魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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6章 魔法少女と奴隷商の国

192話 魔法少女は東商へ行く

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 ヘイヘイ、そこのお兄さん。一杯どうだい?

 誰もいない夜道に、脳内で逆ナンパを仕掛ける。

 今日の私は1人。ツララは後からいいところで合流となってる。
 いくら隠し武器だからと言って、チートレベルで強いってわけではない。

 だから、尖らせて尖らせて、極限まで研ぎ澄まして使う。
 針金だって、本気で研げば凶器になるしね。

 危険を無くした状態で、安心かつ安全に召喚したい。召喚とか言ったらツララに悪いから訂正するけど。

「やっぱり東商は不気味なくらい静かだね……怖い。帰りたい。でも帰れない……」
片腕で頭を抱え、万能感知を横目で見ながら暗殺者達の拠点へと向かう。

 地龍もどきの繋がりは完全に切れてるし、やられたんだよね、多分。
 硬さはそれなりな気がするけど、あのビーム打った後なら……でも、それでも買っちゃうなんて……

 ひぃ、戦いたくない。

 あぁぁぁ!ダメだダメ。卑屈になるなぁー、私。
 私が死なないためにも、犯人を見つけるためにも、何とかしないと。

 あ、そもそも後者の方が本来の目的だった。いっけなーい。
 後ろの言葉は思いつかなかったため、お見送りさせていただきますと。

 こんな時でも、ネタはポンポンと思い浮かんでくる。これが、現代オタクの思考回路ということだ。

「はぁ、こうなりゃやけだ。なるようになれ!というか、元からなるようにしかならない!」
名言風迷言を1人呟き、万能感知に視線を向ける。

 うん、位置は動いてない。
 マーキング機能は便利でいいね。

 魔力阻害とかに弱いけど、大体の位置は分かるし。

 今現在、弱点発動中なことは置いとこう。主に、私のプライドを傷つけないために。

 万能感知は万能だもん。ソラ見たもん、ト○ロいたもん!

「あー、これはダメだ。末期ですわ。」
いい加減、自分の思考にうんざりしてきたところで、目的地が見えてくる。こんなふわふわした状態で大丈夫なんだろうか、という一抹の不安は記憶の彼方に追いやり、深く息を吸い込んだ。

 負けた、でもアレは1ミリたりとも本気じゃない。……ちょーっと圧倒されて上手く立ち回れなかっただけなんだからね!勘違いしないでっ。

 ツンデレ風言い訳。私が言ってもそれっぽくならないなぁ。
 体系的には合ってるけど、こういうのは金髪系。エルフ。ツインテール。私は鮮やかなる瑠璃色。この色でツンデレとか……ねぇ?

 じゃなくて。

 ここからは、私も本気。
 魔力‥‥大丈夫。体質設定もして、(今回は隠密体質)魔法とスキル確認もしておく。
 いざという時、出てこなかったらやばいしね。

 本当にやばかったら、覚醒を使う。

 武器準備オッケー。ミョルスカイ、刀、プラスで作った地龍籠手~人神の魔力を添えて~も。
 高級店の料理みたい。

 ここらでネタを吐き出してから行こう。じゃないと、ふざけ倒しそう。
 えっと、えっと………スラマッパギ?

 ………なんか、すみません。

 いざという時に出てこないのは、スキルだけではなかったみたいだった。

「気配。」
物陰に身を隠す。どうせ中に入ったらバレる。なら、どれだけバレずに近づけるかが鍵。

 万能感知ではシャッターみたいなのにかき消されてるけど……気配察知で大体分かる。
 ……1箇所集中すれば。

 気配察知は顕微鏡のレンズのピントを合わせるみたいな。

 実際、何度も助けてもらったしね。悪口は許さないよ。

 見張りは……4人かな?よし。何とかなる。

 流星光槍。5発連弾……は難しいから、久々のレイタースタートで4発分を補う。
 同時に別の魔法出すとか、同時に何個も出すとか、あれ意外と難しいよ。

 4人いるとは言ったけど、どこに何がいるかとか細かいのは分からないよ。

 まぁ1発目はこっそり打ちましょうか。じゃないと隠れた意味もなくなるし。

 狙いを定め、流星光槍を高速回転させて……情報が流れる前に。

「放て。」
空気を裂く音が異様に大きく聞こえる。周りが静かすぎるからかな?

 そんなことを考える前に、神速を使って接近。その時には光槍に刺された暗殺者が1人いた。

「襲撃し………ぁ。」
「それ以上は喋らせないよ。」
近場にいた1人の首を叩いて気絶させる。これは技術ではなく、ステータスでのゴリ押しです。

 流星光槍の魔法式を適当に流す。ちなみに私には魔法式なんて理解できないから、改善の方法とかは分からない。

 まぁ、刺さればいいや。

「何者だっ!」

「ちょっと、叫ばないでよ。バレちゃうじゃん。」
敵にそんな文句を垂れながら、位置を探る。その時には、レイタースタートで刺し抜かれた暗殺者が血飛沫をあげた。

 あれ?威力低くない?殺傷力の問題じゃなくて…‥いや、気のせいか。

「ベタベタする……これだから人殺しは嫌なんだよ。感触が残ってないのが幸いだね。」
血を拭い、適当に反応のあった壁や天井をぶち抜く。といっても、刀でそろっとね。

「お、発見。2人見ーつけた。」

「捕まってたまるものか。《女王》に連絡を……」
「2人のうち、どちらかでも逃げ切れば……」
逆方向に逃げ出し始めた2人。奇襲でもかけてくれれば嬉しかったのに、と思った。

 私を目の前に逃走とは、いい度胸してるね。どっちにしろ逃す気はないけど。

「逃げ切れるとでも思ってる?」
そう言う頃には、もうダブルで地面に伏している。トールだ。

「なに、が。」
痺れて動けない様子だ。

 やーいやーい、ざまぁみろ。殺そうとした分は痛めつけさせてもらうよ。
 嘘だけど。

 その後、その見張りに行ったはずの暗殺者を見た人間は、1人としていなかったという。
 行方不明の数日か前、ある少女に引き摺られていたとかなんとか……

 っていう噂を立ててみよう。

———————————————————————

 対策と傾向。学習魔法少女です。
 奇襲したのはソラの方なので、負けることはまずないです。
 《女王》とか《特攻蜂》はどうか知りませんけど。


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