魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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9章 魔法少女と天空の城

280話 魔法少女は兵器発表会

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「よっし!できた!」
あれから何日が経った。百合乃は全く戻ってこず、「ま、いっか」という軽いノリで百合乃を無視して作業にあたった。

 あれ?というか百合乃まだ?
 私と同じ試練なら、簡単に行きそうなんだけどなぁ。

 そんなふうに空想しつつ、出来上がった兵器群を見て私は微笑む。

「ラノス合わせて18個。十八番ってね。……このギャグ普通につまらない。」
そうして後ろを振り返り、百合乃でも探そうかと立ち上がる。

 もし霧の中にまだ残ってたら、無視していこう。そうしよう。

「……まぁ、でも、兵器の使い心地を試していろいろ準備が整ったら……ね。」
なんだかんだ言って百合乃に優しい私だった。

 あっちの方に転がってくれてたら嬉しんだけ、ど……?

「………………」
「………………」
すやぁ。そんな効果音が鳴ってそうな顔で、百合乃が寝ていた。寝癖はバッチリとつき、ねじ曲がった髪がコンニチハしていた。その顔には、よだれと土と、寝痕がバッチリと残り、数日間寝こけていたということを示していた。

 ……これは、いいよね?やっちゃって。

 誰に言うでもなく、1人で問答をする。

「起きろこのクソニート!」
「へびぃぃいっ!?」


 それから数分。ボッサボサの髪と汚い顔を洗浄し、私が元いた場所まで運んで説教をしていた。

「ねぇ、なんであそこで寝てたの?」
「いぇ、ちょっと、そのぉ……気づいてたら、と言いますか?」

「ん?それで数日も寝るのかな?私を置いて?1人で安らかに?」
「すすすっ、すみません!」
これぞ完璧なジャパニーズ土下座を繰り出し、頭を擦り付ける。

「うんうん、誠意は伝わったよ。なら、ちょっと実験に付き合ってくれない?」

 ちょうど兵器の実用性を確かめるために、実験台が欲しかったんだよね。

「で、できることなら……」
「ん?」
「なんでします!」
そこまで言ったところで、そろそろ説教は切り上げる。

 やりすぎは逆に良くないからね。ほどほどだよ、ほどほど。

「あ、あの……具体的には、どのような?」
「私が作った兵器を受けてもらうよ。」
「へ?」

「だから、百合乃が対処できないかどうかを確かめるためと、使えるかどうかの実験。百合乃は的。オーケー?」

「No!No thank you!」
「拒否権無し。」
百合乃は、「無理です嫌ですやめてぇ!」と喚くも、私が引っ張って退却を阻止する。

 これは一応百合乃のためでもあるのに。全く百合乃は仕方ない人だね。
 だからといって何か特別対応とかするわけではないけど。

「じゃあとりあえず、毎分6000発の爆破ガトリングか、一撃必殺対物ライフル、どっちがいい?」
「それ、どっちもわたし死ぬやつです?」
「ですです。」

「ならなんでやらせるんです?!」
百合乃がワーワー喚くので、仕方なくその2つはやめることにしてあげた。

「ならなにがいいの?」
「死なない怪我ないセーフなやつで。」
「それは兵器って言うの?」
そんなツッコミは華麗にスルーされ、「空ぁ、お願ぁい」と体をくねくねとさせてきたのでとりあえず1発殴っておいた。

 ナイス私。懸命な判断だよ。

「そうは言われてもねぇ。百合乃の持つ魔法無効対策が働くか見てほしいんだけど……」
「さすがに無理です。自信を持ってください!そうしないと、わたしの命が……」
ぷるぷると震え始めた。流石にやりすぎたなぁ、と思い、怪我はしなさそうなものを選ぶ。

 えっと……大半が攻撃なんだよね。そりゃ戦力確保のためなんだし、しょうがないっちゃしょうがないんだけど……

 爆発する魔法石、追尾するレーザー、ガトリング付き偵察機、衝撃発生銃、メテオ、光反射、絶コロマン、魔力さよなら石、盾、ステッキ……

「使えるの数個になるんだけど。」
「え、まさかさっきみたいなのがゴロゴロと?」

「ぶっちゃけもっとやばいのある。」
「オーバーキルじゃないです?」
引き攣った顔で指摘される。神相手には足りない位だと思うんだけど、百合乃には多く見えるらしい。

 うーん、使えるのと言ったら転移石(超小規模)と音波発生機、ローブとキーホルダーくらいかな。

「まぁとりあえず、百合乃。この指輪嵌めて。」
「結婚ですか?そうですね。分かりました、婚姻とどけはいつ提出しtぐへぇっ!」
暴走した百合乃を止める唯一の方法、頭上殴りでことなきを得る。

