魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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6章 魔法少女と奴隷商の国

閑話 雪狼族 3

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 ソラとの合流後、ツララは言われた通りに行動した。
 まずは最初はレイティーと言われた冒険者と共に陽動に回り、隙ができたらソラの魔力が見えるところまでやってきて、潜んでおくこと。

 このために、魔力識別眼という魔眼を貰った。
 最初は混乱したけど、慣れてくると使いやすい。

 ただ、少し頭が痛くなることが欠点だった。

 特に目立った強さのないツララは、奇襲でしか力が発揮できなかった。

 潜み、その眼で戦いを一望していたツララは、震えていた。
 武者震いでもあり、恐怖からでもあり、ソラが死んでしまうのではないか、という焦りからでもある。

 どんどん未知の力に、魔力が削られていくソラしか見えなかった。

 最後の指示はこれだけ。

「爆発したら、魔力を強めるからそこに向かって地面を壊して。そうすれば、私も勝てるかもしれない。」

 これを遺言のように感じていたツララは、いつそれが起こるか不安でならなかった。
 できれば、自分の幕は来ないでほしいと願った。

 龍を本能で恐るように、本能が訴えかける。

 。と。

 怖い、助けたい、怖い、助けたい。

 ソラが死戦の只中にいるというのに、何もできない自分が悔しかった。

 表舞台には立てず、ただ援護するだけ。
 ソラはそれでも喜んでくれるだろう。

 それでも、ツララ自身は喜べない。胸を張って、助けたい。

 でも、それはいけないこと。ソラが悲しむから。

 ウダウダと思い悩み、時間だけが過ぎていく。
 床(ツララにとっては天井)が大きく揺れる。戦闘が激化している。

 どんどん音が近づいてきて、床が薄くなっていくような気がした。

 怖い。けど、助けたい。
 いくら経ってもそんな中途半端な気持ちが頭をぐちゃぐちゃにかき乱す。

 声は出せない。なので、頭でまとめるしかない。
 でもまとまらない。ぐちゃぐちゃに混じり、訳が分からなくなる。

 その時、大きな爆発が起きた。
 これが、ソラの言っていた合図。

「……あれ?」
つい言葉が漏れてしまった。

 焦ると思ってた。臆すると思ってた。でも、不思議と心は穏やかだった。
 自分の気持ちとは反対に、間近にソラの力を感じて安心している。危険なはずなのに、ソラを感じて安らかな気持ちになる。

 そうだ、自分はソラを助けたいんだ。
 気持ちが急にまとまった。

 爪を出し、魔法を纏う。
 この1撃に全てを込めるように、力を絞り出した。

 ———これは1人の、奴隷の獣人であるツララの物語。

 最後に笑うのは、どちらの女神か。

 腕を振り上げ、破壊音を流しながらこう叫ぶ

「主ぃーーーーっ!」

 そして、成長し、決意する物語———

 ツララは選んだ。ソラと、一生そばにいる事を。
 ツララは選んだ。ソラを、一生支えると。

 1歩成長し、雪狼族最後の意志が、ここに強く結ばれた。

 プロローグが今、始まった。

———————————————————————

 今回はミニマムサイズでお送りいたしました。
 決して面倒臭かったからとかではありませんよ?

 一応次回も閑話でいかせてもらいますが、この章閑話が多過ぎて自分でも驚いているのでそろそろ本編も書きます。

 この章はもうそろそろ終わりになりますが、まだ謎は残されてますよね。そう、恵理の謎です。

 では、また来週~(明日です)
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