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8章 魔法少女と人魔戦争
240話 魔法少女は大爆発
しおりを挟むドガァァァーーーンッ!
開幕1秒、なぜか爆発音が森一帯に響く。
ドガァァァーーーンッ!
立て続けにもう1度、爆発音が響く。
そして私はこうとひと言。
「私は無罪だぁぁぁぁ!」
空中で叫んだその声は、遠い遠い空の彼方まで響き渡ったのだった。———end
なんて上手く閉まるかいっ!それで収拾ついたら、こんな叫んでなんてない。
ま、理由が分からなければ原因なんて分かりようがないので、あの爆発が起こる寸前の記憶を思い出すことにする。
回想というのをしてみよう。
私は、一旦キューと目を閉じて過去の記憶を蘇らせる。
私はあの時、脈を引っ張り、水を叩きつけていた。(これだけ聞くとパワーワード)
脈を反発させて威力を借りてるという原理だ。
でも、使い古した脈は新たな力を補充することができずにどんどん弱っていく。別のものを使えば良かったものの、そんな気は回らない。
水をバシャッ、バシャッと地面に叩きつける度に炎は強くなり、焦りで方法も思い浮かばなくなる。
いたちごっこだ。円を描いて、それを消そうと後を追う。いや、私は負けてるのか。
そんな時、ある1つの方法を思い浮かんだ。
そうだ、水球を幾つにも重ねて落下させればいいんだ、と。
「善は急げ!」そんな軽快なセリフを吐き、脈から力を絞り出して水を連ねる。
この時代は日が昇るのが早いのか、もう太陽はすぐそこまでやってきていた。
私が時間を忘れてるだけの可能性もあったんだけど。
ところで、こんな事故は知ってる?
金魚鉢が太陽の光を反射して、カーペットとかに火がついて火事が起こったっていうやつなんだけどね。
さて。私の水球は、丸く形どられている。見た目は綺麗なガラス玉のようで、流石は空力製。弱っていてもここまでの力がある。
そして朝焼けが、その水球の水にイン。光を集めて次の水球へ、そしてまた、また。
私が大量の水球を完成させた頃には、完全に光は収束しきっている。さてさて。真下には何がある?もうすぐで引火しそうな大木だ。
わお。なんて偶然なんだ。
先を見越して私が移動しただけだけど。
光を当て続けられた木。そして周りの熱気。木が燃えるのに、それ以上の理由はなかった。
もうすぐで引火する。そう思った瞬間に水球を一斉に落とす。
「水球連弾だー!」なんて騒いでた頃が懐かしい。
もちろん木は燃えた。他の炎からではなく、虫眼鏡の原理で溜められた光によって。
それによって大木は燃え盛り、炎のサークルの中でもより際立った存在になる。
そして大木の炎は唐突に弱まった。
周囲には炎で熱気が篭り、空力の炎は脈をも焦がして魔力を放出させた。魔力は熱気によって遮られ、唯一燃えていない大木へと集まる。
そんなことにも気づかず、水球がゴールイン。
熱気は中途半端に効力の強い水でかき消され、大木の炎は勢いを取り戻し……爆発が起こったかのような「ドガァァァーーーンッ!」という轟音を鳴らし、大木は見る影もなく巨大な火柱ができていた。
火は空力全開、私の全力の炎、そして魔力を燃料にしている。一方の水は、使い古された弱い力の水。
どっちが先に負けるかは、火を見るより明らかだ。この状況だけに。
なんつって。
まぁつまり、こういうことだ。
ドガァァァーーーンッ!
爆発で生まれた火柱に突っ込んだ残りの水球は一瞬で蒸発し、熱気を全て吹き飛ばすような大爆発を起こした。
「そうか。うん。スネイクと戦った時と同じように、森が爆発したのね。」
本当に現実か疑いたくなるけど、キューの感触は本物なため、受け入れなければいけない。目を片目で開けると、木々が散らばり、さらにそこに残った炎が引火していた。
「キュー。これ、私のせい?」
「キュウ……?」
「そっか、分からないよね。聞いた私がバカだった。」
少しガクッと肩を落とし、ため息混じりの死んだ目で燃え盛る森を見ていた。
「キュー、なんとかならない?」
「キュキュウ?」
キューにいくら聞いても、キュキュキュキュよく分からない言葉を発するだけなので、もう聞くのはやめておく。
もうこれは完全に燃えるよね。どうにも出来ないよ、これ。
これはこれで燃やしとこう。この辺の森は全部見捨てよう。うん、そうしよう。
若干の絶望の中、色々と諦める。
ん?待って…………炎に対魔とかそんなの付与したら、この辺魔物は近づけないんじゃない?脈から付与したりして。
その隙に、燃えてる範囲内に空力で結界みたいなの作って。そうすれば、一時的にでも魔物の侵攻を止められる。
そんな中、一縷の希望を見つけた私は、次第にやる気を取り戻す。
「よし、やってみようかな。頼める?」
「キュッ!」
詳細のある命令は分かるようで、「任せろ」みたいな顔をする。クリクリな目には合わないけど。
脈探知……オッケー、炎全体に行き渡るように魔物避けを作って……品種改良してる気分になってきた。
そもそも品種改良してる気分ってなんだろう。
謎の気分を感じてきたことで、疲労が蓄積されてることに気づく。
「ぱっぱと終わらせて帰りたい……」
脈のバリケードを作り、私は空中でそう呟く。
よっし、地盤は固めた。下地は作ったし、そろそろ休憩を……
あ、ダメですか。
私は疲れた足腰に鞭打って、地上に降りる。この炎はただの炎じゃないので、魔法少女服を貫通して熱気を感じる。
「熱っ……魔法少女服働いてよ、ほんと。神様も機転とか効かせて……」
魔法と物理にしか耐性ないこの服に、少し文句を言いたくなる。
コート脱ぎたい……魔法少女服で、温度調整できてたからいいけど、出来ない今は暑くてしょうがない。
コートをパタパタとして風を送るも、熱気が入ってきて逆に暑く感じる。
「終わらせれば帰れるんだし、急ぎでやるとしますか。」
神速で踏み込み、私のやるべきことを始める。
内側から外側へ。魔物を追い出していく。
この炎の中には魔物は生きれない。そして炎が消えた時には、結界で近寄れない。
そんな状況を作るために、熱い中円を描いて炎を閉じ込めるように頭で想像する。
「ざっと完成図は見えてる。あとは作るだけ。」
考えを言葉にし、後戻りをできなくする。
宣言したことを実行しないほど、私の精神は軟弱じゃないよ。
めんどくさいことはそもそも宣言しないだけとも言うけど。
結界の作り方?知らないよ、そんなの。
その場のノリと勢いでどうにでもなるよ。
———————————————————————
次回こそは、次回こそはまともな話になるはずです。アクションが起こるはずです。きっと、多分。そう信じていてください。
それにしても、あの現象使い回しましたね。
ですが、火災時に起こる爆発の現象を二つ同時に起こして地形と土地を歪ませてるので許してください。
心の声(ここが後の竹林なんて、誰も思わないだろうな~)
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