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7章 魔法少女と過去の街
218話 魔法少女と変化
しおりを挟む「ん、ん………ここは……?確かギルドに向かう途中……記憶が曖昧…」
いつもだったらネタでもぶっこむ私も、こんな状況では全く出てこない。
「あれ、ここどこ。」
ようやく目が開けたと思ったら、何故か真っ白な部屋?に寝転がっていた。
いや、ほんとどこよここ。
誰もいなし何もな……
「っつぅ~~!」
突然頭痛に気づき、その場で蹲る。
ほんとに何これ……
子供を拉致監禁するなんて趣味が悪いぞー!
なんとか痛みを抑えて、そう抗議する。頭の中で。
そんな時。
コツ、コツ、と足音が近づいてきた。
靴の音?もしかして誘拐犯?魔法は健在みたいだし、ぶっ飛ばそうかな。
ステッキを構えつつ、警戒を露わにする。
「こんにちは。ミスソラ。おっと、警戒は解いてください、敵ではありませんから。ただ、ひとつ伝えたいことがあるだけです。」
そう言って現れたのは、中学生くらいの微妙な身長の男の子?だった。
ミスソラ?伝えたい……まぁいいや。そんなこと気にしてられない。
「あなた、誰?」
「自己紹介がまだでしたね。僕はこの世を統べる神、創滅神様の末端の配下にございます。」
「創滅神……」
急に神というワードを聞き、驚きで目が見開かれる。
創滅神?それって5柱の神の頂点だよね。私が追ってる神だよね?
「あぁ、勘違いしないでもらいたいのですが、創滅神様に会うことはできませんよ。僕らでも無理なのですから。」
不敵な笑みと共に、そう言葉を吐く。
敵じゃないやつの発言じゃないよ、これ。怪しさ満天だよ。
……一応保険に。
「鑑定眼。」
大きく目を開くと、そこには文字化けした読めない字の組み合わせが載っており、何1つとして解読できない。
「僕はあなたと同じ神から力を与えられた者。あなたに使える能力が、僕に使えないとでも?」
そう言うと、男はふらりと体の重心をずらし、目の前から消える。
どこ?後ろ、横?
「があぁっ!」
短い悲鳴が自分の喉から溢れ出し、吹き飛ばされた先で嗚咽する。
たった一撃……人神と同じ?そんなわけない、神より強いなんて、そんなこと。
なんとなく分かる。今、魔法を使えば死ぬ。体内の魔力が荒れ狂ってる。
どっかで見たことある。特殊な技術で、魔力を暴れさせて痛みを起こすやつ。
「これ以上はいけませんね。さて、本題に入るのでお立ちください。」
ギロリと睨まれ、普通に怖かったので痛む体に鞭を打って立ち上がった。
蛇に睨まれるカエルとはこのことだね。そんなふざけてる場合じゃないけど。
「一方的になりますが、黙っていてください。質問は最後に受け付けますので。」
無表情で指をパチンッ、と鳴らし、ソファを机を挟んで2つ出現させた。
これも魔法……同じ力とか言ってたから、本気でSPを振れば、こんなのの1つや2つできるようになる、のかな。
さっき受けた謎の衝撃で、時折痛みながら必死に堪え、作られたソファに座る。
「それでは、まず結論だけ伝えましょう。そう時間も残されていませんしね。」
そんな前置きを挟んで、軽く息を吐いて喋り始めた。
「龍神を殺していただきたいのです。」
「は?」
「だから、黙っていてと言ったでしょう。」
「は、はい……」
またもや睨まれ、何も抵抗ができない。
いやいやいや、それでも龍神を殺せとか無理あるって!無理だって!
「順序を立てて説明しましょう。理由は不明ですが、龍神は禁忌を犯しました。時間を巻き戻す、という死んでも裁ききれないような大きな禁忌を。」
ため息混じり息を吐き、どこから出したか分からない謎の液体を呷る。
ちょっと待って、情報量が多くて私の脳、パンクしちゃうよ。
つまりは、
龍神、やばい。やられる前にやれ。っていうことでオッケー?
「そして非常に残念なことながら、あなたはその楔役に抜擢されました。おめでとうございます。」
よく分からないけど、めちゃくちゃやばいと言うことは伝わったので、思いっきり嫌そうな顔で対応する。
喋れないなら、喋れないなりの努力をするべきだよ。
「どう残念なのか、説明します。楔役というのは、現在と過去を結ぶ、1本の命綱。あなたは、この世界の命運を分ける命綱になったわけです。」
とうとう脳のキャパシティが限界を迎えたので、もう笑顔を向けるしかできない。
うんうん。簡単言えば、私が死ねば世界も死ぬ的な?
なんでやねん!いや、その、なんでやねん!
焦りすぎて、エセ関西弁が発生した。
「もう少々我慢を。創滅神様はお考えになりました。龍神はもうこの世に要らない、と。」
それはまぁ、大層なご判断を。
「龍神は世界の秩序を乱す、背理者。この世に存在してはいけない。世界に悪影響が及ぶ前に、過去の世界で滅ぼし、事前に禁忌を犯すことを封じる。それができるのは、唯一過去の現在に力を置くミスソラ、あなただけ。」
全てを話し終わったように息を吐き、では喋っていいですよ、とにこやかに言われる。
今そんな笑顔見せられても……怖いとしか思えない。
「色々言いたいことがあるんだけど、本当に龍神、倒すの?」
「本当です。そして、倒すではなく、殺すです。お間違えのないよう。」
機械のように正確に話す姿に少し嫌悪感を抱きつつ、許されたこの質問の時間を有意義に使おうと、キャパシティ限界の脳をフル稼働させて考える。
まず頭の中で質問をまとめたほうがいい。カテゴリー別に分けて、それぞれ答えがすっぽりはまるように。
「それじゃあ、質問を始めていいですか?」
「はい。」
そうして、世にも奇妙な質疑応答が始まった。
———————————————————————
はい、そろそろ章の名前決めていきたいと思います。
何かいい案のある人ー。
…………いませんか。はい、知っていました。
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