か。最近は見なくなったと思ったが、勢力を集めていたのか。まぁ、今回は運が悪かったということだな。」
「そうですね、お父様。」
二ヒリと楽しそうに表情を崩すネル。こら、そんな顔しちゃいけません!

「ソラがいる馬車を襲おうとしたのが運の尽きだな。」
「向こうの馬車は百合乃がいるから心配ないとして、とりあえず馬車どっか停めてくんない?」

「もう少しは走らせてもいいんじゃないか?」
「危険分子くっつけて旅行とか嫌だよ。」
常識のない発言をするフィリオ。そこに信頼があるから、特別に許してあげる。

 飛行機にテロリストがいるって知って乗りたい人なんていないでしょ。それが対処されると分かってても。

 フィリオが御者さんに話を通し、私は右親指に嵌めてある転移石を取り出し、さらにもう1つは座席の隅に置く。そのまま「ちょっと行ってくる」と言って、私は消える。

 消えると言っても百合乃の方行くだけだけど。こんなところで役に立つとは。

「やぁこんにちは、私だよ。」
「ぶふぉあっ!」
百合乃が叫んだ。案外うるさかった。というか、百合乃の膝の上にいた。

「あのー、ちょっと馬車止めてもらいたいんですけど。前の馬車ももうじき止まるので、合わせてください。」

「え、ソラさん?どうして……?」
「お姉ちゃんなんでここに?」

「じゃ、私は戻るね。ちなみに盗賊出たからそこのところよろしく。特に百合乃。」
「えっ。なんでわたしにそんな重要な……」
声が掻き消えた。転移石を嵌め込んだ指輪がないと転移できないのは面倒だけど、緊急脱出とかには使える。

「ほい、ただいま。」

「もうツッコまないぞ。」
「そうですね。ソラさんはビックリ人間と思いましょう。」
「ははは……ソラお姉ちゃん、そんなことも……」
「主は主。すごい。」
みんなから称賛(?)をもらう。

 ふっ、では今からもっとすごいことをしようじゃないか。
 盗賊どもを血の一滴も流させず生け捕りにしてやろう!その後は知らない!

 何という無責任か。ま、私のことなんだけど☆

 キランッと心の私がスマイル。野次が飛ぶ。

 まぁ盗賊も、まだ捕まった方がマシだと思う。

 程なくして馬車は止まる。後ろも止まったのを確認し、万能感知で人数を探って認識阻害を使う。

「あれ?空さんは?」
「主の技。すごい。でもあたし、匂いで分かる。」
「クンクンしないで。」
「ほら、いた。」
ツララが見えないはずの私にベタベタと触ってくる。魔力のカーテンのようなもので覆ってるので、見える人には見えるし、分かる人には分かる。

 どっかの百合乃みたいな変態な例外は除いてだけど。

「それじゃいってくる。フィリオも外出ずに待っててね。」
「ソラじゃあるまい。危険な場所にわざわざ突撃する領主がいたら見てみたいな。」
「はいはい。片付けてきますよ。」
フィリオの小言は無視して、飛び出す。ラノスを使おうと思ったけど、出血するような武器はやめる。

 ということでパクト!そして空間認識阻害盾ことタージュ。重力操作と思考分離で好きなように動かせる!
 そのままミニガトリング付き小型偵察機、ギル。転移石と同じ要領で、魔導法の石を嵌め込んで場所ではなく視界を映す。それを使って手動でガトリングを撃つ。

 ロマンには程遠い。自動発射なんて大層なこと、私の能力じゃ足りない。

「数は25。うひぁ、結構いるなぁ……」
片腕がないことが悔やまれる。

 あれば、両手撃ちで悪を成敗できたのに……っ!龍神のおたんこなす!

 どこか遠い星で、龍神ルーが何か言ってる気がする。

「えー、龍法陣使えって?めんど。」
私は仕方なくあのギリギリの勝負で叩き込まれた龍の力を発動する。他の兵器は別思考の私に頼む。

 あってよかった思考分離。

「龍化、肉体強化。」
言われた通りに発動する。

 体内で小規模な魔力暴走を起こして……制御難っ!……脈の力をローブで受けて……っと。あっ、これは元から脈が仕込まれてるから簡単だ。

 初めて使ったにしてはなかなかの上出来なんじゃない?

 客観的に見るとどうなんだろう、そう思いつつ木々を足場に跳んでいく。

 ちなみに、いつか遠い未来に発覚するけど私の体は魔力光でところどころ光ってるらしい。今回は認識阻害があるからよかったけど……未来の私、頑張れ。

「お、あれかな?」
パクトを構える。魔力を衝撃として放つだけなので、弾は装填の必要なし。

 よし、いっちょやりますか!

 パンッ!と、いつもより控えめな音と共に、隠れていた盗賊が吹き飛ぶ音が鳴る。
 それが、盗賊壊滅の合図だった。

 なんつって。

———————————————————————

 日に日に適当になってきてますね。まぁ仕方ありませんよ。逆に300話も続いてる時点で根気がいい証拠ですから。(2作品すぐ消した作者)

 わたくしは忙しいんですのよ。ピアノのお稽古に華道、バレイにダンス、書道も。
 まぁ嘘ですが。私はニートではありませんがそれに準ずる何かです。……だから何というわけでもないです。

 強いて言うなら某ぼっちのろっくアニメにハマったからですね。

 確かにそうです。体育祭は地獄です。ほとんど全て陸上競技。どれも不得意で出ても最下位かたまに下から2番目。
 陰も陽に無理やり引き上げられ、ノってもノらなくても地獄

 音楽祭は声なんて出ないし出ても音程なんて合いません。
 修学旅行?部屋なんて地獄ですよそりゃあ。何話すんですか?恋バナ?そんな恋なんて人生で一度もありませんよ。

 これ、何の話でしたっけ?
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