魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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8章 魔法少女と人魔戦争

258話 魔法少女は止める

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 あれから10日が過ぎ、私はそろそろいい加減に街を出ようかと荷物を整え(収納に詰め込む)、いざ行かんと1歩を踏み出す。

 ちなみにその間、何をやってたのかというと、主に銃の試し撃ちだ。
 どうすればうまく撃てるか、どういう弱点があるのか、癖や動き、組み合わせ方とかも考えた。

 銃の腕は相変わらず下手くそで、空間伸縮で距離を縮め、直接攻撃するという形に落ち着いた。とてつもなく反則だ。私でも怖い。

 いや、流石に制限はあるよ?3つ同時に無制限とかそれだけで十分な力じゃん。
 連射実用は3メートル圏内、普通にやれば5メートル、本気の1発なら10メートル。隙が凄そう。

 って、結構伸びるね。そう考えると。

 チートぶりをしみじみと感じ、他に改良したあるものも思い浮かべる。

 あのピンクのバイク。使ってなかったけど、脈式にして1、2時間に1回魔力を入れ替えるだけで循環して動くという仕組みにした。
 やったね、移動が楽だ。

 動きながら空間を伸縮するとかは不可能に近いので、バイク上から連射とかいう技は夢のまた夢と思うと、少し残念に思う。

 でも、撃つだけならいけるよ?核石の無駄だけど。

「うーっし、それじゃあ行こうかな。」
「キューッ!」
門前に足を踏み入れた時、一瞬視界に深緑の何かが揺らめた気がした。

「空……今回は追い返されません。ついていきますよ、絶対にです。」
「百合乃……」
少し汗ばみ、体が以前より引き締まって見える百合乃は、仁王立ちのような姿になって私の前……いや、後ろに立ち塞がった。

「だからダメだ……」
「ついていきます!」
「遮らないで?」
「キュウッ」
なんだか逞しくなった百合乃がカツカツとブーツ?を鳴らしながら、鬼教官のような形相で「逃がさないですよ?」と言わんばかりに接近する。

「わたしは強くなりました。ステータスは変わらないですけど、剣姫も魔力感知も使えるんです!」

「おぉ、それは素直にすごい。」
「キュキュ?」
百合乃も遊び呆けてないで、特訓を積んでたらしい。

 それでこんな体が引き締まって……出るところと出ないところがハッキリ見える。特に軍服のスーツのせいで。

「だから……」
「ダメだって。」

「なら、力ずくでもついていきます!」
「何そのパワーワード。」
言葉のままにサーベルに手をかけようとする百合乃を見て、やれやれと首を振る。

 まぁ、こういうのはいっぺん黙らせればなんとかなるでしょ。
 流石にここではまずいとゆっくりと外に出て、百合乃も睨むように見つめながらついてくる。

「逃げませんよね?」
「逃げないよ。」
そんな問答を数回繰り返し、私は踵を返す。

「言っとくけど、そっちが先に噛み付いてきたんだからね?」
私は眉を曲げてそう言うと、右手には拳銃持って百合乃を睨む。

「覚悟、できてる?」
「キュー、キュッ!」
銃口周りの空間が縮められ、百合乃との距離はゼロ距離。そんなことも知らず、百合乃は私の右手のものに戸惑いながらサーベルを抜く。私は迷わずトリガーに指をかけ、パァァッンッ、という乾いた発砲音が響く。残るのは、燃焼した魔力の焦臭さと空となった薬莢のみ。

「……ぃっ!」
百合乃は後退りし、髪の毛を掠るに止める。

 ちっ。軌道予測か。確かに空間を縮めてるだけだから、いくら速くても避けれはするのか……

 空間伸縮の弱点でもあり強みでもある、空間の歪みに今は文句を吐きつつ、戦闘に戻る。(空間を縮めれば動きはそこだけ速くなり、伸ばせばその分遅くなる)

「……銃。それ、作ってたんです?」
「そうだね。まぁ、詳しく話すつもりはないよ。」

「今の空、かっこいいです。正直、子○が震えそうです。」
「それ、今言うこと?」
突然の下ネタをさも当然であるかのように口にし、肩を竦める。

「わたしは空について行きたい。だから有能さを、ここでアピールしてやろうと思いますっ!」
パァァンッ。

「もうそれは予測よめました。」
百合乃はうっすらと覇気の宿ったサーベルをするりと持ち上げ、目の前の弾丸を斬り裂かんと接近し、カキンッ、そんな、小気味いい音が響く。

「そんな……?え、魔断は発動してるはずじゃ……え?なんでです?」
握られていた魔断を纏ったサーベルは、電磁加速と爆薬による爆破の衝撃の速度に手が耐えきれず、手放されていた。

 やっぱり、そうくると思った。
 だから、わざわざ中に魔弾を仕込んだ。

 軌道をわずかに逸らされ、運良くまた髪を掠るにとどまったけど、次はそうともいかない。

「緊迫してるのも分かります。急ぎたいのも分かります。でもっ、でもっ!1人で出来ることには、限度があるんじゃないです?」
パァァンッ!
10日前から更に改良された銃撃は、甘えを全て捨て去った音を鳴らせて後退る百合乃を追う。

「断絶ぅぅぅぅ!」
一瞬、百合乃の腕に赤い線が走る。その腕はすぐさま真横に振るわれた。

「は?」
今度は私が困惑に声をあげ、思わず目細めて自分のを見る。

「空!」
べシンっ。漫画だったらそんな効果音がつきそうな綺麗な一撃に、更に狼狽する。

「あ?ん?……え?なんで私、百合乃に銃向けたんだろう?追い返すだけなら別に、他にも方法は……」
私は私のしたことに戸惑い、手から銃がこぼれ落ちた。

 あれから焦りが優先して、速く速くって急いで。そんな中の百合乃が邪魔に思えてきて……あれ?なんでだろう……

 そんな戸惑いとは逆に、ここ10日間で感じてきたストレスや不安は全て切り離されたかのように、今は晴れやかな気分だ。

「キュー!キュキュッ!」
「あ……キュー?あれ、いつの間に……」

「え、空?どうしたんです?いや、やったわたしが言うのもなんですけど……というか、その子なら最初からいましたよね?」

「ん?」
「ん?」
「「ん?」」「キュウ?」
私達2人と1匹、理解が追いつかずに首を傾げる。

———————————————————————

 なにやら、変な展開になってきました。

 なんでしょう。書いてる私も変な気分になってきました。
 あ、それは口内炎のせいでした。
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