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6章 魔法少女と奴隷商の国
180話 魔法少女と潜入捜査(東商)
しおりを挟む赤狼烈火を壊滅させて1日が経った。
ルーヴとは情報を交換(一方的)し、今は東商にいる。
みんなが危険危険言っている東商。
「さて、どの程度危ないか見てやりましょうか。」
髭メガネでもカチャっとしたくなるけど、そんな物は無いので諦める。
途中でレイティーさん達ともすれ違うかな?って思ったけど、会わなかった。
いくら小国といえど、国は国。広い。
北海道の2分の1強って言ったら分かるかな?ま、そんな感じの広さ。
「北商よりは綺麗?パズール程ではないけど、小綺麗って言っていいレベルだと思う。」
ちなみに、私達の泊まってた宿は西商だ。
理由は言うまでもなく安全だから。
「東商は危険って言ってだけど……ほんとに危険なのかな?今のところはなんの変哲もない街なんだけど。」
首を捻って辺りを見回す。
でも、それは表層だけなんだよね。
ここは暗殺者の聖地。陰に潜むことだけに関しては、どんな種族にも劣らないという。
北商には暴力団があるくらいだし、暗殺団とかあるんじゃない?
行ってみたい気持ちはあるけど、まずはルーヴの言っていた通りに行動しておこう。
「というか私、冒険者ギルド行ってなくない?」
今更そんなことに気づくのであった。
そんなことはどうでもいい!今は東商、北商のことは後だ、後。
確か、歩くだけでいいとか言ってた。暗殺者は、見慣れない人物を見かけると後を着いていく……だっけ?
歩くだけと言われても……露店でも冷やかしに行く?冷やかすと言っても、私だったら買っちゃいそうだけど。
と、いうことである案を持ってきました。はい、拍手ー!パチパチパチパチー………虚しいね。
気を取り直して、作戦名は魔法少女大雪玉作戦!
その名の通り、雪玉を転がして大きくするように、魔法少女を歩かせれば暗殺者が自動的に着いてきて、調べることが可能になる作戦だ!
万能感知があれば、何人いるかも分かるし、マーキング機能も付いてるから、チームに戻ってからも確認が可能。
有能スキルすぎて逆に怖い。
ついていく対象は、どうせ怪しい人物。ならば、魔法少女服を着ていけば、なんということでしょう。大量の暗殺者が集っているではありませんか。
「そうと決まれば着替え場所……無い。」
仕方ないので、路地裏で着替えることにする。
はい、収納完了。やりますか。
そうして、謎のキメ顔を作った私は颯爽と路地から出てくる。
「……あれ?」
誰もいなかった。作った顔は崩れ、途端に恥ずかしくなったと同時に腕で顔を隠す。
久しぶりにこの姿で外に出た……
こんなスースーする服、なんで神様は選んだんだろう。
はっ、まさか神様はエロ神だったり……
そんなネタばかりが頭に浮かび、一向に動き出さない。
「あぁ、もういいや。行けばいいんでしょ!」
深いため息と魔法少女。それと便座カバー。
え、ふざけるなって?
無理。
歩けば歩くほど、次第に人足は増える。
それと同時に、人の視線は私に釘付け。私の色気に当てられたからかな?
まぁそんなわけないけど。
「高校では膝下何cmとか次元だったのに、この服は股下の次元だよこれ。」
小声でぶつぶつ呟く様は、まるで怨霊のようでもある。私だったら近寄らない。
だからこそ分かることがある。
さっき私が思った通り、普通の人なら近寄らない。怪しいからね。
怪しい人を追う人間はより怪しいということになる。
つまり、つけられてるんだよね。
あっはっはっはっ。笑うところじゃないんだけど、笑いが止まらないなー(棒)
心の中で、乾いた笑いをしておく。
心の声を外に出すわけにはいかない。気づいてるってのがバレたら、何があるかも分からない。
数人をマークし、すぐに普通の顔に戻す。
「あ、あー。お腹すいたな~。どこかいいお店ないかなー。」
私は、めちゃくちゃ不自然な演技をしつつ、街をぶらぶら歩いていく。
————————————
「女王、不審な人物を発見致しました。」
『そうですか。いつも通り、お願いしますね。』
「はっ。」
右の手の甲には、血のような紅に染まった紋章が付いていた。
特殊暗殺部隊《黒蜂》
名の通り、黒き影に潜み、蜂のように悪意の針を一刺しする。
女王と呼ばれる者を筆頭にした、先鋭部隊である。
「我等が正義のため。」
「「「我等が正義のため」」」
全員が復唱し、屋根を駆ける。
追うのは、たった1人の少女。
「カッハッハッハッハ、あの少女は強敵だ。逃すなよ。」
「分かっています。中途半端で終わらせたあなたとは違い、暗殺に向かいます。」
「ハッ、痛いところを突く。だが、先の仕事は混乱を作り出すことが最優先。言われた仕事はこなしたさ。」
「それはそれは、悪いことを申した。」
《黒蜂》の手下が4名、幹部が1名の構成。
「援護が欲しければいうがいい。助けてやろう。」
「ありがたいお言葉ですが、受け取ることはないでしょう。」
口喧嘩を始める2人は無視され、他3人は逃さぬよう目で縫い止める。
今回の最重要任務。それは、真実に近づき始めた者を、皆殺しにすることだった。
少女もまた、ターゲット。その姿は、可愛らしい服装をした、本当にただの少女———
———————————————————————
次回、暗殺者遭遇編。
だからといって、何かすごいことがあるわけでもないですが。
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