魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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6章 魔法少女と奴隷商の国

164話 魔法少女は招待する

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「ふぁ~……んぅぅ…………」
ベットの上で、大きく伸びをする。

「ここ、どこ?」
ピンク色が目立つ天井が見え、なんだここ、となる。

 えーっと、窓をまず開けよう。

 バッと窓を開くと、目の前には広い野原が広がっていた。
 そこで思い出した。ここは私の家、小高い丘の上にある、そこそこの豪邸ということに。

「あー、うん。私のお家だ。」
ベットから降りる。その場でぐるぐると歩き回り、コートを着ていないことに気づいた。

 おっと、危ない危ない。厨二コートを着てなかった。

 このコート、ロア達にちょっとツッコまれたけど、「かっこいいですね!」と言ってくれた。可愛いね。頭なでなでしたくなって来たし、ロア呼ぼうかな?

「よし、ロアのところに行こう!」
そう言いつつ、朝食を用意する私。

 食材生成ってものすごい楽だよね。加工品が出ないのは辛いけど、パンくらい買えばいいしね。

 私がうろ覚えで作り出したオーブンにパンを突っ込み、核石に触れる。
 あとは味付けが既にされた肉を用意し、スープを作る。

「家具やら細かい雑貨、食材費諸々でだいぶお金が飛んでいった……土地は貰って正解だったね。」
切り分けたお肉をつまみ食いしながら、あの日のロアとネルに感謝する。

 ありがとう、2人とも。私の敷地に、何か好きなものを作る権利を与えよう。

「まぁ、そんなことは置いといて、ご飯でも食べよう。」
ちょうど焼き上がったパンを取り出し、肉を挟み、お椀にスープよそった。

「いただきます。」
初めての家での食事だからか、何故か少し緊張する。

 んー、まぁ美味しい。うんうん。

 もぐもぐと食事を摂りながら、出かける準備をする。掃除はめんどくさいから、また今度で。

 ま、まぁ?まっ、魔法で、なんとか?なるし?

「特に準備するものは無いけどね。」

 大抵の物はステッキに入ってるし、特別に用意するものなんて無いよ。

 ドアを開き、丘から朝日を見る。

「まだ朝だけど、もう起きてるよね。」
そんなことを呟きながら、ロアのいるアパートに向かう。

 最近思うけど、そろそろお金溜まってるだろうし、引っ越したらいいのに。狭いでしょ、あの部屋。

「今はお金が心もとないから………うん、また今度援助してあげよう。もちろん利子はなし。」
と、1人で笑っていた。変人だ。

 私はゆっくり散歩しながら、日がほんの少しだけ昇った頃に、アパートに向かった。
 ロアの部屋に、コンコン、とノックをし、「ロアー、いるー?」と聞く。

 ドアが、キィーっと音を鳴らして開いた。

「ソラお姉ちゃん?」

「おはよ、ロア。」
笑顔で手を振る。

「おはようございます。朝から、何か用ですか?」
不思議そうに首を傾げている。

「ちょっと見せたい物?招待したいところ?があるんだけど、ロアとサキはどうかなーって。」
「見せたい物、ですか?」
「そうそう。」
2人で話してると、奥から元気な声が聞こえてくる。

「お姉ちゃん、どうしたの?」
玄関で話してるロアが怪しく感じたのか、サキがロアの背中をトントン、と、眉の先を上げてロアを見ていた。

「お姉ちゃん?」
サキは私を見て、もう1度首を傾げた。

 もうその呼び方は固定なんだね。話の流れを読めば、まぁなんとか……?

「とりあえず、私たちはまだご飯を食べてないので、食べてからでいいですか?」
「うん、いいよ。こっちこそごめんね、こんな朝から来て。」

「もっときていいよ、お姉ちゃん!」
ロアの面影が残る顔でそう言われ、嬉しくなる。

 ロアが小さいときは、こんな感じだったのかな?見てみたいかも。

 「お邪魔しまーす」と一言言い、ロアの家に入る。

 机を見ると、2人分のご飯が作られている。簡素だけど、初めの頃よりかはいいものを食べてると思う。

 テレスさんは、今頃お店でせっせと働いてると思う。お疲れ様。月給、増やそうか?なんならポケットマネーから出してもいいけど。

 本当だったら、稼いだお金は全部テレスさん達に割り振りたいけど、必要なお金以外は全て私のギルド口座に入るんだよね。
 別にいいのに。っていつも思う。

 ロアとサキが美味しそうにご飯を食べ、笑ってる姿を横で見る。

 この笑顔を、守りたい。

「ソラお姉ちゃんはもう食べたんですか?」
「うん、食べたよ。」

「ソラさんって、普段どんなものを食べてるんですか?」
「宿屋のご飯だね。エリーが私の好みを把握し始めて、今度は私の体調に合わせて作ってくるから、食べる手が止まらないんだよね……」
えっへん、と胸を張るエリーが頭に浮かび、微笑を浮かべた。

 お金も笑顔も落としていくから、いい鴨だと思われてるのかも。

「ねぇねぇ、お姉ちゃん。見せたいものってなぁに?教えて教えて!」
気になって仕方ないと言う風に、机に乗り出して聞いてくる。

「私も気になります。」
ロアも目を輝かせて、私の方を見る。

「分かった、分かったからその期待の眼差しはやめて。」

「分かりました。」
普通の目に戻り、私は息を吐いた。

 謎のプレッシャーかけられたあの状態じゃ、話しにくいしね。2人はそれでいい。

「私、この前貰った土地で家作ったんだけど、来ない?花とか植えようと思ってるんだけど、一緒にやったら楽しいと思って。」
短めに要件を伝えた。

「おうち?行ってみたーい!」
「ソラお姉ちゃん、家を作ったんですか!?」
三者三様ならぬ、二者二様の反応をした。

 いい反応だ。その反応なら、言った私も満足するってものだ。

「で、どう?来る?」
「行く行くー!」
サキは即答した。大きな笑顔を作り、飛び跳ねていた。

「……今日はすることは無いので、行ってみたいです。ソラお姉ちゃんの家に。」
ふんす、と言うテロップがつきそうなポーズで、訴えかけるように言う。

 よし、決まりだね。

「じゃあ行こう!私の新居へ。」
大きさに驚くことを期待して、3人で家を出た。もちろん皿洗いと掃除を手伝ってから出たよ?

 魔法少女が家政婦みたいなことをしてるって?家政婦じゃないよ、ベビーシッターだ。

 それじゃあロアとサキに失礼かな、と思いつつ、ギルド裏の丘へ向かった。

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 6章が始まりました。もう投稿し始めてから結構経ちましたね。
 今章は書いてある通り、あの国に行きます。章名でいきなりネタバレですね。
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