魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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8章 魔法少女と人魔戦争

232話 魔法少女と困窮した地

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 ———絶望に堕ちる団長や心配を募らせるツララらをよそに、魔法少女は能天気にも少女2人の観察をしていた———

 歩き始めてそろそろ何時間か経つ頃。
 後ろから2人を見つめて、改めて容姿を確認していた。

 赤い髪とオレンジの髪の少女、って言う印象しかなかったけど………よく見たら、髪にめっちゃ艶がある!
 え、どうでもいい?あ、はい。

 容姿は2人ともそっくり。姉妹、双子の線が有力だね。言動に多少の違いはあるから、完璧鏡写しとはいかないけど。

 お前、とか口の悪くて語尾がますのはうがオレンジ髪の子で、少し荒っぽい言葉使いで、語尾がですのほうが赤髪の子。
 普通に仲良さそうで、プラスで魔力も感じない。

 空力?とも思ったけど、特にそんな予兆?気配もない。コートの中に隠されたキューも、全然反応しないので違う気がする。

 ということは、人間じゃない……?そもそもどうしてあんな奴の言うこと聞いてるの?
 強さは十分あると思うけど……

 いくら考えても答えは出ないので、思考は一旦放棄する。

「ジロジロ見るな。ます。」
「歩くのに集中する。です。」

「歩いてるって。」
理不尽な文句をそう躱しつつ、少し離れた距離を小走りで縮める。

「さっきから視線がうるさい。ます!」
すると、少しご立腹の様子でこっちを振り返る。

 視線がうるさいってなに!?この子天然?
 あと今は見てないよ。

「誤解誤解!私は無実、無実だってば。」
ギリギリと威嚇してくるのを宥めてると、その視線が私ではないことに気づく。

 いや、私ではあるけど。正確に言うと私のコートのお腹部分。
 キューのいるところ。

「キューッ!」
謝っているのか、そんな感じにコートの中で鳴く。

「見るなら出ろ。ます。気分が悪い。ます!」
「静かに。です。」
怒りをあらわにするのを、冷静に宥めていた。

 ですのほうがお姉さん的な方かな?
 まぁ、合ってるかの保証はないけど。

「キューのこと言ってたの?」
何となく確認をとる。それと同時にコートから白いふわふわを引きづり出す。正直、ちょこちょこ動いてくすぐったいからちょうどよかった。

「安直。です。」
「センスない。ます。」

「その言葉は私の心に直接刺さるからやめようか?」
心に刺さった矢を引き抜き、なんとか精神を持ち直し、言葉を続ける。

「……透視でも持ってるの?」
「ただ視線を感じただけ。ます。」
踵を返し、元の道への歩きを始めた。

 教えてくれないかー。
 まぁ、秘密にしたいことの1つや2つはあるよね。私もあるし。

 転生のこととか、魔法のこととか、過去のこととか。

 それから30分ほど歩いた。
 風景は同じでも、雰囲気が一転してきた。異様な魔力が漂ってる。

 そして更に10分ほど歩き続け、そろそろ歩き疲れたと感じてきた。

「ねぇ、まだ着かないの?」
痺れを切らして、そう口を開いた。

「………え?」
その瞬間に、頭上から折れた剣が降り、足元に突き刺さった。

「ここ。です。」
「あと1歩で串刺し。ます。」
2人が振り返り、目の前の光景を見せてきた。

 沢山の人。休憩中?ということは、ここが拠点。その先に戦地?
 …‥ちょっと待って。何でこんなところまで飛んできたの、この剣。飛翔力に極振りでもしたの?

 いきなりの到着と、情報量の多さに一瞬頭が混乱する。

「投げ飛ばされた。です。」
「勘が鈍い。ます。」
ついでに罵倒もされた。

 この辺一体は休憩地帯ってことかな。交代で休憩とって、それで戦う。
 それにしても疲労困憊って感じ。

 ご飯とかどうしてるんだろう。気とか狂わないの?

「援軍の空力使い。です。」
「迎え入れろ。ます。」
質問したいことを頭でまとめてると、そんな声が聞こえてきた。

 その態度私以外でもなの。それはちょっといただけないんじゃない?私の時でもダメだけど。

 全員の視線を集めるも、誰も気にしない。1人や2人増えたところで、どうにもならないという雰囲気がよく伝わる。

「A部隊はわたしたちがやる。です。」
「お前は休んでろ。ます。」
そう一言かけられ、2人は奥に進んでいく。

 ……2人も参加するんですか。2人参加するなら、私いらなくない?

 なに?2人は離れられない設定とか持ってるわけ?

 答えが出ないけど、思考だけはぐんぐんと伸びていく。

「急に連れてこられて、歩かされて。着いたら着いたで放置ですか。そうですか。」
恨みごとをぶつぶつ呟き、人の密度の高いところまで歩く。

 何はともあれ、聞き込みでもしよう。ルールが分からないと、どう対処すればいいのか分からないし、動きも分からない。陣形とか。

 とりあえず拠点らしきテント?の周りをぐるっと回り、人の気配が無いことを確認すると、近くの木で腰掛ける若い男性に声をかける。

「あのー、ちょっといい?」
「……………………」
一瞬顔を上げ、すぐに元の位置に戻る。ガン無視された。

 この瞬間、私は諦めた。ここの人に何かを聞くことは不可能だと。ただ、流れに乗って魔物を殺すだけだと。

 え、そう言うナレーションは必要ない?

「……お邪魔しました。」
素直に帰り、少し離れた位置で座り込む。寂しさを紛らわすため、キューを側に置く。

 よし。まとめよう。まとめることなんてないけど。
 まず聞き込みは無理。あの人だけの可能性もあるけど、これ以上反応がなかったら私の精神が危ない。

 そして拠点らしきテント。あれは多分武器とか食料とかの貯蔵庫的なのだと思う。
 単に人がいないだけの可能性も大いにあるけど。

 他に何か感じたことがあるわけでもないし、出陣を待ちますか。

 大きめのため息を吐き、キューを枕に仮眠をとる。

———————————————————————

 何となく始まった戦争。会話も無ければ生気もない。そんな中、ソラさんはどうするのでしょう。
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