魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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9章 魔法少女と天空の城

279.5話 軍服少女は頑張る (後編)

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 今わたしは、わたしの前にいる。何を言ってるか分からないって?そのままの意味で、わたしがもう1人いる。

 そのわたしは、そっくりそのままわたしだけど、何故か口が悪い。

「わたしの、あなたの恋は叶うとでも思ってるんです?」

 え?口調は一緒じゃないです?って?そう言われましても、わたしはこんな強い言葉遣いはした記憶はないですし。

「わたし、青柳百合乃は女の子である空を気になってます。百合という趣味の1つではなく、です。」
「それがどうしたんです?」

「あなたも、心の内では不安に思ってるんじゃないです?」
知ったように、というか知っているからかそのわたしはそう言う。

「まぁそうですけど……だからどうしたんです?さっきから何を言いたいかさっぱりです。」
「あなたは何も知らないこの世界を、空1人に捨てた。それがよかったか、不安は、後悔はないかと聞いてるんです。」

「それはあなたが知ってるんじゃないです?」
「そう、わたしは知ってる。でも、あなたは自覚してない。」
そう言ってサーベルを突きつける。

「今の対応からして、わたしを捨てる可能性が高いと感じてるんじゃないです?わたし。」
「そうですね。まぁ、それは自業自得ですけど。」

「あなたはそれでいいの?」
「なにがです?」

「空のために残ったのに、空に捨てられるなんて。」
サーベルの先をわたしの顎につけ、上げる。少し切っ先が触れ、血が滲む。

「掴めないなら奪えばいい。そうじゃないです?空を、わたし色に染めてあげればいいんです。分かりますよね、わたしなら。」
何がおかしいのか、笑ってそんなことを言いのけるわたし。自分でも少し怖く感じる。

 なんか、ちょっと変な気分です……
 でも、今さっき失敗したばっか。今また失敗したら、今度こそ置いていかれても文句は言えない。

 自分の優良性を見せてついてきたのに、意味がなくなっちゃう。

 わたしはピクリとも動かない。加速することに全てを集中し、地面を蹴った。俊敏向上を使って、フルバーストで。

「っ!」
わたしはすぐさまサーベルを抜き去り、仮定未来眼により訪れるであろう未来を先読みし、衝波を放つ。

「現実逃避です?わたし!」
「そうかもしれませんね!」
飛んでいった自分自身を見て何も思わないことはないけど、それでも敵だから、気合を込めてサーベルを振るった。

 倒せば勝ち。折れれば負け。

 つまり、折れる前に倒せばいいってことです?自分がまさか、ここまで強敵に見えるなんて……

 これからのことを空想し、頬が引き攣るのを感じた。

「そんなことしたって、あなたの望むようにはッ!」
「そんなの分かってます!」
天震が向こうのサーベルとぶつかり、大きく振動する。

「ならどうして!」
「いたいからです!一緒に、それだけじゃダメです?」
いくつもの飛翔刃が重なり、防戦一方になったわたしに向かってサーベルを振り落とす。

「それだけで現実を捨てたんです?!」
負けじと魔断で封じ込め、わたしに叫んでくる。

「もうここが現実です!悪いですか!」
わたし対わたしなはずが、もう別の人間同士の口論に見えてくる。

「叶わないんですよ!?」
「何回同じことを言うんです?もうその言葉は聞き飽きました。議論なんて野蛮です!ここは穏便に暴力で!」
どこかで聞いたようなセリフを咄嗟に出し、サーベルを振るった。その時のわたしの顔は、少し楽しそうに笑っていた。

「頭大丈夫です?!」
「大丈夫ですよ!」
激しい剣戟が繰り返され、互いに数歩ずつ後退する。それを何回も繰り返す。

 できないことはできない。世界はそういう風になってます。そんな世界では、女の子同士のソレはいけないこと、奇怪なこと。

 でも、できないだけでやれないとは言ってないです。できないならやればいい。できるようにして仕舞えばいい。
 それがわたし流、やってやります!

「おりゃあ!」
また手に振ったサーベルは、見事にわたしのサーベルの軌道をずらし、そのままその身を斬りつけた。
 
——————

 それからいくらか経った。30分か1時間か、はたまたそれ以上か。わたしはわたしの亡骸を前に、ずっと体育座りをしていた。

「あなたの存在は、わたしにとってよかったです。自分を見直すいい機会になりました。」
少し寂しそうな声でそう言った。

 わたしの言ってたことは確かに正解。不安も現実を捨てたことへの後悔も少なからずある。
 でも、それだけ。

 わたしはわたしが選んだ道を行ってるだけ。

 まぁ、結局なんとかなるからいい!って言う開き直りなんですけど。

 わたしはその亡骸を尻目に、スッと立ち上がる。

「空も待ってるはずです。早く、行きましょう。」
そう言ってサーベルを構える。

 多分、ここは自分のそう言う弱い部分を自分で肯定する必要があったんだと思いますけど、わたしはできなかった。怖かった。
 だから、なんとかなるから大丈夫と無視した。だから、ここからは自力で出る。

「断絶!」
ゆっくり後ろに構えたサーベルが、まるでバネのように伸縮したと思ったら、その空間に穴を開けていた。そして。

「空ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
元気よく斬り開けられた空間に飛び込む。シリアスなムードが、消え去ったのは言うまでもない。

 わたしの意識は、吸い込まれるごとに消えていく。

———————————————————————

 空さんの武器を考えていたら全く時間が足りなくなりました。
 武器って案外考えるの難しいですね。

 あ、ツッコミは無しですからね?めっちゃ適当なガバガバ設定なのは重々承知なので、『物質変化と脈の力、すげぇぇぇぇ!』とでも思っていてください。(ちなみにこの魔法はすぐに少し違うものに変わる)

 あ、今回も短くてすみません。次回は、次回は頑張り………ます。はい。

 なんならここにss書きましょうか?あ、大丈夫ですか、そうですか。
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