魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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6章 魔法少女と奴隷商の国

183話 魔法少女と潜入捜査(南商)

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 突然だけど、今ここで南商を紹介するよ。
 表層部分だけでみると、1番やばい。

 ほら、そこも。富裕層らしき人達が、あちらこちらで奴隷のリードを引っ張り、罵声を浴びせ、糞尿がそこらに撒き散らされている地獄絵図。
 ここはまだまともな方らしい。

 マジでやばいところは、吐き気を催す阿鼻叫喚の超絶地獄絵図レベルマックスぐらいらしい。
 知らないけどね。

「貴様はただの家畜だ!ただの肉穴になれ!」
「………!!!」
女の子(多分15歳程度)のケモ耳付き奴隷が、怯え切った様子で首を振る。

 今まで、そういうところに行って帰ってきた奴隷がいるんだと思う。
 可哀想だね。

 同情するなら金をやれって?どこのドラマよ、それ。

 あの人も、お金を払って買ってるんだよ。正義感で動いて、ブラックリストになんか載りたく無い。
 そもそも、そんな正義の心は私には無いよ。

 私は頼れる正義の味方でもなければ、スーパーマンでもない。
 ただの魔法少女だ。

「あー、無視無視。」
可哀想とは思うけど、目を逸らして歩く。

 もちろん、コートは着てる。
 じゃないと、ただの商品にしか見えないらしい。(ルーヴ情報)

 話を戻そう。

 簡単にまとめると、マジやばくねってこと。

 ぱっと見やばいランキング。
 順に南、北、東、西。

 でも、南商は違った危険な匂いが……というか、糞尿の匂いがキツい。
 奴隷が飼い主にビビって漏らすんだよ。

「確か、ルーヴは奴隷格闘場に行ってみるといいって言ってたけど、それどこにあるの。」
名前だけでヤバさがヒシヒシと伝わってくるけど‥‥見てみないと分からない?ということで、今日も今日とて聞き込みへレッツゴー。

 前回と同じように、テンポよくを大事に。
 聞き込みを終了させ、聞いた場所へと足を運んでいた。

 今更だけど、エンヴェルの適当地図を説明するよ。

 ひし形を変形させたような形で、それを斜めに切って色々ぼかした感じ。
 そのまま、上が北商、右が東商、下が南商、左が西商。

 東商に近めの、境界より少し手前あたりのところにあるらしい。
 東商‥‥あんまり近づきたくない。

「ま、まぁ?東商に行くわけでもあるまいし?いいんじゃない?」
疑問符に埋め尽くされた考えを押し通し、話に聞いた聞いた闘技場に訪れることにした。

 ここで、闘技場(アヴェリル南商奴隷格闘技場という名らしいが、長すぎるので省略する)を説明しよう。

 その名の通り、奴隷を保有する有力商人や富裕層の人達が、自分の買った奴隷に戦わせて賞金を獲得するものらしい。
 殺傷制限無し、死者多数。

 入場料は小銀貨1枚。賭けあり。

 この賭けには倍率があり、有望な者ほど倍率が低い。
 最低でも5倍、最高なら100倍を超えることもある。

「一生出場はしたく無いね、これ。」
小銀貨を払い、席に行く途中に呟く。私が来たのが遅かったのか、もう始まっていた。

 2戦目?3戦目?かな。

 席を見つけてそこに座り、戦いを観戦する。

「斬れ、斬れー!今だっ、そこだ!おい、ちげぇっ、チッ!避けろ、躱せっ!」
隣の男が、何か紙のようなものを握って叫んでいた。

 競馬とかで、「差せ、差せー!」とか言ってる人がいるけど、そんな感じかな。

 キンッキンッグシャ、アァァァ……ジャギィ……

 見てて気分がいいものじゃないね。
 殺し合いをしてるのを見るのって、結構くるものがある。

 それからも、戦いは続く。

 なぶられ、殴られ、蹴られ殺され。斬る刺さる、そのままkillされる。
 あれ、上手くなかった?

 最終的に優勝したのは、倍率24倍の虎耳の男だった。(20歳くらい?)

 負ける度に、歓喜とブーイングが飛び交い、この戦いに触発されたものが、この場で暴力を起こすことだってある。
 これが日常茶飯事とか、終わってるなぁ……と思う。

 終わった瞬間、一瞬で踵を返して出口に向かった。

「ひぃ……酷かった。2度と見たくない。」

 逆に、よくこんなものを娯楽として観れたね。
 日本ではないけど、昔はコロシアムとかで殺し合いさせてたとかあったけど、それのこの世界バージョンってこと?
 賭けとかあるし、儲けてんじゃないの?

 ほら、競馬とかギャンブルの中でもやばいって聞くし。

「んーっ、ん、じゃあ次はどこ行こうかな。」
大きく伸びをし、どこへ行こうかと辺りを見回す。

 やっぱり奴隷商のとこ行くのが1番かな?
 さすがにこんなの人に聞けるわけないので、それっぽい店を見て回ることにする。

 ルーヴ情報だと、奴隷街という奴隷の密集地帯があり、そこには大抵奴隷商の店があるとのこと。

 見せかけで普通の商品を売ってても、話を通せば見ることができるらしい。
 そこら辺も見て、判断したほうが良さそうだ。

「みんなが言う通り、東商と南商が怪しい。……東商に至っては完全にクロだけど。」
まぁ確認のために……と、小さくこくこくと頷きながら歩く。

 奴隷商って、偏見だけど低身長薄毛デブな印象あるんだけど、どう?
 私的にはなるけど、気になるから確認しよう。

 これで爽やかイケメンが出たら殴るかもしれないけど、許して。

「と、ここかな?」
南商東部、奴隷街の手前。黒いカーテンのかかった店の入り口、その前にはテーブルが置かれ、商品が置いてある。

「いらっしゃいませー。珍しい品入ってるよ、ほらほら、そこのお嬢さんもっ。」
女性。20代中盤くらいの普通の女性。どこからどう見ても、路上販売ぐらいにしか思えない。

 これ、ほんとに奴隷商なんだよね?
 その手の人は、ある合言葉で分かるって言ってたけど。

 そう考えつつも、言われるがままに商品を手に取ってしまう。
 これが商人パワーか。

———————————————————————

 奴隷商へ赴くソラ、はてさてどうなるでしょう。
 まぁ大体予想はつくでしょうが。
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