魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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8章 魔法少女と人魔戦争

235話 魔法少女は1人で戦う

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 私、1人で戦う羽目になっちゃったわけだけど……

「勢いで言っちゃったけど、不可能じゃない?」
魔物が出現し始めたその時、私はそんな言葉を漏らしていた。

 だって、この量の魔物が私のところに来る保証なんてないし、通り過ぎられたら無理。
 空力だけでどうしろと。

「キュー。どうにかできない?」
「キュッ!」
「うん、さっぱり。」
キューの言ってる言葉は理解できないので、仕方なく自力でなんとかする。

 あ。完全に忘れてたけど、私。大量のSPが残ってるんだった。

 今のSPが204910……多い。これで魔法を創ればいい!

 今回は要所要所で思いついた分だけ創ってこう。そしたら余裕かも知れないね。うん。

 希望を見出し、早速取り掛かる。

 まず必要なのは、空力の操作。だから、万能感知の他に、脈探知を創ろう。
 あと神速はいっそのことⅩまで上げよう。

 そういえば、地龍魔法のⅤ×3っていうのは、地龍能力の上限操作で、Ⅴの上限を増やして強化量を上げてるらしい。
 うーん、難しいね。Ⅹの上限上げればよかったのに。

 閑話休題。

 空中歩行も使える魔法だし、Ⅴまで上げるとして……あー、大変だ。

 SPは結構減った。ざっと6000くらい。でも、私のSP20万越えというとんでもない量だから、痛くも痒くもないっていうね。

 私の(地龍さんの)凄さに恐ろしくなってくる。

「これであの2人の真似できる?」
「キュキュッ!」
元気に返事をするも、よく分からない。でも、空力の発動を感じたので私も脈探知でしっかりサポートしながら、空力を発動する。

 主従逆転してきてる気がする……

 そんなことは記憶の端に追いやり、今は今に集中する。

「ヘイト。」
その言葉を口にすると、キューが反応するように「キュー!」と鳴き、私の周りに脈が集まる。

 あっ、そうか。分かった。2人がこの方法をとったかは分からないけど、原理は同じだと思う。

 この脈に向かって魔物は来てたのか。魔物は力を欲するから、魔力とかこういうのに反応するんだ。

「これなら、私でもできるかもしれない。」
微笑が溢れ、刀を構える。今なら魔法も使ってもいい気もするけど、初志貫徹。使わないと決めたから一応貫こう。

 進化した神速で、自分からやられに来た魔物に接近し、ますまは首を一刀両断する。そのまま空中歩行で空を蹴り、空力の炎を宿した刀を振るい、集まった数体の魔物を薙ぎ払う。

「うわっ、強……、ん?流れが……」

「キュウッ!」
空力が脈に流れたと思ったら、後ろに大きな影が現れた。

「グ、ガガァァァァァァァァッッ!」
クマのような魔物が腕を振るっているのを、脈の変化を感じ取ったキューが脈で縛り付けて止めていた。

 キュっ、キュ~!危なかったぁ。危機一髪じゃん。

 安堵のため息もそこそこにして、私は刀を真横に振るい、クマの身体を斬り裂いた。

「うっ、返り血ついた……」
ベトッとする感触に顔を曲げ、軽く拭って次に行く。

 脈探知、作るのにだいぶSP使ったけど……まさか神魔法だったりする?

 その予想は、なんとなくあってる気がしてなんとなく身震いが起こる。
 私はとんでもないものを創ってしまった、と思ってしまう。

「あの子達もこんな感じで戦ってたのかな。よっ、っと!」
魔物の気配を感じ取ってバックステップを踏み、空中歩行で1歩上がって回避。そしてそのまま突き刺す。もう血はついたし、吹っ切れて気にしないことにした。

 いちいち気にしてたら冒険者なんてやってられないよ。

 と、気にしていた私が思う。

 最初の波を越すと、次は見覚えのある蜂が襲ってき始めてきたので距離を取る。

「こいつら、針飛ばしてくるから厄介なんだよね……」
刀を逆手に構え、弾く準備を整える。すると、前方にいる蜂達は突っ込んできて、後方部隊がが上に向けて針を放つ。

 この蜂、頭使ってきてる?知恵持っちゃった感じ?あの時は馬鹿の1つ覚えみたいに、針飛ばしてきてたあの蜂が?

「後ろに逃げたら串刺し、前に行ったら軍勢に飲まれ、立ちすくんでても同じ……」
どうしよう……、と、私は少しの間逡巡する。

 後ろも前もダメ。なら、全て真正面から消し去ればいい!

「炎刀っ!」
炎を刀身に全て込め、脈ごど巻き込んで刀を振るったその瞬間に、貯めた力を一気に解放する。

「渦巻け!」
捻れた脈が元に戻ろうとする反発力で荒れ狂った炎の渦は、爆発を生みながら針と蜂を消し飛ばす。

 お、おぉ……?森が焼けて……

 魔法と違って脈に戻るはずの炎が、そのまま森に着火して燃え上がる。

「えぇ、やばくない?消火しないと……」
空中歩行で全体が見回せる位置に移動し、範囲を確認する。

 うわぁ……すごいことになってる。魔物も近寄らないんじゃない?
 このままだと全部燃え尽きるだろうけど。

 脈探知で使えるようになった新たな力。脈自体を使った攻撃と補助。そして脈の反発を使った高出力の攻撃。
 森を燃やしたことを除けば、グッドな成長なんじゃない?

 今頃、拠点で惚けている指令さんが思い浮かび、ちょっと笑ってしまう。

「案外1人でもいけるもんだね。ヘイトってやつができなかったらどうなってたことやら。」
そう呟いていると、コートがモゾモゾと動く。

「キュ、キュウ……」
ぐったりと疲れた様子のキューが、肩に登ってくる。

「大丈夫!?力使いすぎた?」
「キュ……」
体を横に振る。ノーのサインだ。

「炎が熱かった?」
「キュ……」
またも体を横に振る。

 えー、じゃあなに?
 それ以外それ以外………

「……目が、回ったとか?」
「キュキュ……」
弱く体を縦に振った。イエスのサインだ。確かに、めっちゃ動いて回転もした。

「キュー、頑張ろう。」
そうとしか出てこないので、頭をぽんぽんと撫でてあげる。特に意味は無い。

 それはもう無理だよ。これだけ魔物がいるのに動くなって言われたら、私は森を焼き尽くさないといけなくなる。

 キューには辛いことを強いるようだけど、頑張れ。耐えるんだ。
 どこかの太陽神も言ってたよ。もっと熱くなれよって。

 ん?使うところ間違えてるって?
 そんなの知らないよ。

———————————————————————

 もう秋ですねー。1番好きな季節です。花粉も虫も気温も、どれをとっても都合がいい。結局は消去法なんですが。
 私も死なないようこの秋を生きますので、皆様も頑張ってください。
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