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6章 魔法少女と奴隷商の国
200話 魔法少女は消耗する
しおりを挟む「はぁ、はぁ……万属剣!」
運命の光に導かれながら、壁や天井を蹴って回避や攻撃を繰り返す。
「ちょこまかと「逃げないでください。」」
双子ちゃんがマシンガンを片手に、連射攻撃をしてくる。このせいで、同じところに止まれない。
一体どういう原理なの!?弾切れを狙っても弾は切れない、あんな銃持ってるのに軽々と走ってくる。後片手って何?化け物なの?
「核石があれば「どうってことはないです。」」
私の思考を読んでか、真顔でそんなことを言い放つ。ついでに銃弾も。
あ、クーリングオフでお願いします。
避けられた万属剣を、魔導法で跳ね返す。
「君、オイラを忘れてないかい?」
ぽっちゃり男は、その手に持ったドス黒い棍棒を不機嫌そうに振るって、万属剣を叩き折った。
「は?何その威力って、話してるとちゅ……」
「ふははは、何をしている?こちらだ。」
黒服の男が短銃を使って3発私に撃ってくる。
くっ、フードが半分千切れた。
私は苦虫を噛み潰したような顔をし、身を翻して空中歩行で軌道を変える。
6人なら余裕と思ったけど、あんまりだった。開始から5分くらいなはずなのに、だいぶ消耗してる。
魔法水は使いたくないし、レールガンは使いたくない。刀は使ってもいいけど、1対1の方が使いやすいんだよね。
「飛んで火に入る夏の虫とはこのことだな。オラオラ!さっさと死ね!」
「だから、無理だって言ってんじゃん!」
眉を顰めながら、逃げた先にいたムキムキグローブの人に向けて、トールを放った。
「オラァ!あ?……‥がァァァァッ!?」
自信満々な笑みでグローブを突き出すも、なんの対策もなかったようでぶっ倒れた。私はその場で少し立ちすくみ、呆れたように顔がほぐれる。
え?今までの戦い、見てなかったの?私の得意技は雷と土。反対属性に見えるけど、だからこそ相性がいい。
傾向と対策、これ基本。
「ふっ、はっはっはっ!無様だ。実に無様。」
「真面目に「やって。」」
「分かっている。」
そういうと、3人が走りかかってくる。
「それ、味方に当たるんじゃないの?」
「馬鹿に「しないで。」わたしたちの射撃は「世界1。」」
「随分と自信があるみたいだねっ!」
その直後、光の弾が双子を襲う。
「「キャァッ!!」」
マシンガンを取りこぼし、その瞬間男の合間を神速で通って「これは潰しとくね」と言って、標準を合わせて破壊した。
え?光の弾の正体が気になるって?仕方ないなぁの○太くんは。
猫型ロボットの真似はいいって?はいはい、分かったよ。
某レベル5の3位の女子中学生みたいに、コインを指で弾くあれ。あれを小さい土の塊でやって、トールをかけて弾いた。
簡単でしょ。ミョルスカイ使った場合だと、トール数10発分くらい必要なんだよね。
他にもその他諸々、魔弾を生成したり発射するための魔力とか。
まぁ、簡易版レールガンってこと。
あ、3位の人みたいに鉄骨曲げたり車破壊したりはできないよ?
それするんだったらミョルスカイ使わないと。
「わたしたちの「武器がっ。」《女王》様に貰った「大切なもの。」」
似たような顔がこちらを、きっと睨みつける。
おー、怖い怖い。
「じゃ、おやすみ。」
そう言ってステッキを地面に叩きつけ、その勢いで私は空中に跳ね上がる。すると、視界のさらに上に双子がいた。
もちろん、気絶した状態で。
そして落下地点には土の槍(少し平らめ)がある。
そう、これで突き飛ばして意識を消そう作戦。
いえい、大成功。
「これであと3人かな?まともに動けるのは2人か。」
ぐるっと周りを見渡す。
ぽっちゃりと黒服、それと刀娘。案外なんとかなるじゃん。
「早く来なよ。ほらほら。」
不遜な感じで煽ってみると、意外と反応があった。
「オイラを舐めるな!」
ドスドスという足音を響かせながら接近してくる。遅い。
拍子抜けっていうか、なんというか。
向いてないよね、この仕事。
棍棒を振り翳してくるぽっちゃりが、少しかわいそうに見えてしまって、この攻撃くらいは受けてあげることにした。
「喰らえぇ!……」
「おっ、結構重い。」
「誰が重いだぁ!」
「攻撃がだよ!体重じゃない。体重も重いけど!」
ステッキで受け切りつつ、横っ腹に左手でパンチを決める。
「ぐわッ……!」
大きく咳き込み、よろめいた瞬間を狙って回し蹴りを喰らわせた。そのままゴムみたいに何度か跳ねて、土槍の側面にぶつかって気絶した。
おぉ……なかなかの威力。私の物理攻撃も捨てたものじゃないね。
今の私ならプロボクサーになれるよ。1発KOだ。
「あとはあなた。もしかして逃げる?そうだったら見逃してあげないこともないよ。」
ニヤリと笑いながら見下げると、向こうも次第に笑い出す。
「ふっ、はっはっはっ!目的のためならばそれもいいかもしれない。だが、目の前に守らなければならないものがある。」
《女王》を庇うようにして立ちはだかり、鉄の棒の先端に紫色の第五使徒のようなものがついたものを向けてくる。
「悪なるものに裁きを与えよ。『アイアンメイデン』」
底冷えするような、気味の悪い声が部屋を支配する。すると、キィィィーッという不快な金属の擦れる音が聞こえてくる。
アイアンメイデン……?まさか、あの人を殺しそうな拷問器具?またの名を鉄の処女で有名な?
そんなアホみたいなことを考えていたら、風のようなものに吸い込まれそうになる。
「なんで鉄の塊が吸引能力持ってんの!ダイソン以上の吸引力だy……」
キィィィーッ、ガシャンッ!アインアンメイデンにぶち込まれた。
…………なんでだろうね。どうして、棘が潰れてるんだろう。
入れられて、閉じられた。私に棘が刺さると思ったら、棘は曲がるか潰れるか。
私の体、一体どんな素材で作られてるの。ステータスの影響?
ただの鉄の棘じゃ痛くも痒くもないと?
「はっはっはっ!これが効かない?面白いな。」
死に損ないみたいで恥ずかしいので、ゆっくり扉を開けて外に出た。
「悪なるものに裁きを与えよ。『ファラリスの雄牛』
目の前が黄金に光り、目を開けると真っ暗。「またかぁ」とため息混じりに雄牛を壊し、その破片を投げつけるとまるで予想していなかったように驚き、破片が頭に衝突してその場に倒れた。
「急に呆気なさすぎる!」
思わずツッコミの声が出てきてしまった。
なんなの?いきなりやばそうな攻撃したと思ったら、急に弱くなって。
あれ、魔力は素材にしか使われたないから、プラスで付与させた方がいいと思う。
そうしたら私も危なかった。
いくら防御があったって出血多量なら意味ない。
1つでもどでかい穴が開けば死ぬよ。
あ、運命切れた。
「よし、気を取り直して。《女王》!《特攻蜂》はの通り全員倒した。次はそっちの番じゃない?」
「まだ私がいる!」
叫んだのは、刀娘。
「ほぼやられたようなものじゃん。いつまで刀引っこ抜こうとしてるの。」
「今回ばかりは、そこのと同じ意見ですね。あなたは、最後まで見届けていてください。」
「……はい。」
シュンとした顔は、意外と可愛かった。
———————————————————————
祝200話!
とうとうここまでやってまいりました。設定ミスで多々毎日投稿ができていなかったこともありますが、ほぼ毎日投稿はできています。
これは偏に、自己満足投稿を……ではなく、皆様に少しでも読んでいただけているからです。
一応、読んでくださっている人がいる限りは投稿していきたいと思っています。
何卒、よろしくお願いします。
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