魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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9章 魔法少女と天空の城

285話 魔法少女と龍神 (前編)2

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 とりあえずヒール。回復しなきゃ何も始まんないということで、溢れた魔力を使って体を癒していく。

 ……なんか治り遅くない?これが神の力……くそめんどい。

 ある程度回復したら、どう決めようかと龍神を見るも、なんかヤバそうなオーラガンガンなため、考えあぐねる。

 まず私の最高火力は対物ライフル。これより上はまずない。魔法だったらこの大量の魔力を代わりに入れれば、それなりの火力は補える。
 しかも空間伸縮があるからどこからでも撃ちやすいっていう点もある。

 まぁ、それをどうやって当てるんだって話になるけど。

 なんとかして弱らせようと、手持ちの兵器群を確認して、ラノスを構える。

「………ふむ。これでも、ダメか。………お前、魔法使いではなかったか?」

「魔法少女がただ魔法を使うなんて思わない方がいいよ。一癖も二癖も、捻って作ってるんだから。」
ラノスは構えるのみ。無駄撃ちはしない。

「それに、魔法は魔法でセット済みだし。」
ニヤッと笑う。すると、キューが盾からひょっこり出てきて、5つのステッキを取り出した。それは魔法少女ステッキに似ているけど、スペア×5だ。

 ほんとは6個作ってたけど、どこかの軍服少女さんにプレゼントしちゃったからね……

 百合乃、ちゃんと戦えてるといいけど。
 百合乃対策無し、魔力ギチギチの銃。引き金さえ引けば魔力が溶けて脈に流れて電磁加速と火薬破裂を同時に起こす仕組みにしてるやつを渡したから、なんとかなってれるはずだけど……

 離れてしまった相方を思い出し、それでも目の前の強大な敵に目を向けなければならず、キッと眉を寄せる。

「………消滅しろ。」
小さな声が響く。全てが揺れ、魔力さえ分解される。私の音波発生機の攻撃特化バージョンみたいな感じだと思う。

「あのステッキには何が入ってると思う?」
返答はない。そりゃそうだ。

「レイタースタートだよ。」
一気に射出された。私の限界ギリギリまで詰め込んだ最高量の式。それが盾となって声の波紋を防ぐ。

 ふぅ………よし!こっちも成功!初めて使うの多いけど、なんとかなった!

 ガッツポーズを内心で作り、その隙に小型の石を投げる。

 その石はコロコロと龍神の足元に転がり……

 ドガァーンッ!

 爆発した。と言うよりさせた。

「……小賢しいな。」
少しだけ眉を寄せ、膨れ上がった魔力はもう1度練られ始める。

 どういう原理?説明めんど……
 とりあえず魔力が最大量貯まったら全出力で大爆発するやつに、魔導法で繋げてドカーンと。

「……かいなよ、穿ち砕け。」
無限かと思われるほどの、そして私とは比べ物にならない質の魔力が腕に集まる。そのまま龍神は、

「っ!ぐぅ……」
「……爆ぜろ。」
「…………っ!!」
慣れたと思った。それでも、体内で臓器が掻き乱されるのは耐えられない。

「キュウゥー!キュッッ!」
脈が飛んでくる。攻撃にはならないけど、役には立つ。右胸が貫かれた状態で、半目を開ける。その辺りの肉は、溶けてなくなっているように見える。

 ……あぁ、魔力無限とかいうチートなかったら、これ即死だ……
 なんとか魔力が生存を許してくれてる状態だけど、キッツイことには代わりない……

 血が込み上げてくる。言葉は出せない。その代わりか、思考だけはやけに鮮明に感じられる。現実と分離されてるかのように。
 そして心で叫ぶ。

 ———死神さん!———

「———守護します。」

「……なんだ、これは。」
手足が縛られ、宙吊りになった龍神は何にかは知らないけどそう呟く。

「かはっ、けほっ……ぇ……」
言葉になっていない言葉を吐き出し、命令を完了させる。

 これは、人神の時にあった変人もとい鎌女。武器は、あの鎌を再現してる。

 刃の側面全てに脈を通し、魔力を高速循環させることによってチェーンソーを彷彿とさせるそれを作り出す。
 その上、鎌の底部分には魔力破壊球こと『ご馳走様です』を設置している。

 人形本体は魔力譲渡をつなげてるため、燃料切れ心配なしのキューガン頼り戦法だ!(本来は脈からの補給を想定していたが、今回はこの手法をとった)

「………神の力、世界の力。…………お前こそ、禁忌に反しているのではないか?」
「……ふっ……」
ギリギリ限界の言葉を発する。

 呼吸すら痛いっていうのに、これ以上とか無理だよ?肺潰されるの舐めてる?

 よし、言いたいことは脳内で言おう!

 郷に入っては郷に従えって?そんな言葉、日本に置いてきたよ。キランッ☆

 脳内では余裕全開の私だ。ちなみに、今の所客観的に戦況を見たら100人中99人が私劣勢と思うだろう。

 実際その通りなんだけどね。

「守護します。守護します。守護します。」

 行け!変態1号……間違えた。死神さん!

「………守護、します。」
なんか若干躊躇いが見えた気がする。「……つけようと思ってた名前、間違えて言っちゃったからかな?」などと考え、龍神と一緒に固定されている現状を甘んじて受け入れる。

 死神さんの鎌が振るわれる。龍神の肩口にギギギッと音を鳴らせ、食い込み始める………が。

「……温いな。」
握っていた拳を開き、横に振るわれる。臓器が裂け、肉が斬られ、意識が飛びかける。脈はしなり、それでも追いつかずに切れる。死神さんは、鎌を離して空気に溶け込む。

 威圧感が、半端じゃない………

 結構本気で行ってたけど、絶賛負けそうな私は結構心が折れそう。

「…………ぅ。」
無理矢理魔法をかける。それすら痛み、ゆっくりと肉がつながっていく姿を見て歯を鳴らす。

「………お前は、これで終わりだ。」
天にその腕を向ける。詠唱など不要かのように、空は勢いよく曇天に染まり、その雲が全て吸収されるが如く魔力が圧縮される。

 これも、威圧を兼ねてるのかな?……念入れすぎでしょ。備えあれば憂いなしとかの次元飛び越えてますやん。

 うそんと呟きたいのを体が拒否し、その光景を見つめ、天を見遣る。

「…………人にしては、よくやった。これで、龍は安泰…………………創滅神は、超える……」
力強く呟く。世界が震撼するほどの圧力があった。
銀炎が生まれていた。燃え上がる銀色の何かは、魔力をバチバチと燃やしながらその姿を大きくさせる。

 うわっ、やっばい、死ぬかも……

 目の前に現れた理不尽に、思わずため息が出る。

 銀炎はそこらの核兵器なんて足元にも及ばないような荘厳さを持ち、どこぞの北のお国も裸足で逃げ出しそうな力だ。
 
「…………結果を残せず、絶望に飲まれて死ね。…………………死後の安寧程度は、願ってやろう。」

「結構。」
そう一言。ゴゥゴゥと燃え続ける銀炎に飲まれて聴こえることはないが、確かに言った。 

 私のもう1つの主力兵器。ま、隙がデカすぎてまともに使えたもんじゃないけど。
 こんな時にくらい、出番を作ってあげようかなってね。

 そして直ちに、この理不尽は上書きされる。
 その一瞬だけ、たった1つの兵器がこの場で最強となる。

 ドガァッッッ!!!

 一瞬で床を貫き、深々と刺さる。銀炎は全て散らされ、よく見ると刺さったそれも原型を止めていない。

 相殺させ、それでも最後に残った、その兵器の名は———

「半自由落下メテオ、ケアー。」
自信満々に言うも、辺りには相変わらず血が飛び散っているため全然格好がつかなかった。

 龍神め、格好もつけさせてくれないとは……

———————————————————————

 はい、今日も明日も明後日も適当なcoverさんです。
 なんだよ、半自由落下メテオって。頭大丈夫かって思いますね。はい、私もです。
 2話後に説明は入りますが、頭おかしいことに変わりはないし、意味分からないのでいつも通りほわわ~んと感じてもらえれば。
 とりあえず、上からドーン。こういう兵器です。
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