魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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6章 魔法少女と奴隷商の国

194話 魔法少女は工夫する

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 私は、今暗殺者の拠点にいます。
 そして、とてつもなく悩んでいます。

 理由?しょうがない。順序立てて説明してあげよう。

 まずあの後のこと。
 暗殺者を捕縛して、私は言われた通り暗殺者の手の甲に書いてある赤い紋章を、部屋の奥の魔導具らしきもの……というより、完全にエレベーター。地下行きしかないエレベーターに翳してみたけど、何も起こらなかった。

 いやいや、場所が違うとかじゃないんだよ。

 私だって考えたさ。
 だから、ベッタベッタ触らせまくったよ。このぶっ倒れたやつを。間違えた、人を。
 でも、ダメだったよ。紋章だけじゃないってこと?

 危ない……また悩み始めるところだった。

 と、いう感じに悩んでる。

 可能性は2つ考えてある。

 1つは、監視カメラ的なので判断されてる。例えば、2人以上いる場合、とか、姿が違う、とか。

 もう1つは、意識がある状態じゃないとダメ、とか。

 前者はなんとかなる。でも、後者は無理。
 だって、意識がある状態とか無理だよ。無理矢理連れてくるとか?
 毒とか刺されそう。嫌だ。

「いや、ちょっと待って。多分、どっちも違う。」
急に閃き、自分にそんなふうにストップをかける。

「魔力……?」
そうぽつりと漏らす。

 前者の話と一緒かもしれない。でも、私でも代用が効くかもしれない。

 意識が無いと、魔力は出ない。
 憶測に過ぎないけど、可能性は高いと思う。

 私が魔力を込め、赤い紋章の効果を無理矢理にでも出す。

「これだ。」
そう言って、バッと立ち上がる。万能感知には何も引っかかって無いから、(地下はまたまたシャットアウトされて見えなかった)見つかる心配もないしね。

 地下から見られてたら知らないけど。

 いやいや、今はマイナスなことは考えないでおこう。
 幸せなことを考えてたら、幸運の女神は私の方を向いてくれるさ。きっと。

 そんな夢みたいなことを考えつつ、暗殺者さんの手を引っ張る。

「なんでここまで戻ってきたんだろう。あと、腕切っちゃおうかな。ヒールで治るし。」

 切り傷とかじゃないから、治らなかったらごめんね。

 でも……生きてる人間の手を切るとか普通に嫌だ。

「……死んじゃった人、連れてくるか。」
そういい、引っ張ってる途中で放り投げた。

 あ、頭とかぶつけてないよね。
 その程度で死ぬほど暗殺者が脆いとは思ってないけど。

 私は最初の地下の入り口の辺りに向かった。

 今思ったんだけど、地下に本当の入り口があるのにどうして全員が外の入り口に出てたんだろう。
 その辺の感覚無いのかな。入れる前に倒せ的な?

 私はどうして見抜けたかって?そこは、ほら。万能感知とか色々……
 すみません、1回、引っかかりました。描写、飛ばしました。

 そんな細かいことはどうでもいいでしょ。ほら、着いたよ。着いたからもういいでしょ。

「うわ、焼いて捨ててあげたほうがいいのかな。利用価値とかある限り……って、手の紋章が無くなったら利用価値なくなるね……」
お邪魔しますと一言言い、アクアソーサーで切り落とす。いい切れ味だね。

 じゃあこの人達は燃やそう。

「……‥なんて言えばいいのかな。」
手を合わせながら、合掌のポーズをとる。

 いちいち行動を描写するのも面倒だし、ユーチュ○ブ的なカットを使おう。

「やってきましたー、エレベーター。」
棒読みしつつ、エレベーターをどんどん叩く。

 見てよこれ、私のステータスで殴ってもびくともしない。怖いよ、これ。
 地龍系統のスキルと魔法は使わないようにしてるけど、使わないとダメかな……

 なんでって?身の丈に合わない力は身を滅ぼす、とか漫画とかで読んだことあるし。私も私で調子乗らないためにも、自制してるんだよ。

「それじゃあ……魔力付与。」
綺麗に切断された手に魔力を送り、循環させることによって生きてる感を出す。

 そのまま魔力を流す!

 10秒後。

「何も起こらない……?」

 1分後。

「……あ、うん。」

 3分後

「失敗だ、これ。」
腕を床に叩きつける。

 なんでだよ!やっぱりあれ?生命反応がないとダメとか、魔力が違うとかそんな感じ?
 無理だよ、もう無理だよ!色々と。

 もう脳使いたくないよ?
 気付かれないように慎重に侵入して、チョークで跡をつけながら進んで……
 こんなところで足踏みしてる暇無いのに。

「はぁ……水ぶっかけて色々吐かせるってのはありだけど、あの人もう全部話してる気がするし、だからと言って他の人達はレイティーさん達のところだろうし。」

 これだから嫌なんだよ。
 私は絶対陽動の方が向いてるよ。

「それより、この手どうしよう。」
つい勢いで投げていた手を見下げ、眉を曲げる。

 今更だけど呪いとか無いよね。魔法少女服自体呪いみたいなものだけど、呪い無いよね。

「ファイボルト。」
仕方ないので燃やす。灰すら残らなかったことに、ちょっとビビったのは関係ない話だ。

 ………できなかったものは仕方ない。また1から考えるだけ。
 私は頭が校則回転するような理系女子でもなければ、脱出ゲーム的なのが得意なわけじゃない。

 頭を回すには、一旦糖分と休憩が必要だ。

 こんな時におすすめする、このスキル。
 食材生成!

 プラス値を振らないと、苗の状態とかで出てくるらしいけど、最初から振ってるからそんなことにはならない。

 ステッキからグラスを取り出し、食材生成で作ったレンの実にシロップを加え、即席レモネードを作り出す。

「あぁ、落ち着く。レモンと砂糖だけでこうなるなんて、疲れが半減した気がする。」
そのまま寝れれば疲れは取れるけど、そんなことしたら2度と朝日が拝める気がしないのでやめておく。

 さて、どう切り抜けたものか。

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 ソラさんの失敗が早すぎるせいで、話を繋げるのが大変でした。
 ちゃんと話を繋いでもらわないと困りますよ。
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