252 / 681
8章 魔法少女と人魔戦争
237話 山登り
しおりを挟む神命令。俺に与えられた指示はここにある。
その内容はある程度の情報と命令。そしてそれを遂行するための方法。
事が起こった原因は神である龍神が歴史を改編しようとしているという。その過去から出られないよう、結界を張るというのが今回の命令だ。
それをすれば、100%神は滅ぶ。……らしい。
原理は全くもって不明だが、なるといるというならなんとかなるんだろう。
そんな過去に戻った隙を狙い、棲家である空城へ行き、そこを中心として結界を張る。そのために今俺は、長く険しい道を《補助能力》超加速にて進んでいる。
結界の名は封結界。
厨二病患者が付けそうな安直な名前だな。結果気を張ったら帰れない、という理由は分からんが、それで神が殺せるというのならば、それでいい。
目的を達したら、次は人神。あいつを殺す。
決意を固め、魔物を無視して加速を続ける。
あんな雑魚どもを相手している暇はない。威嚇でもしておけば勝手に逃げていく。そもそも、相手をする必要がない。
話を戻そう。封結界は理由は教えられなかったが、空城でしか発動できないらしい。
何か条件でもあるのか?龍神を封印するためには、関係のある場所でないといけない。とかな。
ある程度の予測をつけつつ、山を駆け登る。
創滅神とやらは今も見てるだろう。
「神が死んだら、死体を寄越せ。腕でもいい、脚でもいい。でなければ、今すぐここを引き返す。」
人のことを劇中の役にしか見ていない神に向けて、約束のしようのないことを叫ぶ。
「分かっているな。」
あの神の捻じ曲がった性格を信じ、速度を上げる。
神の死体があれば、より一層俺は強くなれる。乞食者と似たようなスキルに、死体を使ったスキルがある。それさえあれば、神に叶う力が得られる、
世界をかき乱す存在は、さぞかし面白いだろう。必要悪というやつか?そんなものになるつもりは毛頭ないが、この世界にとどまるつもりもない。
悪党くらいがちょうどいい。日本に戻るためなら、悪役になんていくらでもなってやる。俺には関係ない話だ。
その言葉を、俺は世界の神に告げる。
超加速を使ってもこの距離。情報が流れ込んできたと同時に、マッピングされてるとはいえ、それとこれとは別。
辿り着けるとは限らない。
もう考えることもないな。移動に思考を費やそう。
どうせ、神のことなぞ考えたところで意味は無い。あんな、頭の螺子が外れたような奴が集まってる神の思考を読めるほうが奇跡だ。
俺は1度目を閉じ、全ての思考を放棄する。そして、感覚だけを頼りに全てを速度に充てる。
《常時能力》のオートシリーズで攻撃防御はどうとでもなる。
そして時は流れ、山を駆け登ること約2日。流石の俺でも疲労が溜まり、山の麓で一休みをしていた。
「マップ上だとこの真上、か。」
山を覆うように出来た、分厚い雲を眺める。
なんの偶然か、俺は上昇のスキルを持っている。どこかの神が起こした必然なのかもしれないが。
この分厚い雲を吹き飛ばし、地球でいう大気圏あたりにある。
今の俺の体なら、大気圏程度生身でも余裕だ。
「……っ!なんだっ!」
突如として雲の隙間から光が伸び、俺の視界を奪う。すぐさま危険と判断し、右手を火龍の炎で包み、迎撃体制をとる。
まだ疲労は回復してねぇんだ。来るんだったら先に言っておけ。
それから数秒が経ち、光も消え去った頃に辺りを見回す。
「紙……?」
現れていたのは、1枚の紙。そこには怪しげな力を感じる墨で描かれた魔法陣のようなものがあった。
「これを使えってことか?」
そんな予感がし、左手で紙をキャッチする。
あの神が俺の能力について知っているのだとすれば、これは封結界を張るための魔法陣、ということになる。
あの神、俺がここまで来ることを疑ってたのか?信頼に足るかどうか、ここまで試してきたと。
「腐れ神が。いつか絶対ぶっ殺す。」
舐め腐った神の代わりに、地面を火龍の炎を纏った右手で破壊する。爆発が起こったかのように地面が抉れるが、気分は晴れない。
多少の下心はあるが、人が無休で働いてやってる中、あの腐れ神は一体どこで何をしてやがるんだ。
少しは働いて欲しいものだ。
「チッ。考えたって埒が明かねぇ。さっさと行くか。」
休憩もほどほどにし、上昇と超加速の2つを重ねて使い、加速上昇する。
もしこれで死体が貰えない場合、もちろん俺は神を殺す。世界をメチャクチャに荒らし、もうやめてくれと懇願されても、全てを更地に変える。そして最後に、ゆっくりと殺す。
俺は限界まで強くなる。レベルの上限がどこまであるか分からない。ステータスの上限がどこまであるか分からない。スキルも、魔法も、上限があるかもしれない。
それでも、限界をぶち抜いて強くなってやる。
こんな神の娯楽に付き合ってられるか。俺は絶対、日本に帰る。
遊びで生かされてやるほど、俺は甘かねぇ。
「待っていやがれ、神共。いつかお前らは地獄に沈む。」
俺が今この世界にいる理由を確かめるように、小さく呟く。
—————————
「はっはっ!面白いことを言うな。こいつは。これはいつか、神にでもなるじゃなかろうか。」
どんな生物も立ち寄れない未開の地。そこで神は、1人の転生者の姿を覗いていた。
「この我を殺す?いいだろう。もしもその時が来たら、我は全力で相手しよう。」
世界から隔離されたその場所で、神は独り言を漏らす。
この場所は彼女の眷属でなければ行き来できなず、世界にも干渉ができない場所。本気を出せばねじ込めるが、世界の崩壊が進む。
この神は、そんなことを気にすることなど無いが。
「これはあの魔法少女と会わせたら面白いことになるぞ。蠱毒だ!食い合え!殺し合え!勝ち抜いた者こそが、我へと近づく者だ! 来い、我が地に!」
また何か企みを始め、笑い始める。それを止める、いや止められる眷属などいるはずもなく、ただただ1人、娯楽を求めた。
———————————————————————
魔法少女無双をするため、彼には働いてもらいました。頑張ってー、レン。
話を進めるための足場になってくださーい。
作者の自分が言ってはなんですが、こんなに話が適当になっているのは自己満作品だからです。ご了承ください(?)
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。
みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい!
だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる