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8章 魔法少女と人魔戦争
247話 魔法少女は小宴会を楽しむ
しおりを挟むえー、こちら、実況の空です。
ただいま夕刻。洞窟の辺りでは、何やらどんどんパチパチとお祭り騒ぎのようです。早速見に行きましょう。
左から、男男男。1つ飛ばしてまた男。
大昔のネタを引っ張って来て、とてつもなくつまらないネタを脳内で披露する。
ちなみに、今までのを翻訳すると、小宴会が始まってるよっていうこと。
そんな補足説明をし、ゆっくりと視線を戻す。そこには、酒盛りをしながらワイワイと騒ぐ人々が見え、これが私の守ったものか……と終わりを噛み締めていた。
「訳ないんだよね。」
主人公らしい思考からシフトチェンジし、私脳を全開にする。
そんな殊勝なこと、私が考えるとでも?思ったのは、酒臭さと男臭さ、それとうるささだけだ。
「……入りずらいな。」
昼に聞いた綺麗な声が耳に入り、振り返る。
「リーシーさん。そうですね。私、ちょっとああいうノリ好きじゃないし。」
苦笑しつつ、その言葉に同調する。
「まぁ、私たちはこちらで好きにしよう。彼女らは2人でどこかへ行ってしまったから、私たち2人だ。」
困ったような笑みを浮かべ、すまないな、と謝罪をしてくる。それに私は「全然大丈夫です」と返事をし、あの川辺までやってくる。
「ソラは酒、呑めるか?」
「子供ですよ?呑んじゃダメでしょ。」
「15歳からだが……ソラはそれ以下か?」
「17です。今回はやめとく。」
いくら異世界でも、17でお酒を呑むのは罪悪感のほうが勝った。
せめて19くらいまで待ちたい。
…‥いや、嘘だよ?20まで待つよ?そもそも私、アルコールの匂い嫌いだから呑むか分からないし。
そう言いつつ、未来の私がビールを呑みながら枝豆でも摘んでいる様子が目に浮かぶ。
「はは。ソラなら、豪快に呑んで呑み倒れるかと思ったが、違ったのか。」
「どんな風に私を見てたの?」
そのツッコミは笑いで返され、代わりに煮沸された綺麗な水をくれた。しっかり確認もした。
「それじゃあ、乾杯。」
「乾杯。」
見た目的に葡萄酒のようなお酒の入ったカップと、コツンと音を立てて合わせる。それと同時に、リーシーさんはごくごくと一気し始める。
お、おぉ……豪快。
……それじゃ、私もいただこうかな。
カップを両手で握り、一気に呷る。
はぁ~、染み渡る。
そういえば、あの時水飲み忘れたんだった。でも、そのおかげで美味しく感じる。
身体中に水分が行き渡る感覚に、クセを覚えつつリーシーさんが拝借して来たという料理を簡易テーブルに置く。
「向こう、なんか楽しそうですね。」
「そうだな。勝利に酔いしれているんだろう。」
そう口にしながら、骨のついた小さな肉を頬張る。それを真似して、私も1口食べてみる。
手羽先?食べたことないけど、そんな感じがする。でも味が薄いし小さいし、まぁ保存食だから仕方ないか。
特に肉汁が溢れるわけでもなく、味が格別おいしいわけでもない。でも、大仕事を終えて空腹なタイミングで食べると、とても美味しく感じる。
硬い肉をガジガジと噛み、飲み込む。ぬるい水を注ぎ、一緒に飲む。主食の硬いパンも、水に浸せば柔らかくなる。
「……うまいな。」
「そうですね。プライスレスな感じ。」
「ぷらいす……?まぁ、今までは味が感じなかったからな。」
「そうなの?」
「あぁ。いつ危険が襲ってくるか分からない中食べるご飯は、とても美味しいとは思えなかった。特に、血の匂いの広がるあの戦場で食べたパンは、死の味がした。」
苦しい記憶を思い出し、ぐっと肉をもつ手に力が入っていた。
「今日は暗い話は無しでいきましょう。ほら、笑って食べて。」
特に私は笑わないけど、テンションは1段階上げる。
「イェーイ!」
「い、いぇーい!」
ノリに合わせて手を頭上で振り回す私達。食事そっちのけではしゃいで、腕には心地よい疲労が残る。
それから1時間ほど宴会は続き、こっちはこっちでたけなわってきた頃、「少し花を摘みに行ってくる」とリーシーさんが言ったので、それを了承して1人ちびちびと水を飲む。
「少し味気ないけど、幸せな食事ってやつなのかな。」
独り言をポツリと漏らし、薄味の肉をはむる。
実はこの肉、骨に味が滲み出て舐めると美味しいんだよね。
さっきからずっとこれ食べてる。
「……そろそろ飽きたね、これ。」
別の皿に視線を移し、口の中の肉味を洗い流そうとカップに口をつける。
美味しいといいつつ飽きたって。まぁ、飽きるもんは飽きる。同じ味だし。
「あれ、もう水ない?」
水がなくなったことに気づき、空になったカップを見つめ、ため息を吐いた。
「取りに行きますかぁ。」
水魔法でなんとかなることを完全に忘れ、男達の方に行……こうと思ったけど、やめた。
無理だよ、やっぱ。向こうはまだ宴会状態。完全に終わる雰囲気出してるこっちとは違うもん。
仕方なく食べるのを諦め、気分転換に森のほうに散歩でもしようかとぐっと伸びをする。
「うわっ、なんか霊とか出そうな雰囲気。」
冷風が吹き、身震いして辺りをキョロキョロと確認する。
魔物は大丈夫だけど霊はやめてね?対処方法とか知らないから。
そんな心配は杞憂だったのか、私の周りには不思議と気配が無い。逆に怖いくらいに。
そう、それが悪夢の始まり。
まぁ知らないけど。
適当なナレーションに笑っていると、ガサっと音が鳴る。
「え、なんの音?」
万能感知を発動し、そこに1つの反応があるのを確認する。
この反応……人?
恐る恐る草木をかき分け、音の発生源へと向かった。
「……………………」
「……………………」
そこには、1人の人間がいた。そしてどこからともなく、2人同時に口を開く。
「「なにこれ。」」
———————————————————————
ここに書くことは本文によって長くもなり、短くもなります。
つまり、今回はないということです。
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