魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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9章 魔法少女と天空の城

281話 魔法少女は神殿へ

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 あの悲しい事件の後、私は仕方なく神殿の方へと歩き出すことにした。
 
 あの神殿、気味の悪いこと悪いこと。紫色の神殿とかそれほんとに神殿?って思う。

 ま、文句言ったって何もならないし、進むしかないんだけど。

「空……まさかもう行くんです?」
「いや、百合乃はめっちゃ寝てたでしょ。私が頑張ってる間。」

「まっ、まぁ……そう、ですけど?そうなんですけど、もっと慎重になった方が……」

「対物ライフル、いる?」
「どうもすみませんです。」
百合乃は90度に体を折りたたみ、それはもう懸命に謝罪の言葉を吐く。

 百合乃も素直になってくれて。満足満足。

 え?ただ脅してるだけだって?
 そんなぁ~、まるで私が鬼みたいな言い方じゃん。

 実際その通りだけど、私が違うと言えば違うのでそういうことにする。

「神殿。これ、ほんとに神殿です?」
「まぁね。それは私も思った。」

「確かになんとなく神秘的な感じはしますけど、神殿とか言われても、ピンとくるものはないと言いますか……」
訝しげに、紫の神殿に目を向ける。

 とりあえず、近づいてみないことには始まらないし、さっさと行こう。

 百合乃と同じペースで歩みを進める。何も起きずに1歩、また1歩と進んでいく。

 階段でも繋げたら、ちょうど神殿の位置まで行けそうな場所まで辿り着く。今のところ何もなくて、順調に事は進む。

「不気味なくらい普通、ですね。」
「こういうのが1番警戒しちゃうんだよね……逆になんか出てきてほしいって感じ。」
辺りには何もないと左右の確認を済ませ、一応もう1度右を確認し、また、1歩進む。

「空、来ます。」
そう言った直後だった。百合乃のサーベルがその奇襲を防ぎ、一瞬で引き抜いたラノスをブッパし、その〈何か〉を破壊する。

「宝玉……みたいなものです?」
「他に何かあ……」
口を開こうとした瞬間に、目に入ってきた光景に唖然とする。

 え、何あれ……というか、なんであんなに?

 さっき破壊したばっかの掌サイズの球が、空中に、それも大量に浮遊していた。
 100はあると思う。

「なんか、光のゲージみたいなの減ってってません?」
「まさか、これが無くなったら爆発、とかじゃ……」

「空!今すぐ、今すぐヤリましょう!でないと、ヤラれます!」
「今変な変換したよね?カタカナにしたよね?」
「何言ってるんです?本当に危険なんですよ?」
私を前後左右にぶんぶんと揺らす。頭がぐわんぐわんと揺れ、頭痛が起こる。

「分かってるって……あー!もう!後で作ればいいや!」
フードをわしゃわしゃと掻き、収納から巨大な兵器を取り出した。

 トールとファイボルト、それと脈の循環を利用して作られた爆破ガトリング。

 核石が足りないから、代わりに物質変化の火薬を詰めて爆破するようにしてる。
 威力?ラノスよりも少し下ぐらい。まぁ毎分6000発計算だからそこはどうでもいい。

 私は作るのがめっっっちゃ大変(弾のほう)なガトリングを上空に向け、魔力を流す。

「汚物は消毒じゃあ~!」
「勝手なアフレコしないで!」
ドガガガガガガガッと、連射されたと思ったら、上空でドガンッドガンッ!という風に爆発を引き起こす。爆風が吹き荒れ、球はたちまち破壊されていく。

「あー!私の、私の努力の結晶がぁ!」
私が心の声を叫んでいると。

「……その。なんか、申し訳ないのでやめてください。」
と、申し訳なさそうに言ってきた。

「これ、1分6000発。1発1発、手作業。オーケー?」
「oh……」
なんとなく引いているのが伝わってくる。

 私だって、こんなの作りたくなかったよ!でも、ガトリングとかロマンじゃん!強そうじゃん!
 作らないわけにはいかないじゃん!

