魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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10章 魔法少女と王都訪問

307話 魔法少女は回復する

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 色々あって1週間後。私は百合乃とツララと門にいる。

 フィリオとネルの用事に託けて、私たちの王都観光を護衛役と引き換えに強行させてもらう日、もといお別れ&社員旅行、イン王都決行の日である。(フェロールさんがいないのは、この街の代表は1人は残らなければならないかららしい)

 王都は遠い。車で行けば名古屋から東京くらいある。つまり、それを馬車で行くと。そりゃかかりますよ、1日。

 移動時間が1日とのことなので、朝から行って野宿、そして王都のコースを辿るため、朝早くからこうして門で待っている。

「主、走ってきていい?」
「流石にダメ。……と言いたいけど、馬車にずっと乗ってもらうことになるし、今のうちに行ってきて。」
ほら、と死神さんバージョンγを渡した。

 ツララが可愛かったからとかじゃないからね。絶対、そうと言ったらそう。

 ちなみに改造ができるようになったのは、魔壊病に回復の兆しがあったからだ。
 魔力の消費量が少なくなってきた。

 あの百合乃の依頼について行ってからよくなったけど、あの時逆に悪くなることしかしてないような……

「魔法少女七不思議……」
「小学校みたいなこと言わないでくださいよ。」
「中学校とかでもあるでしょ。」
「なんのツッコミですか、それ。」
百合乃が、元気に死神さんと爪で抗戦するツララ見て言う。もっとツッコむべきことがあるだろ、と言ってる目だ。

「遅いな。」
「うおっ!?いつの間に!」

「ソラより先に来ていた。馬車の手配があるんだ、早くくるのは当たり前だ。」
フィリオが私の隣でネルと一緒に立ってる。領主なら椅子とかに座れって思うけど、ここ野外だしそんなものなかった。

 というか、この2人ただ立ってるだけで雰囲気あるなぁ……
 私も今日はラノスくらい使おう。魔力的にもなんとかなりそうだし、無理なら「ご馳走様です改」(魔力を吸収し爆破ロマンではなく、そのまま運用が可能なもの)でも使ってなんとかしよ。

「本当にすいません!お待たせしました!」
「店長~、まだ荷物がぁ!」
「昨日入れなさいって、私も言った気がするけど?」

「それはティリーさんが悪い。」

「レイン君まで!?」
サキを抱えたテレスさんが、ロア御一行と大慌てでやってくる。領主を待たせてるんだ、そりゃそうなる。

「確か……冒険者ギルドのギルドマスターの娘だったな?」
「は、はひっ!」
「……似てないな。いや、逆に似てるのかもしれない。」
ふむ、と顎に指を添えて観察する。

 この人には女の子を観察する趣味があるんだ。ちょっと近寄らないどこう。

  遊んでいたツララを、調教の能力で呼び戻し、いい子いい子したあと側におく。

「集まったな。なら行こう。」

「じゃあ私たち子供組は向こうの馬車に……」
「ソラはもちろん俺の方だ。護衛役はどこに行った。」
「スミマセン。」
カタコトで謝り、ツララとグッバイする。逆に百合乃が私に抱きついてきて、「のぉぅ!」と割と初めてなんじゃないかというほどの適当英語で引き留めてきた。

 え?もちろん殴って押し込んできた。
 まぁ向こうは攻撃お化けのチーター百合乃と、能力お化けのツララがいるから大丈夫。

 ツララに至ってはレベル変わらないのに魔法とか色々増えてたし……

 知らないところで成長してることを知り、涙ちょちょ切れ。でも、嬉しいんだか悲しいんだか。

 と、そんなこんなで馬車割りが決まった。
 今回12人プラス御者さんでの大所帯。

 前列馬車が、私・フィリオ・ネル・ロア・ツララ
 後列馬車が、テレスさん・ネトラーさん・ティリー・レイン・サキ・百合乃

 という感じだ。やったね、ツララは一緒だ!

 ツララは私の奴隷ということで一緒。ロアとネルはお友達、私はロアとを希望。フィリオはネルと私。超ピッタリの配置だ。

 百合乃は最後まで抵抗したけど「ユリノお姉ちゃん、わがまま、めっ!」と言われた瞬間、しゅんとして馬車に入っていった。

 幼女は強し。

 テレスさんとネトラーさんは言わずもがな、レインは親子だから、サキはまだ5歳なためテラスさんと、ティリーは……余ったから?

