魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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6章 魔法少女と奴隷商の国

204話 魔法少女は後始末をする

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 恵理さんが倒れている場所に、私は歩み寄る。

 え?そこはどうでもいい?なんでツララが来てるのって?

 はいはい。ここには来ないとは言ったけど、地面からこないなんて言ってない。つまりは、別のところから来るってこと。それだけ。

 ははぁ~ん?まさか、この私が無策でこんなヤバいところに乗り込んだとでも?
 陽動だけで勝てるくらいだったら、私は負けて無いよ。

 1度でも私を追い詰めた相手なんだから、本気を出してあげないと失礼だ。

 歩く攻略本たる私が、このいざという時のキレる頭を使って考え抜いた策だ。
 いつもは全く働く気配はないけど。

 1階建ての拠点なんて、そんなわけがないからまず地下にあると仮定する。
 地下で戦うとして、正規ルート以外で助けに向かうなら同じく地下しかない。

 地下をえぐるれる魔法を使えるのは、魔導具士らしいレイティーさんくらいだ。

 レイティーさんに陽動と一緒にツララの通り道も作ってもらって、事前に教えたタイミングで助けに来てもらったってわけ。

 粉塵爆発は、狙ってやったことだ。

 ここまで頭が働くこと、そうそうないよ?火事場の馬鹿力的な?まぁいいや。

 今は目の前の敵を捕縛するのが優先っと。

 体のだるさを感じながら、キュッとロープで縛る。

 魔力の使いすぎの脱力感……これだけは慣れても慣れきれない……
 というか、耐えきれないかも……いや、ここは忍耐力で耐え切ろう。

 人も、頑張れば3大欲求である性欲を抑えることができる。
 あ、媚薬とかはなしね。

 それと同じで、これもなんとかなる。多分、きっと、そうと信じたい。

 ツララもいるし、倒れるわけにはいかない。

 幹部の残り6人と刀娘の元にもゆっくりと歩いて向かい、ロープで順に巻き付けていく。

 恵理さん以外の全員を1つのロープに繋いで簀巻きにし、先頭にちょこんと設置する。

「あとは、ライから貰った眠り薬を幹部にかけたら……よしっ、完了。」
そうこうしていると、恵理さんの目がゆっくりと開かれていた。

「私は………」
「あ、起きた?あなたに牢屋行きのパスポート用意したから、ちゃっちゃと馬車行くよ。」

「なに言ってるか……分からない。」
「だから、あなた捕まった。アーユーオーケー?」
「オーケーオーケー」と言って自分の状況を確かめ、ため息を吐いた。

「私の5年間が潰れていくわ……」
嘆くように呟く。

「そういうのいいから。」
「辛辣……」

「で、資料とかは?あそこまで大きな計画ならあるでしょ?」
「そんなの無い。どちらかというと、幹部1人の独断が多かったし。でも、命令は下した。」
諦めたからなのか、急に口を割り始める。

「誰、それ。」
「黒い人よ。」
「あぁ、拷問道具の人か。」
うんうんと頷きつつ捕縛中の幹部を見てみる。

 ぽっちゃり、少年、双子ちゃん……………あれ?黒い服の人、いなくない?

「ちょっと、その黒い人いないんだけど!?」
「知らない、そこまでは。」

「えぇー。」

 そんなこんなで、1人を取り逃し、残りを捕まえるとに成功した。

 そして今は、8人をバスに詰め込んでる状態だ。

「私に監視、つけなくていいの?」
「後から眠り薬かけるしね。意味無いじゃん。」

「ねぇ、最後にいい?」
「どうぞ。言うだけならタダだしね。」
「うん。」
最後の会話みたいな雰囲気を出すけど、私もそっちにいくからまた会う事になる。

「探して欲しいもの?人があるの。」
「なに?それ私に頼むの?」

「頼まれなくてもいい。けど、言っておきたいだけ。」

「そう。」

「私を転生させた人を、探して欲しいの。」
そう、ゆっくり時間をかけて話した。

「それを私に?メリットは?」
「あるわけないでしょ。ただの願いに空が得するようなことがあるほうがおかしい。」

「それはそうだね。」

 転生させた人。神ってことだね。
 万能感知……には反応なし。人神が転生させた可能性は低い。

「それ、私も追ってる。神様が転生させたことは分かるけど、神は5柱いるし、どこにいるかも分からないから見つけられないけど。人神だけは見つけられたけどね。」

「じゃあ、私はその人神って神様に……?」
「いや、違うと思うよ。」
「え?」
疑問の声が生まれていた。

「まぁ、気長に待ってるといいよ。同郷の人を殺す気にはなれないから、殺されないよう手を回しとくよ。それでも殺されるかもしれないけど。」
物騒なことを、私は笑い気味に言う。

「じゃ、また今度。」
「えぇ……じゃなくて、うん、また。」
眠り薬を割り入れると、一気に眠りについた。

 効果えげつない……
 ライは敵に回さないようにしよう。

 そんなことを考えながら、ツララを回収しにいく。

「主っ!」
「そんなくっつかないで。ちょっ、鼻水、鼻水っ!ほら、早くこれで鼻チーンとして。」
慌ただしいツララを抑えながら、まだ帰ってこないレイティーさんチームの元へ足を運ぶ。

「ちょっとー、暴れない。これからレイティーさんのとこ行くんだから、抑えて抑えて。」
「うん。」

「レイティーさんどんな感じ?生きてる感じ?」
「大丈夫そう。」
「そう?ならよかった。」
一応の確認をとって、拠点の裏口に回る。

 うわすっご。穴できてるじゃん。ここからツララが助けてくれたのか……感慨深い…のか?
 知らね。

「あ、レイティーさーん!こっち終わったよー。」
遠目に見つけたので、手を振ってみる。すると。向こうも私に気づいたようで、小さく振り返してくれる。

 こう考えると、どこか一区切りついたんだな、と感じる。

 4人とも生きてるし、私も生きてる。もちろんツララもいて、敵も倒せた。
 こう見ると主人公感あるけど、転生者なんて絶好の主人公ポイントじゃん。

 なら、私も主人公っぽくてもいいよね。
 ま、私が楽しめればいいけど。

 そんな考えをしながら、走ってみんなのところに向かう。

———————————————————————

 この後もいろいろわちゃわちゃするので、一旦ここを区切りにしたいと思います。

 ということで、6章、終。

 次の章の名前は、ネタバレすぎるのでことがはっきりしてから作ろうと思います。
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