魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

文字の大きさ
上 下
186 / 681
6章 魔法少女と奴隷商の国

178話 魔法少女と潜入捜査(北商)

しおりを挟む

 やってきました、北商!

 その名の通り、エンヴェルの北の方にある街で、なかなかに荒れている。
 ほら、そこでも。

「オイコラァ!どこ見て歩いてんだ、アァァン?」
「それはコッチのセリフだボケェッ!」

「アァァン?」
「アァァン?」

 これよ、これ。バカみたないなのしかいない。何この無法地帯。

 ここで何をどう調べろっていうんだろうね。
 そもそもさ、こんな人達にあんなことできると思う?思わないよね、うん。

「潜入調査とは言ったものの、どうすればいいんだろうね。」
歩きながら、眉を小さく曲げる。もちろん、誰にも聞こえないように言った。

 ひぃ。視線を感じる。

 私は、フードを被る。今更だけど、よく見ると耳がついてる。
 最近はフード封印してたけど、さすがに目立ちすぎるのは良くないので、久しぶりに解禁する。

 猫耳?まぁいっか。アニメとかでもよく見るし。

 判断基準がおかしいのは、ご愛嬌ということで。優しい目で見ていただきたい。

「どこから回ろうかな~。やっぱり暴力団とかいるものなのかな?確か『冒険者ギルドは北商、商業ギルドは南商にあるから知っておいて』って、レイティーさんが言ってたね。」
そんなことを考えながらフラフラと歩き、途中で姐さんが抜けてたことに気づく。

 面倒だし、もういいかな。飽きたし。

「冒険者ギルドは後回しかな。色々大変そうだし。」
大雑把に、今日の行動を決める。まずは町の観察、そして人の観察だ。

 人や動きをや見た目を見るより、足元や口元、目元や視線を注意深く見たほうがいい‥‥気がする。

 2度と会うことはないんだし、少し怪しくてもバレないでしょ。バレないよね?

 チラッと道の横を見る。どこも、荒々しい字で書かれた看板に、怪しい雰囲気のある色をした建物で不気味だ。
 ここ、やっぱり誰かと来た方がよかったかな……

「言い出しっぺは私だ。ちゃんと完遂しなくては。」
自分の頬を叩き、気を入れ直す。

 午前は適当にぶらついて、ご飯食べた後にギルドに行けたら行って、色々観察……最後は帰ろう。

「にしても、いつまで経っても‥‥ボロいな。もう少しまともなとこはないの?」
小声で愚痴を吐き捨て、トボトボと歩く。

 どこ行こう。消去法で迷ってるんだよね。どこもまともじゃないから、セーフのところを探すのが難しい。

「オイお前。見慣れない顔だなぁ?」
突然、そんな風に声をかけられた。気になって振り返ってみる。

 ザ・モブキャラって感じ。モヒカンに、顔に傷があって、少しヒョロイ。
 何これ。ここまであからさまな人、存在するの?

「昨日来たので。」
まずは謙って喋ってみる。

 何か組織のこととか、ポロってくれてもいいんだよ?

「ハァ?一般人がこんなとこ来てんじゃねぇぞ?」
「冒険者なもので。」

「ハッ!こんなガキが冒険者だぁ?」
「魔法が使えるので。そもそも、歳は関係ないのでは?」

「口答えしてんじゃねぇー!オレを誰か知って言ってんのか!?」
「知らない。」
そろそろモブの下手に出るのも嫌になり、いつもの調子に戻る。

 あと、何か吐いてくれそうだし。

「オレはここらを取り仕切る暴力団、赤狼烈火せきろうれっかのの一員だぁ!」

「……………ワー、スゴーイ。」
ぱん、ぱん、ぱん、と非常に不定期に手を鳴らし、死んだ魚の目で見つめる。

 赤狼烈火、ね。オッケー覚えた。もし見つけたら、簡単に交渉フルボッコにしてボスに情報もらおう。

 ついでに、どこにいるかも吐いてもらおう。

「赤狼烈火ハ、ドコニキョテンガアルンデスカ。」
「おう、気になるか?それはだなぁ、あの路地の先の先にある、とたん屋根の家だぜ!」

「フーン、ソウナンダー。モウカエッテイイ?」
「仕方ねぇな。特別に解放してやるよ。」
そう言って、モヒカンモブ男は去っていった。それを、まだ死んだ魚の目で見つめる私。

 ふぅー。演技疲れたー。
 さっきの、名演技なんじゃない?ドラマ狙えちゃう?
 まぁそんなわけないけど。

 でも、しっかり情報はもらった。そういう人は、何かいい噂を持ってるものなんだよ。


 ぐーぎゅるるる。

「その前に、ご飯済まさないと。」
自分のお腹に手を当てる。さっきまで地味にシリアスそうな雰囲気を醸し出してたけど、一気に消え去った。

 そして私は、奇行に出ていた。

「すいませーん、美味しいご飯屋さん知ってますかー。」
吹っ切れたような笑顔(フードで見えない)を浮かべ、そんなことを口に出していた。


「おぉ、ワイルド。」
少し大きめの肉が、ただ焼かれたものが出てきた。いわゆるステーキみたいなものだった。

 食欲って怖いよね。お腹空くと、あんなことしちゃうなんて。
 たまたま声をかけた人が他の街の冒険者だったからよかってけど、そうじゃなかったら街中で怪我人が出るところだった。

 どうしてって?あんなモヒカンが絡んでくるんだよ?手ぐらい出るよ。

 今思ったけど、私って捕縛めっちゃ難しいね。

 「ほんとに今更だね……」と口にしながら、もきゅもきゅと口を動かす。

 さすがは北商、豪快だけど美味しい。

「ふぅー!お腹いっぱい。」

小銀貨2枚のステーキだったけど、2000円って高いのかな?
 ステーキなんて食べにいったことないから、全然分からなかった。

 覚えてたらまたこよう。

「今度こそ、赤狼烈火の元へ……レッツゴー!」
1人だから、そういうテンションも勝手に変えられるので楽だ。当分、パーティー組むのははいいかな、と思いつつある。

———————————————————————

 こんなような話が、あと7話ほど続きます。頑張って読んでくださると今後の励みになりますので、是非、よろすすおねがいするます。(流行りに乗った)
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。

みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい! だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

処理中です...