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9章 魔法少女と天空の城

閑話 後継者の奮闘

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 龍神が死んだ、その直後の出来事。

 帝龍改め龍神となった若い女の龍。名がなければいけないということで、先代龍神ルーの名を引き継ぎ、ルーアと名づけた。

 ルーアは早速定期神集会を開くため、誰か神に声をかけようと龍神の世界から離れる。

「我が龍神……本当にできるかの……」
不安の気持ちを胸に溢れさせながら、ルーアは巣立つ。

 正式に神(と言っても種族リーダー的な存在)になるためには、定期神集会での後継者認定をもらう必要がある。貰えなければ、貰えるようになるまでごまでもすってろとのことだ。

 先代龍神は、一応だが自分が消えた後のことは教えていた。それが実際に起こるとは思ってなかったようだが。

「人神様たち、我を認めてくださるだろうか……」
そんな念は消えなかった。

 が、そんなことに心配を向けている暇などなかった。

 本当の地獄とは、ここからだった。


「魔神様の城に行こう。魔神様ならば、常時あそこにいるだろうからな。」
空の浮島から飛び立つ。自慢の両翼により加速され、空を駆け抜けた。若干速くなっている気がするが、龍神の加護でも受けたのだろうか。

 そして着く。………が、ここでもまた事件が起こる。

「ぬわぁっ!なん、なんだこれは!?」
入った途端床が抜け落ち、そこには魔物地獄。

 それもまた序章に過ぎない。

 ようやく這い上がったと思えば、毒の雨が降り注ぎ、それを火炎で焼き払う途中、魔力が暴発して魔法が使えなくなる。ギロチンが高速で左右に出入りする悪質トラップを掻い潜り………どれだけ経っただろう。ルーアはようやく、魔神ヴァルディートの元へと辿り着いた。

「え、やだ。」
自室にてテレビゲームに熱を上げる魔神は、開口一番拒否を選択する。

「何故ですか!定期神集会を行わなければ我はっ!龍神様が亡くなったのだぞ!仲間としての意識はどこへ行ったのだ!」
「えぇ……そう言われてもね。ボクは仲間とは一度も思ったことはない。」
頭をボリボリと掻きむしる。めんどくさそうな視線を向けて、せめて全員集まってから言いに来て、とだけ言い、コントローラーに視線を戻す。

「ボクも最近起きたんでねぇ……忙しいんだよ。」
「その謎の物体に何かあるのかの?」
長方形の黒い板。少し厚みがある。光を放っており、それが何か形を作っていた。

「テレビだよ。テレビにアプリとか繋げて勝手にプレイしてる。」
コントローラーをカチャカチャと動かす。謎の男が大剣を振るい、化け物を斬っていく。モ○ハンだった。

 魔神ヴァルディート。意外にゲーム好きなのだ。

 服装は黒字に黄色で「I can destory」と書かれたTシャツに、白地のズボン。
 はっきり言ってダサい。クソダサい。

 他にも魔神T(※人神の行方より)やI am godと書かれたTシャツなど、ダサTは数知れず。

「帰った帰った。」
しっし、と手で払い除けられる。殺気や怒りどころか、何の気持ちも篭ってないので、本当にただ邪魔ならしい。

「我の努力は一体……」
がっくりと項垂れ、ヴァルディートは窓からポイと投げ捨てた。翼を出す気力もなく、ルーアは地に落ちる。

「次は霊神様……確か霊界という場所に居を構えていたはずだがの……移動してるのではあるまいな……?」
段々と不安が募る。初手でアレだ。不安になるのも仕方ない。

 ルーアはまた長い月日をかけて霊界の森を探した。龍は時が経つにつれ、自動で強くなる。ルーアは常時体を酷使していたため、それが修行の一環のようになっていた。
 それを含め、その増加量は膨大だった。

 それがどうしたという話ではあるが。

 そうしているうちに森に着く。入れば、後は案外楽であった。妖精や精霊の奇襲を軽く往なし、霊神、ミュールの元へ辿り着いた。

「う~ん、ワタクシ的にはいいんだけどねぇ?集会を開くとなるとぉ……レンちゃんに言った方がいいんじゃないかしらぁ~?」
「れ、レンちゃん?」
「人神よ、人神ぃー。もしやるなら、ワタクシは参加するわぁ~。それにしても、ルーお爺様、亡くなっちゃったのねぇ。過去改変というけれど、よく分からないわぁ。」
困ったように呟く。困りたいのはルーアなのだが、拒否られなかっただけよかったと思ってしまう自分が憎いルーアだった。

「あ、ヴァーちゃんの許可はもらったのぉ?あの暇人さん、この前寝るって言ってそのままじゃない。起きてたかしらぁ?」
「はい。我も1回訪ねて、揃ったらいくというておった。」
「へぇ、あの子がぁ……」
少し考えるそぶりをして、ミュールはルーアに抱きついた。

 この神、変態露出狂だけあって趣味も変人だ。見知らぬ少女らに、可愛い服を着させ、楽しむだけ楽しんでバイバイするという謎の趣味がある。

「可愛いわねぇ。名前は?」
「ルーア。」
「ルーちゃんね。ルーお爺様の名前を継いだのかしらぁ?」
「まぁ……」

 ルーアもまた、例外ではない。

 可愛い服、それだけならまだ許せるだろう。だが、その可愛いが誰目線か入っていない。

「きゃー!可愛いわぁ!」
「我は、一体なにを……」
スクール水着を着たルーアがそこにいた。体のサイズに似合わず胸部は発達しているルーア。胸元の布地は張り裂けんばかりに伸びている。そして、デカデカと「ルーア」と名前がついていた。

 そのための質問だったのか。と、今更ながらに後悔する。

「次よぉ~次ぃ!」
間伸びした声が、楽しそうに揺れる。

 ルーアはただ、なにもせずに着せ替え人形と化していた。

 その瞳は、どこか遠くへ助けを求めるものだった気もするが、気のせいだろう。

 ———そんなルーアが人神の元に辿り着けたのは、約100年後のことだったという———

———————————————————————

 はい、今日でこの章は終了です。閑話は帝龍さんのお話でしたね。名前はルーアになりました。

 ロリ巨乳スク水龍、見てみたい気がしますね。

 魔神や霊神も久々ですねぇ。魔神の服はいつも通り適当です。ちなみに魔神Tは私の中でお気に入りワードです。
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