158 / 681
5章 魔法少女と魔物襲来
153話 魔法少女と地龍 2
しおりを挟む出現させた暗黒弓と流星光槍を上空に向けて射出し、雨のようにして降らせる。
どこに行っても攻撃が当たる、闇と光の同時攻撃!例えを出すなら、水と炎を何度もかけられてるみたいなもの。
だいぶストレスを溜めさせられるんじゃない?
「グルァァァッ!グルァァァッ!ァァァッッ!」
土槍や土弾で、私の魔法を相殺させていく。
流石は地龍。私の魔法を簡単に往なすなんて……でも、ダメージはゼロじゃないっ……!?
「反射っ?」
技と力を弱くしてるのか、弾と弾が反射している。
これが魔物のすること?知能高すぎっ。
緻密な計算を地龍を行ってると考えて、「地龍じゃなくて智龍じゃん」と小さく呻く。
こんな計算、私でもできないよ。
弾と弾を弾いて、その反射を全て私に向けるって……それも木に反射してから、私に向かわせるなんて技もやってる。
「これを、チートと言わずなんて言うの。」
驚きを通り越して、完全に呆れきっていた。
まるで、弾幕ゲームのように反射されてくる弾を避けながら地龍に接近する。
VRMMOガチ勢の実力を舐めないでほしいね。あの時はレベマで、動きはもっと早かった気がするけど……今も今でチート。避けるくらい容易いっ。
弾道を予測しながら、体を捻っていく。
「魔法分解!トール!」
魔法分解で魔法を完全に分解し、代わりにトールを投げつける。
効くとは思ってない。ただの牽制だよ。
「勝機を見つけないと、モチベーションも湧かない。なんかないの?打破する方法。」
頭を捻っても、出ないものは出ないので目の前の戦いに集中することにした。
地龍を倒す条件として、硬い鱗を突破するのがまず1つ。他にも、倒せるほどの威力、その他諸々が必要。
「今のところ、鱗を突破できるのは2つ……」
地龍が飛ばす土槍を躱したり、刀で斬ったりして防ぎながら、実戦で学ぶことにした。
大きく飛び上がり、暗黒弓を放った。そのまま、空中歩行の足場を蹴って地龍の真上に降り、その勢いを使って刀を振り下ろす。
「ギュォォォォォゥッ!!」
少し鱗に食い込んだけど、貫通はできなかった。すぐに飛び去ろうとするも、地龍は体を大きく揺らしてバランスを崩す。
「落ち………っ!」
体が反転する。
「るぅっーーー!」
巨大な地龍の背中から落ちて、無事で済むはずがない。なんとか着地しようと、地面ギリギリのところでトールを使う。
「止まれ!」
雷の反発が生まれ、体がふわっと浮き上がる。
いてっ。……でも、なんとか着地成功。
地面に尻もちをついて、安堵する。
「って、危なっ!」
すぐに体を逸らし、寝転んだあとに木に飛び移る。
地面は凶器。地龍の前で地面に座ってたら、刺してくださいって言ってるようなものじゃん。
危ない危ない、と額に浮かんだ嫌な汗を拭う。
そんなことをしていると、隙を見つけたと言わんばかりに巨大な岩を空に飛ばしていた。
「隕石でも作るつもり……?」
ステッキに魔力喰らいを纏わせ、岩の飛来に備える。岩は、落下の勢いで空気を纏ってるように見えた。
「今っ!魔力喰らい!」
岩は、もちろん地龍から出来ている。魔力喰らいなら、消してくれると思う。
「っと、危なかった。」
さっきから危ないことしかない気がするけど、気にしていたら終わりだ。
でも、1つだけ案が浮かんだ。できるかはまだ不確定だけど。
刀を収納し、集中する。
飛ばされる土槍は止まないけど、この程度だったら万能感知で避けられる。
「常人だったら秒も持たないだろうね。はは、じゃあ私はなんなんだろう。」
乾いた笑いが漏れていた。今、自分の表情が分からない。それだけ焦ってるんだと思う。
集中、集中しろー。力の流れを感じ取れ。
「グリオ゛ォォォォォォォォォォォォ!!」
舐めプされたと思ってるのか、怒りを爆発させている。
そんな怒んないで、私だって本気だよ!
そんな思いは届かず、地龍が突進する音と振動が伝わってくる。
「もう少し、もう少しでコツが掴めそう。」
龍を倒す上で、必要なのは魔法じゃない。魔法に似てるけど、もっと自由なものが必要。
それこそ、チートの類い。
地龍の足は止まらない。もう、魔法じゃどうにもできないレベルに来てる。
このままだったら、私は死ぬと思うな。このままだったらね。
ステッキを、刀を持つように構える。パッと見、ただのステッキにしか見えない。でも、そこにはしっかり力が込められている。
「ギュルゥォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッッッッッッ!!!」
耳を劈くような轟音が森を支配する。その揺れで、木が折れてしまう。
「馬鹿正直に突っ込んでくれて、ありがとう。私の勝ちだね、地龍さん?」
私らしくもない甘ったるい声。甘ったる笑みを浮かべた。
もしも、私のしてることに疑問を持って逃げていたら、もし、本気でビームを撃っていたら、私は間違いなく勝てないし、死んでた。
でも、地龍は私の手のひらで踊ってくれた。今気づいたけど、アレは多分魔物用じゃな
い。
もちろん、魔物を含めた他の生物にも効いたと思う。でも、本質は違う。
容量という形で力を持つ龍に対し、無限の力で打ち勝とうとしたんだ。
じゃないと、もう滅んでるはず。
戦争の時代、多分人側はめっちゃ不利だったはず。
相手には魔物達や、龍がいた。勝てるはずがない。だから、空力という空間の力に頼った。
「神が与えた最後の力。神に祝福されたその身に、刻み込んであげる。」
タイミングを合わせ、合わせ、合わせた。
その瞬間が来た。
私は持つ力全てをこの一撃に賭けるように、思いっきり振り上げる。
次の瞬間、大地が揺れた。
———————————————————————
ソラの言うアレとは、一体なんのことでしょう。最後の説明でバレバレですけどね。
実は龍に特攻を持ってたんですよね。エディレン辺りが「ま、其方らは其方らで頑張って」とでも言って渡したんでしょう。
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。
みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい!
だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる