魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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9章 魔法少女と天空の城

284話 魔法少女と龍神 (前編)1

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 レーザーの雨は晴れる。何故私は無事なのかというと、他の兵器の反射魔力光(名前はレフ)を配置して、その都度反射させた。

 ちなみにレフの能力はありとあらゆる光力を魔力に変換して、魔力付与と補正操作で増幅、それを高温度の光線に変化させるっていうやつ。

 レーザーと光線。意味同じだし使えるかなって。
 製作者私なんだけど。

 そんなどうでもいいことを脳内で思っていると、そこには人影……神影が見えた。

「………なかなかいい技だ。…………上手くいけば、この龍神に傷を与えられるであろう。………だが、届かぬ。」
淡々と言う。つまらなさそうに、ただ敵を排除しようという意志のみを感じる。

 こうも感情が少ない敵は……今まで見たことない気がする。
 魔物は怒り爆発だし、暗殺者達は冷酷だけど忠誠心は人一倍だし、冒険者さん達だってしっかり感情があった。

 なんかやりにく……

 もっと危機感を持てとツッコまれそうになるけど、事前に阻止する。危機感は、ある。たぶん。

「もうちょっとなんか感情ってのはないの?」
「………む、人間味ということか?」

「いやいや、敵意とかってこと。人間味持たれちゃもっとやりにくいって。」
「………要望が多い人間だ。」
ため息のようなものを吐き、無視を決め込む。いや、杖を伸ばす。

「……飲み込め。魔力の一滴すら残さず。」
杖の先端のタールみたいなものがブワッと広がり、津波のように押し寄せてくる。

 ちょっ、なに!?あれどう対処しろと?

 あくせくと思考を巡らせる。

「………飲み砕け。」
頭上に迫る。以前、対処法は思い浮かばない。あと少しで、隙間が全て埋められる。

 あぁ、もういい!

 私は大きく振りかぶり、2つの道具を投げる。反射鏡と指輪だ。
 指輪がきらりと太陽を反射し、鏡に当たると、反射して指輪にぶつかり、遠くに飛んでいく。

「転移っ!」
そう叫ぶと、私の体はその場から消え失せた。代わりに、黒い波の射程外に、移動していた。

 よっし、転移石発動できた。もしうまくいかなかったら完全死んでたね。

「あっぶなぁ……」
聞こえないよう呟く。

 これもキューのおかげかな。脈の操作は全部キューに一任してる。
 脈TUEEEできてるのはそれが理由だしね。

 今も私のローブの中で縮こまってるキューに、心で感謝を述べる。

「……避ける、か。…………厄介だ。」
こちらの動きを見定めるようなその姿勢。そんな厄介な存在でもない私にとっては都合のいいこと。

 じゃ、ちょっと本気出そうかな。

「キュー!」
「キュキュッ!」
ローブをバサッと広げると、そこからキューがジャンピング。からの回転してーの、空中に立つ。そこには、空中浮遊した丁度キューサイズの盾があった。

「……それは……神の力か?」
鳩が豆鉄砲を食らったような表情になる龍神。

「え、そんな簡単に分かんの?」
私も私で驚く。

「まぁいいや。キュー、頼むね。」
「キュッ!」
任せろ!的な受け答えをして、私へ力を送る。

 この技。実はガトリング事件の後の最終調整で気づいたんだけど……
 キューって、魔力無限なんだね。

 しかもスキルが凄そうなのばっか。特に魔力譲渡。これ気づかなかったのでかい。魔力使い放題じゃん!

 ということで命名は……

「魔力のバーゲンセール!100%オフ!」

 という感じになった。

「……そうくるか。……ならば、相手になろう。」
私の魔力は漲り、龍神は杖を掲げる。その瞬間、私を覆うように沢山の黒い塊が現れる。というか、意味のわからない速度で射出されていた。

「とりあえず音波!」
某探偵のコ○ンの発信機的(ひと回り大きいけど)なものを空中に投げる。——————ィィィィッ!ほとんど耳には聞こえないけど、魔力が震える。竜神の行った攻撃は、消滅するようになくなった。

「これぞ音波パワー!」
「………厄介な能力だ。」
愛も変わらず無表情。今度は龍神自ら突っ込んできて、杖を振るう。

「オッケー、盾!ガードして!」
どこぞのグーグル先生でも呼び出すかのように命令すると、魔力がゴッソリ減る代わりに自動で動く。私は私で回避する。

「……っ。」
龍神は空振り。でも、黒い物体は破裂するように飛び散り、ホーミング弾として私の元にやってくる。

「え、ちょぉっ!?アイスシールド!シールドぉ!」
いくつも展開された氷。無意味にぶっ飛ばされる。

「ぃたぁっ!」
黒い物質は肩を掠り、空間阻害されているはずなのに……と肩を押さえる。もちろん、破けてる。

 やっぱりこういう服、戦闘向きじゃない。まぁた作り直しだよ。

「神は神ってわけね……強っ……」
そうは言う割に口元はにやつく。

 なぁんだ、私。戦闘狂じゃん。
 でも、強い敵と戦って心躍るとか、やっぱり楽しい!

「真剣勝負だよ!」
パァァンッ!ラノスの銃撃が飛ぶ。

「…‥‥良かろう。」
髪を掠るだけで、何も起こらない。

「簡単に死なないでね。案外ポックリ行くものだから、生物って。」
「………余計な心配だ。」
杖が消え、余分な魔力は要らないとばかりに練りに練られた美しい魔力。さっきの物質とは違い、白銀だ。

「……神とは、全てを統べる絶対だ。」
「それを覆すのが、さっき自分で言った特異者ってのじゃないの?」
立て続けにラノスが魔力を爆ぜさせる。

「………そこの獣。お前が、生き永らえている理由だ。………ただ、神に生かされているお前が、言えたことではない。」

「そんなの関係ないよ。運も実力のうちってね。」
どこかミョルスカイの雰囲気を感じる対物ライフルを静かに構え、放つ。

「……一辺倒だ。」
「悪かったね。」

「……ッ!」
龍神の右皮膚を削る。薄く、本当に薄く血が滲んだ。

「……この、龍神が……人の、攻撃に?」
狼狽したようにその傷を見て、ギッと歯を噛む。ちなみに私も別の意味で驚いてたけど、そこは秘密だ。

 対物ライフル、まぁ、トロイって名前にしたやつ。これはミョルスカイを再利用して作った最高火力武器。
 余波のどでかいアレを、全て一極集中させ、空間伸縮により火薬や電磁加速幅も増やし、超火力を誇ってる。

 これはラノスみたいに対百合乃戦用じゃないから、弾だってラノスとは違って魔力ぎちぎちのヤバいやつ。

 脈も通ってるから速度も魔力も最高クオリティ。

 つまり、私の中の最高技術。それが、掠っただけで弾かれて軌道がずれて、しかも血を滲ませるだけ。

 怖いよ、流石に。勝てる気が、ちょっと……

 だから、軽くブラフをかますことにした。

「神ってさぁ、この世界に限ってだよね?だから、この世界にないものは対処不能。つまり、私みたいな能力を創造できる異端な力がある敵に、敵わないってこと。」

「………言うな、人間。」
初めて感情らしい感情を見せる。

「………知らぬとも、地力が違う。…‥‥教えて、やろう。神の、本当の恐ろしさの片鱗というものを。」
ゴゴッと力が溢れる。龍神の魔力は、激しく荒ぶり、それでも静かに広がるだけ。神の魔力コントロールの賜物だろうか。

 やっべ、これやっべ。絶対やべぇですって。

 本気でビビって、口調がバカになる。

「………これが神の力だ。」

「……こふっ……!ぁぁ!」
全身に痛みが走る。さっきまでの、少しあった余裕なんてない。さっきも、今も。手加減されている、そう感じた。それほどに軽く、重い攻撃。

「キュウゥゥゥッ!」
キューが盾を操作し、こっちに向かう。膨大なその魔力は、神にも匹敵するため龍神も手をつけられてない。個としては弱いので、無視できてるんだと思う。

「ご、めん……ちょっと、侮ってた、かも……」
人神にボコボコにされたことを思い出す。その時の痛みも幻視する。

 人神は、優しかった。まだ、手加減をしてくれてた。
 本気なんて出さなかったし、ちょっと痛ぶられたら許してくれた。

 でも、龍神は違う。

「だからって………諦めていい理由には、なら、ない……」
そうして私は、ゆっくりと立ち上がる。出来上がった地の海も気にしないで。

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 戦闘描写のレパートリーがないです。これどうやって後3話書けと言うのでしょう。
 まぁ、私なりにそれっぽく書きます。
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