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6章 魔法少女と奴隷商の国
203話 魔法少女と救世主
しおりを挟む私は思い出していた。
久しぶりに堅っ苦しく無い口調を喋り、日本人と会話していたせいだと思う。
まだ5年間の癖は抜けないけど、いつもよりは楽に話せてる。
「わたくし」なんていうお嬢様みたいなセリフ、昔は咄嗟に使っちゃったけど、それが今ではここまで引き伸ばされるとは……
その相手は、強かった。私が今まで戦ったどんな相手よりも。
左手が斬られ、爆発をもろに受けた。痛みで足が震えそうになるのをグッと堪え、目の前の自分よりも幼い少女、空を見る。
しっかり両足で立っている。五体満足で、私の手を切り落とした刀を握ってる。
満身創痍だね、なんて言ってしまったが、それはこっちが一方的にだ。
反則だよ。どうして魔法使いが刀で斬ってくるの?それを言ったら、私だって同じだよね。
暗殺者のくせに、動きが剣士みたいでさ。
でも、いくら強かろうが引けない。ここまできてしまっては、取り返しがつかない。
向こうはまだ大丈夫そう。私はもう無理そう。
……でも、この翡翠のペンダント。これだけは、何があっても守り切らないといけない。
唯一の、私の希望。
私が東商に《黒蜂》を作ったのは、日本に戻る方法を探るため。
写真は見なくても、あるだけで、力がもらえた。
……………………………………………助けてよ。
お父さん、お母さん。
————————————
私は焦っていた。
久しぶりの死を覚悟して、驚いてたからかもしれない。
何度も死にそうな瞬間は経験してるけど、別種だ。絶対に負けてはいけない、そう思わされるような何かがあった。
人神のときは、本気の殺意はなかった。
地龍のときも、本気の殺傷は望んでなかったように思えた。
ただ、強者と戦い、勝利したい人の動きだった気がする。勝利するイコール殺すだったけどね。
……多分?
でも、今回は違う。
何か強い、鉄の意志のようなものを感じる。
それなら、私はそれに報いたほうがいいのかな?
でも、今の私は恵理さんの言う通り、満身創痍。残り魔力は、神速を0コンマ以下分と、トール最高4、5発。
普通の敵には、オーバーキルくらいの魔法だよ。
でも、相手が悪すぎる。
前半は全部攻撃を受け止められたし、急な変更でダメージは負わせられたけど、こっちもその分魔力をくった。
なにせ、私だって慣れてない技なんだから。
残り魔力、全て叩き込めば倒せるかもしれない。
でも、死なない確率も高い。
あれ見て。清々しい顔で立ってるよ。怖くない?
左手ないんだよ?焦ってほしいよね。
私だって喜べないよ、それは。全然痛そうに見えないもん。
しょうがない、やれるだけやりますか。
………………………………………………頼んだよ。
——————
そうして私は、時間稼ぎのために沈黙を貫いた。
「……どうするの?」
「どうするって?」
恵理さんが先に声を上げ、静寂を切り裂いた。
そっちから仕掛けてくるのはちょっとキツイ……手の内もバレてるし、防ぎ切れる気がしない。
私はゲームでも前衛というより中衛だった。
ヘイト管理っていうの?相手の注意を逸らすあれ。私はああいうの苦手なんだよね。
だから、攻撃をいなすとかは無理って考えておいた方がいいね。
「攻めてきてもいいし、こっちが攻めてもいいけど。空はどうしたい?」
「……好きにどうぞ。」
顔を顰めつつ、何とか平静を保って答える。
全っ然良くない!私はこの状態でもう少しいたかった。
タイミングとかもあるし……
「では、攻めますねっ!」
もう手の傷なんて無いかのように、地面を勢いよく蹴って、鉄扇が動いた。
技がくるっ!?