 今度何か美味しいもの奢ろう。そう決意した私であった。

「ここ最近は魔物の凶暴化が多発している。十分注意してくれ。」
「はーい。でも、今私調子悪いでーす。」
「魔壊病って主言ってた。」
「お、ちょ!ツララぁ!それ言っちゃダメなやつぅ!」

「「魔壊、病……」」
親子揃って目を開く。

「フィリオはともかく、ネルは知ってるの?」
「はい。転入試験のため、昔から勉強を教わっていましたから。」
ネルが嬉しそうに笑った。褒めて褒めてって感じだ。試験勉強とか、私の都合で最近構えてなかったから、頭をポンポンしておく。

「魔法使いの魔壊病、しかも生存者か。確かに、公言はしない方がいい。研究者にとっては最高の非検体だ。国お抱えの研究者の場合、目をつけられれば国にはいられなくなるかもしれない。」
「え、ナニソレ怖い。人体解剖とか私嫌だよ?」

「それだけ珍しいということだ。」
フィリオはめんどくさそうに息を吐く。

「庇えるなら庇う。だからソラも、出来る限り知られるな。」
「どちらかと言うと治したいんだけど。」

「はい、ソラさんお父様。古い文献を読んだ際に見たんですが、魔力を使うと逆に良くなると書いてありました。」
ネルが知識をひけらかす時が来た!と言わんばかりにピシッと手を上げる。名前を呼ぶところはしっかりしてると思う。

「うーん、どうなんだろう。魔壊病って、他者の魔力を無理矢理供給したり、過度な仕様……まぁ、急激な魔力減少・上昇を繰り返すことで発症するらしいんだけど……確かに、一回全部搾り取ってみるのいいかもしれない。」

「そこまでご存じなんですか?」
「ま他どこから拾ってきた、そんな情報。」
「チョットネ、クワシイヒトガイテ。」

「主、分かりやすい。」
「うるさいよ。」
上か下まで、極端すぎる身分差で微笑ましい会話をする。奴隷、冒険者、領主にその令嬢。

 全部、こんな世界に慣れればいいのにね。世の中悪徳領主とかもいるんだよね、実際。

 それでも私は正義のヒーロでもなければどこかの魯鈍さんでもないので、やりたいことをやらせてもらうことにする。

「じゃ、とりあえずやってみる。」
「魔力を使うのか?ここで?」
フィリオがやめてくれ、という顔で見てくる。

「別に攻撃魔法を使ったりするわけじゃないって。」
そう言いながら取り出すのは脈が張り巡らされた鉄の塊、魔力吸引装置(ご馳走様です改)だ。

「魔力喰らいが付与されてて、プラスで魔法分解もつけといた。純粋な魔力を吸収するから安心安全!だからと言って何も変わらないけど。」
それをとりあえず4つ、というかそれが全てだけど出す。

「じゃ、始めるよ。ツララ、頼める?」
「うん。分かった。」
ご馳走様です改を両手で1つを持ったツララ。かわいい。私はそこに右手を乗せた。

「…………冒険者としては、一流以上か。こんな魔力、見たことない。」
「お父様、綺麗です。」
どんどん吸い込まれていく魔力。蒼白い光を放つ。倦怠感がすごい。一気に抜けていって、ゴムが思いっきり引き伸ばされてるような感覚だ。しばらくすると光が収まり、吸収が止まる。

「……次。多分あと3つは普通に必要。」
「ん。」
別のものに交換し、また変え、最後の1つに手を伸ばす。流石に吸収量多すぎた、と若干後悔しつつ、残り少ない魔力を捻り出して注ぎ込んだ。

「ん……ちょ、やば…………」
ふらつきそうになった直前にツララに受け止められ、そのまま意識が消える。

 1時間後。

「……ん、ん?」
ステータスチェックをする。その画面からは、魔壊病の文字が消えていた。

「治っちった。」

「護衛役が何やってる。」
その後、たっぷりとフィリオに叱られた。

———————————————————————

 とりあえず魔壊病の方は治しときました。

 ガバガバなのがいけないので、一旦全部出してゆっくり締める感じで治しました。
 理屈とかは知りません。適当です。
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