 そんなこんなで私の努力が目の前で粉砕しつつ、球も粉砕される。

「はぁ、はぁ……なんとか倒した。」
「戦いは全く問題なく圧勝でしたよね?空は一体何と戦ってるんです?」
額……のちょっとした。目の当たりから溢れるそれを腕で拭き、ガトリング(ちなみに名前はエスカーとなった)を収納する。

 龍神戦前に使うことになるとは……ちょっと、泣きそう。

 もう泣いてるとツッコミがこようとも、泣いてないったらないのだ。

 そんなことをしていると、百合乃が肩をトントンと叩いてくる。

「そ、空?ほら、階段現れましたよ?」
なんかの仕掛けが発動したのか、階段が迫り上がり、道が出現した。

「ほらほら、早く行かないと……」
「いや、その前に補填する。こんなことがあってもいいように、龍神と2回戦うつもりで用意する。」

「……どれくらいかかりそうです?」
「どんだけ頑張っても1日。」
「寝てていいです?」

「さすがに、休んでて。」
百合乃は地面に頭をつけ、目を閉じる。そして私は床に座り、また作業を始めた。

「ちょっと思わぬ消費で脳がバグったけど、まぁとりあえず作ろうかな。」
補正操作でパワーアップした物質変化で、その辺の石を次々と弾に変えていく。

 他にも、ラノス2号3号を作ったり、反射鏡をもうワンセット作ったり、他にも複製をたくさんした。と、言っても全く一緒のものにはならないんだけど。

 ちなみに銃弾は、脈で型を作って、そこに当てはめて作ってる。作った瞬間地面に落ちて次を作れるのがポイントね。

 しかも、即席で作れる。結構面倒だけど。


 その間、百合乃は3回寝起きを繰り返し、「頭痛い、です……」と頭を押さえていた。軽く2日は準備してた。

 まぁ、念入りに準備して悪いことはない。備えあれば憂いなし。髪を相手にするくらいだし、決死の覚悟で挑まないと。

「そろそろ行きます?」
「うん、流石にそろそろ。龍神もキレてそうだし。」
私はぐっと伸びをし、痛むお尻にヒールをかける。魔力回復薬を1瓶飲み、万全な状態を作り出す。

 よし、入るか。

 覚悟を決め、階段に足を乗せる。特に違和感はない。
 そのまま順調に階段を登り切り、特に何もないまま神殿前まで来た。特にこれといって特筆すべきな部分もなければ、何かが起きたわけでもなかった。

「ようやく入れました~。結構綺麗なんですね。あ、人神って人の神殿はどうでした?こことは違いましたか?」
「ん、人神?人神の神殿はザ神殿的な、遺産的風貌だったよ。ここはちょっと異世界感すごいけど。」

「神の趣味です?」
「さぁ?」
あちこち適当に探索し、中央の神殿中枢部にやってくる。天井には何が紋様みたいなものが描かれており、魔力でも流してください的なオーラを感じる。

 で、どう行けと?

「空空。仮定未来眼で見た結果、この中央の床の窪み、ここに魔力を流すといいみたいですよ。」
「えっ、それそんな使い方できんの?」
「できました。」

「本格的にチートだね……」

 私が装備チートなら、百合乃はスキルチートかな。

 それはひとまず置いといて、魔力ね。
 というかこの世界、魔力でどうにでもなるよね、ぶっちゃけ。

 魔法最弱とかいう話なのに、周りは知り合いばっかだからなんの不自由もないし、あれ?そう考えると私、ノー苦労チーターじゃ?

 いやいや、そんなわけ……人神とか龍とかの戦いが……ん?それ、全部自分から突っ込んだ気がするんだけど、気のせい?

 ちょっと脳内が混乱してきたので、頭を振って脳の彼方へ吹き飛ばす。

「よし、それじゃあ行こうか。決戦へ。」
「ちょっと待って。」
「ん?」
百合乃が深く深呼吸したと思ったら、勢いよく私に突っ込んできた。

「え、ちょ!?百合乃?」
「尊値補給です~。」

「ちょ、暑苦しい。離れて。」
最後の最後まで締まらない。これも全ては百合乃のせい。

 まぁ、なんだかんだ言って飽きないからいいけど。

 その状態のまま魔力を注ぎ、視界が白に染まった。

———————————————————————

 ガトリングです。すごいガトリングです。製造のめんどくささもものすごいガトリングです。

 空さんは、こんな兵器をたくさん作りました。そして私も疲れました。

 そもそもこんなあとがき書いている時点で、頭は逝かれてしまってるのでどうでもいいです。
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