魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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5章 魔法少女と魔物襲来

153話 魔法少女と地龍 2

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 出現させた暗黒弓と流星光槍を上空に向けて射出し、雨のようにして降らせる。

 どこに行っても攻撃が当たる、闇と光の同時攻撃!例えを出すなら、水と炎を何度もかけられてるみたいなもの。

 だいぶストレスを溜めさせられるんじゃない?

「グルァァァッ!グルァァァッ!ァァァッッ!」
土槍や土弾で、私の魔法を相殺させていく。

 流石は地龍。私の魔法を簡単に往なすなんて……でも、ダメージはゼロじゃないっ……!?

「反射っ?」
技と力を弱くしてるのか、弾と弾が反射している。

 これが魔物のすること?知能高すぎっ。

 緻密な計算を地龍を行ってると考えて、「地龍じゃなくて智龍じゃん」と小さく呻く。

 こんな計算、私でもできないよ。

 弾と弾を弾いて、その反射を全て私に向けるって……それも木に反射してから、私に向かわせるなんて技もやってる。

「これを、チートと言わずなんて言うの。」
驚きを通り越して、完全に呆れきっていた。

 まるで、弾幕ゲームのように反射されてくる弾を避けながら地龍に接近する。

 VRMMOガチ勢の実力を舐めないでほしいね。あの時はレベマで、動きはもっと早かった気がするけど……今も今でチート。避けるくらい容易いっ。

 弾道を予測しながら、体を捻っていく。

「魔法分解!トール!」
魔法分解で魔法を完全に分解し、代わりにトールを投げつける。

 効くとは思ってない。ただの牽制だよ。

「勝機を見つけないと、モチベーションも湧かない。なんかないの?打破する方法。」
頭を捻っても、出ないものは出ないので目の前の戦いに集中することにした。

 地龍を倒す条件として、硬い鱗を突破するのがまず1つ。他にも、倒せるほどの威力、その他諸々が必要。

「今のところ、鱗を突破できるのは2つ……」
地龍が飛ばす土槍を躱したり、刀で斬ったりして防ぎながら、実戦で学ぶことにした。

 大きく飛び上がり、暗黒弓を放った。そのまま、空中歩行の足場を蹴って地龍の真上に降り、その勢いを使って刀を振り下ろす。

「ギュォォォォォゥッ!!」
少し鱗に食い込んだけど、貫通はできなかった。すぐに飛び去ろうとするも、地龍は体を大きく揺らしてバランスを崩す。

「落ち………っ!」
体が反転する。

「るぅっーーー!」
巨大な地龍の背中から落ちて、無事で済むはずがない。なんとか着地しようと、地面ギリギリのところでトールを使う。

「止まれ!」
雷の反発が生まれ、体がふわっと浮き上がる。

 いてっ。……でも、なんとか着地成功。

 地面に尻もちをついて、安堵する。

「って、危なっ!」
すぐに体を逸らし、寝転んだあとに木に飛び移る。

 地面は凶器。地龍の前で地面に座ってたら、刺してくださいって言ってるようなものじゃん。

 危ない危ない、と額に浮かんだ嫌な汗を拭う。

 そんなことをしていると、隙を見つけたと言わんばかりに巨大な岩を空に飛ばしていた。

「隕石でも作るつもり……?」
ステッキに魔力喰らいを纏わせ、岩の飛来に備える。岩は、落下の勢いで空気を纏ってるように見えた。

「今っ!魔力喰らい!」
岩は、もちろん地龍から出来ている。魔力喰らいなら、消してくれると思う。

「っと、危なかった。」
さっきから危ないことしかない気がするけど、気にしていたら終わりだ。

 でも、1つだけ案が浮かんだ。できるかはまだ不確定だけど。

 刀を収納し、集中する。

 飛ばされる土槍は止まないけど、この程度だったら万能感知で避けられる。

「常人だったら秒も持たないだろうね。はは、じゃあ私はなんなんだろう。」
乾いた笑いが漏れていた。今、自分の表情が分からない。それだけ焦ってるんだと思う。

 集中、集中しろー。力の流れを感じ取れ。

「グリオ゛ォォォォォォォォォォォォ!!」
舐めプされたと思ってるのか、怒りを爆発させている。

 そんな怒んないで、私だって本気だよ!

 そんな思いは届かず、地龍が突進する音と振動が伝わってくる。

「もう少し、もう少しでコツが掴めそう。」

 龍を倒す上で、必要なのは魔法じゃない。魔法に似てるけど、もっと自由なものが必要。

 それこそ、チートの類い。

 地龍の足は止まらない。もう、魔法じゃどうにもできないレベルに来てる。

 このままだったら、私は死ぬと思うな。だったらね。

 ステッキを、刀を持つように構える。パッと見、ただのステッキにしか見えない。でも、そこにはしっかり力が込められている。

「ギュルゥォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッッッッ!!!」
耳を劈くような轟音が森を支配する。その揺れで、木が折れてしまう。

「馬鹿正直に突っ込んでくれて、ありがとう。私の勝ちだね、地龍さん?」
私らしくもない甘ったるい声。甘ったる笑みを浮かべた。

 もしも、私のしてることに疑問を持って逃げていたら、もし、本気でビームを撃っていたら、私は間違いなく勝てないし、死んでた。

 でも、地龍は私の手のひらで踊ってくれた。今気づいたけど、は多分魔物用じゃな
い。
 もちろん、魔物を含めた他の生物にも効いたと思う。でも、本質は違う。

 容量という形で力を持つ龍に対し、無限の力で打ち勝とうとしたんだ。

 じゃないと、もう滅んでるはず。

 戦争の時代、多分人側はめっちゃ不利だったはず。
 相手には魔物達や、龍がいた。勝てるはずがない。だから、空力という空間の力に頼った。

「神が与えた最後の力。神に祝福されたその身に、刻み込んであげる。」
タイミングを合わせ、合わせ、合わせた。

 その瞬間が来た。

 私は持つ力全てをこの一撃に賭けるように、思いっきり振り上げる。

 次の瞬間、大地が揺れた。

———————————————————————

 ソラの言うアレとは、一体なんのことでしょう。最後の説明でバレバレですけどね。

 実は龍に特攻を持ってたんですよね。エディレン辺りが「ま、其方らは其方らで頑張って」とでも言って渡したんでしょう。
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