「ん、綺麗ですね。紫色の宝石です?」
「まぁそんなとこ。私もその指輪つけてるんだけど、とりあえずそこに念を込めてみて?」

「はい……その前に、その青色の指輪はどうしたんです?まさかっ、彼氏がいるとか……」
「いないよ。友達の女の子からもらったの。」

「まさか、先を越されて……」

「そんな趣味もなければ向こうは10歳の女の子。ちょっとふざけすぎてるから、自重して?」
「はーい」と言いつつ、軽く指輪に目を向ける。

「オッケー、集中して。……魔導法。」
すると、指輪に刻印が現れ、全体に広がっていく。そしてものの2秒で発光しきり、目の前から

 これが転移石。魔導法で繋げて、この指輪のある人なら私が転移させたり、私自身が転移することもできる。

「え?なんです、これ……」
「転移石。詳しい話はまた後日。はい、次行くよ。」
やいやいと騒ぎ出す前に私はさっさとボロボロの服を脱ぎ捨て、魔法少女服になる。

「空、なにを?」
「ちょっと着替え。」
黒を基調としたローブに袖を通し、開かないように首元のボタンをつける。その後にフードを被れば、完全に全身隠れるローブだ。

 これで気になってた服の問題も解決!しかもこれも兵器の一部だから、一石二鳥。

「ちなみに効果は、認識阻害。脈を編み込んでるから、力を隠すし所々に補正操作で魔法を付与できるようになった魔力付与で空間伸縮を付与して、魔力を流すことで姿を見にくくした。」
実践のため、魔力を流す。すると、百合乃が驚いたように目を見開く。

 この様子だと、成功かな。

「空ー、あれ、気配はするんですけど、姿が見えないです。」
「逆になんで気配分かるの?」
「空の気配は分かりますよ。」
「怖っ。」
背中に悪寒がし、魔力供給を切ってしまう。

 キーホルダーは置いといて、あと危険が少ないのと言えば音波発生機かな。

 そう考え、収納されていた指先程度の小さなバッチを手に取る。

「名探偵コ○ンです?」
「違うわ。」
某国民的探偵アニメの名を出してくる。確かにイメージはそんな感じだけど。

「これは脈の伸縮性を利用して、地龍魔法の1つ、地震を付与してボヨンボヨンと揺らしまくってる。聞こえない特殊音波が出てて、私に聞こえるよになってる。」

「どんな用途が?とりあえずコナ○以外で。」

「魔力の波長を乱して攻撃前にシャットアウトするとか、適当にその場その場で思いついた感じでやればいいと思う。私もその辺適当。」
「へぇ。なんか凄そうなのばっかですね。」

「誰かさんが寝こけてたお陰でね。」
「だからそれはすみませんってぇ。」
「はいはい。」
適当に流し、今取り出した兵器群を回収する。

 別に百合乃にはあそこで寝ててもらってて構わなかったんだけどね。
 普通に起きてても作りはしたし。休養できてよかったと思ってるよ?

 だけど、なんかプライドが1人休む百合乃が許せないとキレてた。

「あ、指輪は外さないんです?」
「まぁ、私がいるとき専用の緊急用の脱出ポットだと思ってくれればいいよ。」

「つまりお守りですね。空神が宿ってます!一生祀ります!」
「いやしなくていいし!」
「無理です遠慮します!」
サーベルを巫女さんの持つ赤白のアレみたいにし、指輪をマジで祀り始めた。

 人の指輪で何やってるんだろうね。あの子。

 私はすっと対物ライフルを持ち、引き金に指を添える。弾は装填完了。魔力燃料も万全。

 この後、私達がどうなったかはみなさんのご想像にお任せしようかな……
 スプラッタはしなかったと、それだけは誓うよ。

———————————————————————

 この作品は100%無理として、私coverが本気で真面目に執筆した場合なにかしら賞とか行けそうですかね。
 無論私は100%無理と思ってます。一次先行抜けることすら不可能と考えてます。というか確信です。

 ぶっちゃけ、通れるビジョンが浮かびません。もし気分がノって黒歴史確定の覚悟薄弱、選考員迷惑適当応募という行為をし、選考を一つでも突破できた暁には、盛大に褒めてください。
 「トイレットペーパーの芯以下の癖にやるじゃねぇか」と。
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