……ここで決めるってことね。なら、こっちも大どんでん返しをしようか。
できるかどうか。いや、できる。やるんだ。
鈍い体でステッキを握り、立ち上がる。
「染まり染まらせ、消し消され。宵闇の空を堕とすなら、暗き世界に舞い込まん。神楽歌5節『冥月』」
辺りが暗くなる感覚がある。何か技が来る予兆。
これ、まともに喰らえば死ぬかもしれない。致命傷喰らわなくても、このまま戦えば攻撃を喰らうのは必至。
「終わりにしましょう。」
足を踏み出す。強く踏み出された地面は抉られ、私も同じく踏み込み、接近する。
このまま肉薄して‥‥踏み込むっ!
もう鉄扇が触れるんじゃないかってほど近づき、賭けに出る。
確率の高い賭けだけど、その分ミスった時のリスクはでかい。
その勝率に賭け全ての魔力をステッキに込める。
鉄扇が空気を裂く音がし始めた頃、同時に何かの崩れる音がする。
それは、真下からした音だった。
「主ぃーーーーっ!」
ツララが跳んでくる。一瞬、恵理さんの体制が緩まる。その隙を見逃さない。
「トォォーーールッ!」
ステッキを真横に薙ぎ、横腹に直撃。苦しそうに呻いた後、凝縮した電撃がやってくる。
「————————————ッ!!」
声にならない悲鳴をあげ、すぐに意識が離れたように声が途切れた。私は勢いのままに飛び出したので、そのまま地面に迎えられた。すなわち、顔面ダイブだ。
「痛っ!?」
ぶつかったところを触り、感触を確かめる。
潰れて無いね。オッケー。
「主!大丈夫?」
「ツララ。ありがとう。何とか致命傷で済んだよ。」
それを世間一般では大丈夫じゃ無いというらしいけど、まぁ関係ないね。
魔力が底を尽きただけだし、全身あらゆるところが痛いだけで、それほどキツくはない。
ヒール分くらい残しとけばよかった。
「ツララがちゃんとやってくれたから、私は生きてる。ほらほら、もっと元気出して?主人を救ったんだよ。」
久しぶりのもふもふを堪能し、よしよしと頭を撫でる。
「……うん。」
「そろそろ帰ろうか。」
「……うん。」
「ちょっと待ってて。仕事終わらせてくるから。」
「……うん。」
頷き続けるツララが可愛いけど、一旦離れることにする。
早くやらないと、また動き出すかもしれないしね。そしたら大変だ。今度こそ殺されるよ。
———————————————————————
結構早めに終わらせました。長引かせてもつまらないですからね。
おまけコーナー第3弾
ソ「まずは自己紹介ね。はい、い・い・ね?」
c「ひぃぃっ!わっ、私はcoverでふ!」
ソ「ぷっ、噛んだ」
c「……話数だけは一丁前に出してる素人です」
ソ「出身は?」
c「東海地方です。はい」
ソ「そういえば静岡って東海地方だっけ?」
c「知らないです」
ソ「年齢は?」
c「サ○エさん方式で私は歳をとりません。なので年齢はありません。」
ソ「サザ○さん年齢設定あるよね?」
c「……君のような勘のいいガキは嫌いだよ」
ソ「ニ○ナとアレ○サンダーでキメラなんて作ってないでしょ。で、趣味とかは?」
c「朝早く起きてアニメを見ること、ラノベやweb小説を漁ること、くらいです。ラノベはお財布の事情と始めた期間の問題で少ないですし、web小説はアニメとかの有名どころを読んでるのでディープなところは知りません」
ソ「オタク街道まっしぐらじゃん。それで?普段は何してるの?仕事?学校?」
c「どうでしょう。案外無職ニートデブ男かもしれないですよ」
ソ「他作品を持ってくるのは禁止で」
c「幼稚園児、小学生、中学生、高校生、大学生、フリーター、会社員。何で思ってくれても大丈夫です」
ソ「ぷっ、会社員って……せいぜいフリーターが限度でしょ」
c「どうして自分の作品のキャラにここまで煽られているんでしょうか」
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