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7章 魔法少女と過去の街
221話 魔法少女は過去の街に行く
しおりを挟む前回までのあらすじ!
アイアム魔法少女。知らない間に楔になって、なんやかんやあって過去に飛ばされた。
それから魔物に襲われてる騎士。それを助けたら逃げられた。イェイ!
いや、イェイじゃない。
こんな感じでやってるけど、いつもこんな感じだから。ネタじゃないよ?あのあらすじは本物のあらすじだからね?
と、街までの道のりの時間つぶしのために、そんな小ネタを挟む。
「この時代、まずどの時代なんだろう。何年前?何10年、何100年?」
キューに向かってそう言うけど、意味が分からなそうに体をひねる。
そうだよね。キューも突然放り出された被害者の1人だよね。
こうなったら、帰った時に裁判でも起こさないとやってられないよ。法律とかあるか知らないけど、裁判くらい受けてもらわないと。
「ね、キュー。訴えてやろう。」
「…?キュゥッ!」
どうやらキューもやる気みたいで、力強く吠える。
天から、その前にお前は殺人犯だろ、という声をいただいたけど、あれは正当防衛だ。
私は無罪だ!
無実とは言わないところから、少し罪を認めてるのが感じ取れるね。
って、なんで自分の解説してるんだろう。
「キュキュウ~!」
「ん?あれ……木の柵みたいなのがある。レンガ風の壁じゃなくて木の柵。さては相当昔だね、これは。」
太陽が眩しく、目を細めながら見上げる。
それほどの高さもなく、広さは2分の1くらい。
規模は……隙間から見える範囲で言えば貧困層とかのレベルをひと回りくらい下回ってる。
「うわぁ……これって、水竜さんが言ってた人魔戦争ってやつ?その辞退に連れてこられたの……?」
過去(今からしたら相当未来)に教えてもらったことを思い出し、戦慄する。
ひぃ……私、そんな戦い参加したくないよ?
1級フラグ建築士の私は、そう言いながら表情を濁らせた。
「通って……いいよね?」
そう小声で呟きつつ、キューをコートに隠して列に並ぶ。後ろから眺めた感じ、悲壮感に包まれた男達が並んでいる。
キューも暴れないし、状況は分かってくれてるのかな?
まぁ、それならそれでいい。
「よし、丁度だな。入れ!」
厳しめのおじさんが1人1人に目を光らせる。
私、大丈夫だよね?
摘み出されたりしないよね?
そんな不安を抱え、いつしか順番が来る。
えっと……確か銅貨が3枚っと。
「っ!?これは……王国の方で最近出回り始めた硬貨じゃないか!どうしてこんなところに……」
「え、使えないんですか?」
ものすごい驚きように、私も驚いてそう聞き返す。
「だが、これでは本来の数倍の値段を払ったことになるが……」
「別にいいですけど……」
と、言おうとしたところで言い止まる。
ここで情報を貰うのも手かもしれない。これだけ払ってるんだから、そのくらいのサービスはいいと思う。
「私、ここら辺詳しくないから、説明とか欲しいんだけど。お金とか、今の街とかの状況とかさ。」
「それなら、あと3枚は欲しいところだがな。」
「それは無理。許容範囲はあと1枚。」
「無理だ。せめて2枚だ。」
「それなら。」
銅貨とかどうでもいいけど、いいようにされるのは気に食わないので値切る。
「入れ。」
そう短く、顎で指図される。
なんかムカつく。
私達が中に入っていくと、別の門番がやってくる。こういうことは日常茶飯事なのか、誰も怪しがりはしない。
「で、情報だったな。」
そう言って腕を組む。
「早くして。」
私も、そう短く吐き捨てる。
お腹のキューがそろそろ限界だからね。
「今は戦争中だってことは王国もそうだよな。そのせいで野良の魔物も活性化しやがって、街は雑魚の騎士共を相手させてるんだが、意味が無くてな。」
「へぇ。」
「この街はどこも貧しくて、飢饉も絶えない。たまに魔物も侵入する挙句、頼みの綱の討伐隊は戦争に行かされてる始末だ。もうこの街も、もう終わりだ。」
乾いた笑いで、そう言い切った。
私が関与しなければ、絶対にこの街はパズールさんの手によって再建され、活気付く。でも、そうすると私が龍神を殺せない。
「他にも龍。あれは厄介だ。空力という特殊な技術でないと討伐できない。あんなのは王国の1級クラスにならないと、使えない。」
これはどうするべき?
龍神を倒すなら、空力が使えること、龍を倒したことがあることを言うべき?
でもそれで厄介ごとに足を突っ込むとなるんだったら……避けたい。
そもそもこれ自体が厄介ごとって言っちゃおしまいだけど……
「そうなんだ。ま、こんくらいでいいよ。仕事に戻って。」
「こんな金持ってるんだ。強盗やら強姦やらに襲われんなよ。」
後ろ向きでそう言われ、気に留めとくことにした。
強姦って……
………あれ?そういえば、異世界に転生してから1回もアレが来てない。
この世界に来て、4ヶ月くらいもう経つ。なのな、月1で女の子にだけくるあの日が、訪れてない。
いや、訪れてたらあんな戦いとか依頼とかできなかったんだけどね。
妊娠とかは100パー無い。ま、まぁ?私死んだんだから子供が産めなくて当然っちゃあ当然だしね。
適当な理屈で、自分を安心させる。
「何してんだろ。」
そう呟いて、コートに隠したキューを外に出す。
「キュキュキュ~!」
ようやく外に出られて、大満足な様子だ。
「はいはい、暴れない。とりあえず行くよ。」
見切り発車で街に入ったものの、することは特に無いのでブラリと歩く。
さ、どうしようか。
案の定ここは人魔戦争の時代。数100年は昔。
その時代の知り合いといえば、水竜さんくらい。でも、水竜さんはティラン…‥は、50年寝てる間に来たんだっけ。だから、もっと遠い。
「まずはギルドでも探しに行きますか。」
あるかどうかは知らないけど、と呟き、キューを片手に街を進み始める。
———————————————————————
さぁ、こんな時代に連れてこられたソラさんは、一体どんなことをしでかすのでしょうか。
バタフライエフェクトという言葉がありますが、それによって未来はどう変わるのでしょう。
女の子に訪れる月1の日。もしソラさんにそれがあったら、こんなアクロバティックな日常を過ごさせられません。だから存在を消しました。(何を言っているんでしょうか)
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