魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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6章 魔法少女と奴隷商の国

188話 魔法少女は死にかける

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「ほら、この服とかよくない?」
「動きにくい。」

「女の子なんだから、そんなこと気にしなくていいんだよ。ほら、こっちの白と水色のとか。」
「マシになった。」

「みんなマシって言葉好きすぎじゃない?」

 何をしてるかって?見て分かる通り、服を選んでるんだよ。
 可愛い服選んであげないと。

「核石が編み込んで動きやすくなったさっきのやつ。少し高いけど、まぁいいや。」

「……いいんじゃない。でも、いいの?」
そっぽを向きながら、小さく呟いた。

 雪、獣人ときたら白と水色の組み合わせが映える。まぁ、私にはファッションセンスは無いから知らないけど。

「ツララが気に入るなら、家くらいは買うよ。」
「いらない。」

 お会計は銀貨3枚と小銀貨5枚。うん、高い。3万5千円と、払いますけども。

「似合う似合う、可愛いよ。」
「……ありがと。」
少し紅潮させ、俯きながらいう様を見て、写真を構えたくなる。

 くっ、携帯、スマホ……PCで編集して背景画にしたいっ!
 おっと、いけないいけない。親バカならぬ主バカになってた。

「今の、どっちに対して?」
「むっ!」
「ごめんごめん、どういたしまして。」
引っかきに来るツララを静止しつつ、街道を通る。

「主、おかしい。」
「いきなりの罵倒!?」

「違う、周り。」
指を差し、それに従ってぐるっと見回す。

 ……確かに、人がいない?人払いされてる。ここまで自然にできるってことは……

 万能感知。……人の反応が37!?

「ツララ、しゃがんで!」
私はツララを覆うようにして庇い、その瞬間に背中に痛みが走る。

「……ッ!?」
「主!」
目を見開くツララ。氷みたいな綺麗な色。それを見て、微笑みを浮かべた。

 主、だって。生きててよかった。

「大丈夫。こんくらいでやられてちゃ、生きてけないよ。」
なんでダメージを食らわせられたかは分からないけど、人の反応が方向に目を向ける。

 ツララはどうしよう。逃げさせた方が得策かな。

「ツララは逃げて。できれば、レイティーさん達に知らせてくれればいいよ。」
そう言った瞬間、魔力付与で足に魔力を付与させる。

「走って!」
ツララを突き飛ばし、煙幕代わりにファイボルトを地面に射出した。

 さすがにこれで追いかけるなんてしないと……思う。
 ごめん、西商の人。

「誰か知らないけど、東商の人だよね?死にたいってことでオーケー?」

 そうときたら、サーチアンドデストロイ。隠れてる敵を、殺すだけ。

 気配察知を極限まで練って、全ての感覚を研ぎ澄ませ。
 万能感知、龍でも神でも、今になってはどうでもいい。借りられる力は全部借りる。
 技術は、全てステータスとスキルで賄う。

「連投とか聞いてないっ!」
37人からのナイフの連投に翻弄されつつ、気配を散らされないよう空を飛ぶ。

 2人接近、保険に5人。分かる、手に取るようにね。

 万属剣を5本、そして暗黒弓を10発用意。

「発射!」
無言の暗殺者の達は散り散りに動き、全てを避け切ったと同時に、神速で捉える。

 まずは1人。

 ステッキを思いっきり振り下ろすも、小刀で受け止められる。

「そのくらいの実力はあるってこと?」
何度か鍔迫り合いを繰り広げ、足を払ったら簡単に転けた。

 ま、何かされたら厄介だからぶっ刺しとこ。

 万属剣を2本肩口に突き刺し、ファイボルトでさよならバイバイする。

「あと36人とか、不可能でしょ。」
冷や汗が垂れるのを感じ、コートの袖で拭う。

 多分、この戦いは確実に負ける。
 いくら平和ボケした日本人といえど、もうこの世界に2、3ヶ月近くいる。
 誰が、どのくらい強いかは分かるつもり。

 単純の強さは私に軍配が上がる。でも、技術に差がありすぎる。

 ラッ○ーマンみたいに、腕力とかじゃなくて幸運だけで勝つみたいに、別のところで差が開きまくってる。

「あと1対36とか卑怯だよね?」
敵に対しての愚痴なんて意味はないので、すぐに構を戻して攻撃を感知する。

 さっきと位置が全部変わってる?
 こんなぐるぐる動かれたら……やばっ、耐えきれないかも……

「いっ……ちょ、まっ!?」
10人の襲撃と26人の援護攻撃により、完全に動きが制限される。

 当たってでも逃げろって?無理だよ!いくらステータスが高くとも、痛いものは痛い!

「………ッ!!」
結局、高2じゃこんな戦いで頭なんて回るわけがない。何本ものナイフに突き刺され、斬られ蹴飛ばされ……

 あ、これダメなやつだ。神様とか地龍とかとは違うヤバさを感じる。
 なんか、こう……死ぬより酷いことが待ってそう。

 暗殺者、マジパない。

 とかほざいてる場合じゃないよっ!マジで対策とらないと、本気と書いてマジで考えないと。

 気配が近づいてくる。
 でも、分かってても動けないから意味がない。

 え、待って待って待って。その手に持っているこの世界に合わない物体はなんですか?その黒光りしたライフル、どこから持って来ましたか?

 というか暗殺者にライフルとか、軍人に日本刀くらい合わないよ?

 頭の中はパーティーレベルでうるさいのに、いざ声を出そうとしても全く出ない。

 血の出し過ぎ、久々の痛み、喉でも斬られた?

 多分色々混ざってこうなってる。

 もう暗殺者達とは目と鼻の先、ライフルを構える者、小刀を振り下ろそうとする者、その姿を見て私は目を閉じられた。
 意識がシャットダウンされる。

 起きた頃には、天国だね。

———————————————————————

 魔法少女、死亡……?

 次回からは、奴隷少女ツララでお送りいたします。(大嘘)
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