魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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8章 魔法少女と人魔戦争

239話 魔法少女と消火活動

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 ここには森がある。危険な森だ。そしてその森の上空に、私は飛んでいた。なんでこんなところにいるって?そんなの簡単。戦争へ駆り出されたから。

 酷いよね。ほんと。

 それはどうでもいいとして、その状況下で私は、キューと会話をしていた。
 内容は、めまいの話だ。振り回しちゃったせいで、キューの目が回ったみたいだ。

 そんなキューの今後が少し不安になってきていたが、真下で起こっていることはもっと危ない。

「……現実逃避、やめようか。」
そこには、とてつもない範囲に燃え広がった炎。パチパチと音が立ち、私の不安を煽ってくる。

 私、これ今から消火するの。

「不可能だよ!」
1人ツッコミを入れるも、それすらも億劫になってすぐに口を閉じた。

 もうこれ、笑うしかないよね。消火と言われても、脈の反発を使った消火じゃ限度がある。

 炎は、少しの間禁止にしよう。せめて、それなりの氷魔法やらなんやらを覚えるまで。

 心で反省をする。

 反省はいいことだ。
 時と場合を考えない反省は良くないけど。

「空力じゃあ、炎とかの爆発系しか上手く使えないけど、これは個人差とかなのかな。得意不得意的な。」
そんな思考を巡らせつつ、脈探知で見つけた脈をキューの力を借りて引っ張る。

 脈は不可視で触ることもできない。それを、通常の空力で具現化することによって、触れることを可能してる。

 名付けて、触れる空力!

 キューの力を頼りに水を脈から生み出し、まるで弓の弦を弾くように、高出力な水を発射する。

「もちろんそこは空力製。熱で簡単には蒸発はしない!ほらほら、全然消化できてないけど、蒸発はしてない!」
現実を受け止めきれず、テンションを上げた。もちろん、脈の力にも限界があるので、いつしか威力は落ちる。

 よしよし。このまま森が燃えたらどうなる?更地になって魔物が真っ直ぐ来る。お終い!

 あー!竹林の村みたいにガードがあればいいのに!

 電気柵的なものでも設置できたらな……と、この世界にそぐわないものすら考え始める。

「うーむ、炎は木に沿って燃えてってるし……先に木を濡らすとか?意味無さそう。」
いくら考えても答えは生まれず、あぁぁー……と、悩みに悩む。

 あれもダメ、これもダメ。それもダメ、どれもダメ。何がいいの、結局。

 若干迷走してきたので、原点回帰で普通に消火を始める。

「キュッキュキュー、キュッキュキュー!」
頑張れ、頑張れ、のテンポで鳴くキュー。仕事をしながらそんなことができる有能ぶりに、「流石は聖獣」と賞賛の声を送りたい。

 私とは大違いだね。神から生まれたキューは、生物としての格もその他諸々も違うみたいだ。

 私みたいな身も心も、冒険者ランク以外全部B級な自分と比べ、悲しくなってくる。

 神>>キュー>>>>>社会人>学生達>私>ニート
 こんな感じかな。

「もっと大量に水って出ないのかな?一向に終わる気配がしない。」
水をバッシャバッシャと両手から弾き出しながら、哀愁に満ちた声で言葉を漏らす。

 ヘイよー、強制労働。永遠労働。ブラック企業!そんなんほんとマジ反対。反抗投降、消火活動!チェケラ。

 え?全然ラップじゃないって?一般学生が、途端にそんなの思いつくわけないでしょ。ノリだよ、ノリ。

 やっぱり、1人問答はやめられない私だった。

「水魔法って案外汎用性高い気がするんだよね。混合魔法のエアリスリップしか持ってない私が言うのもなんだけどさ。」
「キュキュッ?」

「ほら、窒息させるとか、飲み水とか、落下時の緩衝材にもなるし、水圧の力もすごいじゃん。」
アクアソーサーは完全に水では無い何かなので、無視することにする。とにかく、水系統は戦闘じゃなくても使いやすいからいいよねって話だ。

 あー、魔法使いたいなぁ。

「不便だよね、ほんと。」
ただだたそう愚痴を吐き、段々とこの消火時間がキューとの談話タイムになってる。だんだけに。

 この炎、消すか消さぬか……
 いやね、消すには消すと思うけど。何かに利用できないかなって。ちょうど、炎が盾みたいになってるからそれを利用して……なんて。

「もっとこう……捻ってやれば?」

 思考とは反対の行動をとってるけど、そこは見逃してもらって。

「あぁ、地道にやるかな……」
そうして私は、脈を引っ張った。

—————————

 髭を蓄えた老人。龍神ルーは、まだ何もない空島にて顔を顰めていた。

「………結界か。魔力の質は低いが、結界の出来は完璧。………もう帰ることはできないな。」
寂しげな声音で呟く。

「……逃げ道はどこにも無い。自ら向かうべきか、呼び込むべきか。」
龍神はやけは起こさず、少し思考を回す。

 もう後戻りはできない。慎重に行くべきか、早急に決めるべきか。
 過去が塞がれたのなら、楔となった少女もまた、この世界から出られないということだ。

 龍神には1つ誤算があった。
 彼女があの日、エディレンの話した転生者だということを知らなかった。

 少女は既に竜を殺し、このままでは人魔戦争に参加する龍も餌食になる可能性がある。

 そのため、迅速な決断が必要だった。

 自らの危険が少ない状態で、あの少女を殺さなければならない。

 楔が壊れれば、当然繋ぎ止められていた現世とは離れ、2度と戻れない。だが、結界が張られた今、楔を残す必要性は無い。殺す必要もないが、龍にとって危険分子は取り除くのが得策だ。

「………世界に告げよう。祝福を与えん。」
彼は楔に向けて言葉を放つ。

 篩にかけん。悪しき者には罰、善なる者には祝福を。そして世界は昇華する。

「………龍神、ルーはここにいる。」

 この言葉が届いたのは、戦争が一旦の終結を迎えた頃だった。

———————————————————————

 今回は永遠に消火回です。これからのために、色々言わせておきました。元からこの章の内容は薄いので、結構書くの大変です。
 そして今回も、ただただ消火するだけなので、文字を書くのがとてつもなくめんどくさかったです。なんでこんな回を作ったんでしょう。

 全く関係ない話ですが、Twitterで謎動画を見つけて1人笑い転げておりました。執筆時間がとてつもなく削られました。どうしてくれるんですか?
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