魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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8章 魔法少女と人魔戦争

242話 魔法少女は魔法を使う

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 魔物と竜の特性を併せ持つ、トリケラトプスを縦長にしてずんぐりさせたような生き物の動きを確認し、私はステッキの握る力を強くする。

「………そっち、来ないの?」
意味のない問いかけをすると、それは当然無視される。

 あの見た目で相当なスピードがある。
 突拍子もない攻撃とか、素っ頓狂な咆哮とか、気を紛らわしてくる変な攻撃はもう御免だよ。

 ここ少しの間、戦ってきた感想を述べる。

 あいつの初撃からいくらか経って、傾向を把握したからこそ、じっとその場で待つ。

「…………………」

「…………………」

「キュ……………」

 この場で喋るのは、ほんとキューくらい。炎の音がが後ろで鳴ってんのに、ASMRかっていうくらいの平静さだよ。
 神経図太いとか範疇超えてますよ!

 結構狭量な私は、そろそろ痺れを切らしそうになる。

 私、60分の授業まともに集中できないタイプの人間だから。
 テストは、餌を吊るして頑張った。ゲームとか漫画とかラノベとか、そういうの。

 無駄な情報をこんな時に開示する。

「……鑑定眼。」
そろそろ戦いの火蓋は切られてもいい頃だと思い、右目を染め………

「っ、ぶなっ!っと、おっ……」
唐突に消えたと思ったら、目の前に現れる魔竜。バックステップからの空中歩行で空に浮き、なんとか避け切った。

「万属剣、ファイボルト!」
懐かしの感触に感動を覚えながらも、魔法は上手く射出される。

「キリイィィィッ!!」
1つ啼き声を上げると、またも姿が消え、攻撃は掠りもしない。

「うざっ……これがってやつ?」
鑑定眼に一瞬映ったスキル名を口に出し、顔を顰める。

 今回は久々の魔法戦。キューはそろそろ退場してもらおう。

「キュー、向こうに避難しててっ!」
「キュキュッ!」

「アースアイス!」
キューを別方向に投げ、移動されないように地面を揺らす。キューは地面にはいないので関係ない話だ。

 よし、このまま地面に張り付けとけば……

「キャリィィィィィィ!!」
揺れをものともしない魔竜は、キューではなく私を目掛けて一直線に走ってくる。

 いや、キューのほうを狙わないの?頭がいいのか悪いのか……

 若干の呆れを顔に出し、流星光槍を置き土産にする。

「そのまま風穴が開けばいいんだけど……そう上手く入ってくれないよね。」
光槍を蹴りで放ち、その勢いで退散する。

「………………ッッッ!」

「無言っ!?」
啼き声を出さなきゃ死んじゃう病の魔物が、何も叫ばずに突っ込み、光槍を弾き返す。

 いやいやそこじゃない。
 あの魔竜、強くない!?どうにかできなくはないけど、強くない!?

 もう1回言うよ。強くな……

 そんな驚きの心の声は、声にまで出そうになる。そして、その天からの鉄槌は誰からもツッコまれることはなかった。

「魔法少女特性、3連刃!」
万属剣、暗黒弓、流星光槍に魔力をたっぷりと注ぎ、同時に射出する。

 どんな発動条件か知らないけど、そうやすやすと連発はできないでしょ!

 予想通り、魔法は魔竜の元に向かい、無事に全てを吹き飛ばされた。

「忘れてた……こいつはこいつ本体も強いんだった……」
自分の記憶力の薄さに、自らを嘆いてしまう。

「キャリィィィィィィ!!」
また咆哮を上げる。空気が揺れ、同時に脈が震える感覚を覚える。

 魔力が乱されて……?

 混乱し、動きが止まっていた私に、脈が取りつく。

「ちょっ、そっちも脈使えるの!?」
身動きが完全に取れなくなった私に、本気の突進をかましてくる魔竜。

 そっか、そういえばこいつ、竜要素もあったんだった。

 重要な部分を忘れてしまうのが、魔法少女クオリティであった。

「ごふっ…………」
一瞬、身体激化で体を強化したけど、流石に直の攻撃は防ぎきれなかった。つまり、私は吹っ飛ばされた。

「何こいつ……なんで的確に魔力の流れを狙ってくるの……っ、いったぁ~!」
お腹をヒールでなぞりながら、痛みで声を漏らした。

 こんなのどうやって倒せと?

 そもそもなんでこんな魔物?竜?が野良にいるの。ちょっと神様ー!話が違うんだけどー!

 今もどこかで見てるであろうあの神に、届かない心の声を叫ぶ。

「トール!」
牽制で雷を放つ。もちろんこれはブラフ。本命は混合弾で、今目に見える影全てに遅らせて放つ。

「リィィィィィィィィッ!」
甲高い啼き声が耳朶を打ち、そのうるささに顔を歪ませる。それとほぼ同時に目の前から魔竜はいなくなり、私が撃った混合弾のうちの1つに着弾した。

「よっし、初めて当たった!」
そう喚起するのも束の間、魔竜は怒りで突進してきていた。

「これもしっかり耐えていくと……おっと、危ない。」
アイスシールドで減速させ、その隙に横に跳んで回避する。

 暑さ対策魔法がこんな形で役に立つとは。やっぱり作ってみるもんだね。

「エアリスリップ!」
通過した魔竜を中心に竜巻を起こし、水球をぶつける。

 ただの水球じゃない。威力はコンクリート玉を投げつけるくらいの威力だから、結構効くんじゃない?

 確実に当たった。そう思っていた時、竜巻の渦の巻き方が変化する。

 段々と中央へと集まっていき、ブラックホールに吸い込まれるようにして、最終的には無くなってしまう。
 その先にあったのは、スリムに変化した魔竜?の姿だった。

 トリケラトプスの原型はほとんど無い。

 四足歩行は二足歩行となり、右翼と左翼が2本ずつ、計4本付いている。筋肉ががっしりとつき、脈は自然と溶け込んでいる。

 黒色の怪獣王にパーツ増やして、小型化させた感じの見た目だ。

「ほんとにこれ、竜なの……?」
竜としての原型はもはやなくなり、完全に魔物のそれと化している。

「第2ラウンドの始まりってこと……かな。」
いい加減、人魔戦争に疲れた私は、目の前の怪獣と相対する。

 この勝負、勝たせてもらうよ。

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 はい、バトルシーン始まりました。魔法もようやく解禁です。

 次回
怪獣王ゴ○ラVS魔法少女ソラ

 お楽しみに。(嘘)
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