魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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5章 魔法少女と魔物襲来

162話 魔法少女は家を建てる

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 私は、自分で勝手に作った1週間ほどの休暇を好き放題満喫した。

 初日は徹夜でエリー親子と話した。翌日も徹夜で森の散歩や街をぶらっと歩いていた。不思議なことに、お金がどんどん減っていった。

 次の日は、ゾンビのように眠った。さすがの私も、3徹は無理だったみたいだ。
 その日は、丸1日寝てた。

 そこからは、適当に惰眠を貪ったりロアとサキとゲームをしたり、ネルとフィリオの家で遊んだりと、たくさん遊んだ。

 そして現在。

「そろそろ、貰った土地に家建てないとなぁ。」

 あー、そうなると、この宿屋ともお別れだ。思い出が結構詰まってるのにな。

 はっ、最後に挨拶して終わろう。

「ありがとうございました、ありがとうございました……」
両手を合わせ、目を閉じる。

 よし、エリーのとこに行くか。

 階段を踏み締め、1階に降りる。足音が響き、もう終わりなんだなぁ、と思った。

「あれ?どうしたの、ソラ。」

「この前の魔物の件あったでしょ?その時の報酬で、土地貰ったんだよね。そこに家建てようと思ってるから、今日で引っ越す?んだよね。」

「………………………?」
静寂が続く。「あの~?」と尋ねると、その瞬間、飛び跳ねるように肩を震わせた。

「おっ母さぁぁぁぁぁぁん!!ソラがっ、この宿から出るんだってぇぇぇぇーーー!!」

「そんな大声出さなくていい!!」
なんとか宥めることに成功し、椅子に座らせられた。

「まぁ、かくかくしかじかでそういうことがあったから、今までお世話になったし挨拶くらいしようと。」

「とうとうソラちゃんも家を持つのね。頑張りなさいよ。」
何を頑張るか分からないけど、子供の1人暮らしに心配してるんだと思う。

 でも、その点は大丈夫。あのふざけた親達のおかげで、家事全般は得意だから。

 決して、義母さん義父さんのことでは無いとだけ追加しておく。

「と、いうことで。……………ふぅ。」
大きく深呼吸をする。

「今まで、くっそお世話になりましたぁ!」
土下座の姿勢で、銀貨を5枚床に置く。銀貨5枚は、諭吉が5枚っていうことだから、見た目以上に高価だ。

「なになに?ソラっ、何かの真似?銀貨?銀貨なんて仕舞って!そんなの貰えないって!」

「いや、ただのお礼。ほらほら、なんか微妙な量だけど受け取って。」
じゃ、と片手を挙げて宿から出た。最後に「ちょまっ」って聞こえた。

 ま、今世のお別れじゃないんだし、お金受け取ってもらってまた遊びにこよう。
 その時はタダ飯食らいに行こうかな?嘘だけど。

 この間、フィリオの家にお邪魔した時に土地が見つかったと連絡をもらった。
 ちゃんと証明書と許可証的なものは貰った。これがないと、持ち主証明と建築違反になるらしい。

 ひぃ、怖い怖い。捕まりたくはない。しっかり収納しとこう。
 領主直々に貰ってるし、よっぽどのことがない限り捕まらないとは思うけどね。

「にしても、家かぁ。私が家を持つなんて、立派になったものだ。」

 拝啓。お義母さん、お義父さん。
私は1人でも、この世界でなんとかやっていってます。

 多分これで3度目のお手紙。神様が意向で送ってくれてたら、差出人不明の意味不明な手紙が届くことになるね。

「ギルドの後ろって言ってた気がするし……あっ、あっちか。」
小走りでギルドの裏の土地に向かう。前に言っていたとおり、小高い丘になってて、誰もいない。

 あの線なんだろ、私の所有地かな?

 近づいてみる。

「ひっろ!広すぎでしょ!どんな豪邸建てろというんだ!」
見てみると、案外広い。

 丘の上あたり、全部私の敷地。アホか。フィリオの家よりかはマシだけど、そんな大きい家建てないよ?管理大変だし。

「好きにいじれってこと?ならやっちゃうよ?畑とか花とか育てちゃうよ?」
これで、敷地の4分の1の使い方が決まった。

 なら4分の2とちょっとは家、残りが庭でいっか。特に何も置かないけど。

 方針が決まる。だからといって、驚きが消えたわけじゃない。

「どういう家にしようかな。っと、その前に建築魔法とかあった方がいいよね?」
大量のSPを思い出し、画面を開く。

 SP206580………多すぎる。よし、作るか。

 そして出来上がったのがこちらです。

 一級建築魔法Ⅲ
どんな建物でも作ることが出来る。見栄えは振り数によって変化する。

 使ったSP、500ちょい。全く減ってない……ことはない。うん。徐々に使っていこう。

「よーし、家の大体の大きさは決まったし、何を意識して作ろう。ここはそうだ、思い切って洋風にしよう。」
半減したとはいえ、大量の魔力を持っている私は、早速物質変化で木材を作り出す。

 魔力性木材だから、簡単には壊れないよ。私お墨付き!

 だから何?という話だ。

 少し丸みを持たせたいし、2階建てにする予定だから……

「材料は一旦こんな感じ。あとは随時やっていこう。」
手をパンパンッと払い、息を吐く。

 全てにおいて私の魔力が入ってるから、魔導法で簡単に操作できる。
 やっぱり最強だよね、魔導法。

 魔法の繋がり、万歳。

 ついでに、農業者Ⅱも作った。使うかもしれないしね。

「今日で終わるかな、家づくり。まぁ本気でやればいけるでしょ。」
家作りを甘く見すぎている私。でも魔法のおかげでなんとかなる。

 終わったら、みんなを招待しよう。そうしよう。

「よーっし!やる気出てきたー!」
両手を空に挙げ、叫んでみる。人はいないから、ただ空に木霊する。

 この時の私は、呑気すぎていた。

 この格好のせいで完全に忘れていた。私の本来の服、コートの中は魔法少女服だということに。

 そして私は、可愛い可愛い、魔法少女ということに。

———————————————————————

 家作り開始です。どんな家かは皆さん想像つきますよね?
 せーのっ。うんうん、多分正解です。カフェがそうだったように、もぐもぐ、今回も、そうなるかもしれませんね。ごっくん。

 べっ、別に食べながら執筆なんてしてませんからね!(史上最高に可愛くないツンデレ)
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