157 / 681
5章 魔法少女と魔物襲来
152話 魔法少女と地龍 1
しおりを挟む私は逆探知作戦を遂行し、とうとう地龍の元に辿り着いた。
どうやって辿り着いたかは、そのまま。
力になぞって進んでるから、実質、ゴールと繋がってるロープを掴みながら歩いてるようなものだよ。
木の影に隠れて、魔力を極力出ないように気をつける。
「やっぱり生きてたんだ……」
レールガンすら効かないとなると……と、少し悲観的になってしまう。
なら刀、他には魔法連打。魔導法での鱗が破壊。
色々な案が浮かぶも、どれも却下だ。
「刀は鱗に刃が通らないと思う。鱗に干渉するのは、脈が濃すぎで無理。魔法連打が1番現実的だけど、回復薬2本で足りるかどうか……」
深いため息が出る。言葉に力が無くなるけど、自分から役目を担うとか言っておいて、ここで引くのはかっこ悪すぎる。
よーし、やるぞっ!
心で拳を握った。
まずここは遠距離攻撃から。———暗黒弓!
ステッキを振り上げると、それと同時に真っ暗な鏃と、紫がかった胴体(?)のある矢が何本も放たれた。
「グラウゥゥゥゥゥゥヴァァァッ!!」
漆黒の鏃が地龍の鱗に、溶けるように刺さる。それによって、地龍はいつにも増して大きな咆哮をあげていた。
うるさっ!常人なら一瞬で鼓膜潰れてたよ。
まぁそれはいいとして、暗黒弓は効くんだね。鏃が闇で出来てるからかな?
この感じだと、他の2つも効くのかな?
「今から戦闘開始だ。」
勝てるかどうかは分からないけど、という言葉は飲み込み、ステッキを絞るように握る。
「ゴガア゛ァァァァァァァァァァァッッ!!」
相も変わらず、どうして魔物はそんな叫ばないと生きていけないの!
「うるさいっ、混合弾!」
辺りには夥しい量の混合弾が発生して、闇と光の合わさった微妙な色をしていた。
「全弾、射出っ!」
もの凄いスピードで混合弾が射出され、ダァンッダァンッダァンッ!と大きな音を立てて衝突する。
「グルォォォォッ!!」
何弾も命中するけど、声だけで見た目は全然効いてるようには見えない。
やっぱり鱗だよね。強固な龍鱗をどうにかしないと、勝てるものも勝てない。
「グラオ゛ォ゛ォ゛゛ォ゛ォ゛ッ゛!!」
轟音が鳴り響き、私の周りから少し違和感を感じる。
……なんかミシミシいってる気が……って!
「危ないっ……ッ!!」
寸前で飛び退き、木の枝を使って回転して飛ぶ。地面、そして木の側面から、土の槍が生えてきた。
やっぱり、地龍相手に陸上戦は死だ。でも、空中歩行し続けるのも、それはそれで魔力が必要。
「勝ち目が思い浮かばないんだけど……」
ため息混じりに嘆き、もう1度跳躍する。その瞬間に、地面から土槍が出現した。
やっぱり、魔力消費よりこっちの方が危険だね。空中歩行作戦に切り替えだ。
目には目を、槍には槍をで流星光槍を5本ほど作り上げる。
「これが効かなかったら本格的にやばいよ?」
そんな独り言が漏れるくらいには、やばいということだ。
まず1発目。よーい……発射!
勢いよく回転し、流星が風を切るようなスピードで飛んでいき、地龍へと肉薄する。
「グルァァァァァァァアッ!」
鱗を突き抜けて、地龍は喚く。
よしっ、効いた!
あと4発は同時に射出し、風を切る音がはっきり聞こえる。
これは勝てるか?そう思っていた。
「ルオォォォォォォォォォォォォッッッ!!!」
でも、その音が聞こえたときにはもう終わっていた。
なんとも言えない色合いの波動が、地龍の口から出た。
ビームみたいなのが飛び出し、光槍は跡形もなく消え去った。
そんな攻撃するなんて効いてないよ、チートだよチート!勝てるわけないじゃん。
「ちょっと、いや本当に本気出さないと……」
刀を取り出し、二刀流になる。本気の本気だ。
ここから始まるのは、地龍と私の超激戦。
向こうも動き始めた。私も気をしめていかないと!
「アースアイス!万属剣!」
地面が揺れ、氷槍が地面から飛び出る。それとほぼ同時に、私の真下からも土槍が出てくる。
空にいるから避けれたと思ったのに、何故かぐんぐんと長く伸びる。
「何これ、当たるまで終わらないとかいう奴!?」
焦って刀を振るうと、何度か受け止めた後に叩き折れた。
「グルァァァァァァァア!!ギュォォォォォォォォォォッッ!!!」
背中に赤いマークみたいなのが浮かび上がり、「なんだろう、あれ」と、思いながら戦闘を続ける。
「土弾!?まさか学習系?」
私かは混合弾で応戦するも、地龍との力の差が大きく、上手く相殺しきれない。
どうすればいい?どうすれば勝てる?
すぐに勝てる確率は、もう1%もない。あるのは、死ぬかもしれない可能性と、時間をかけて倒す可能性。
後者を選ぶため、必死になって頭を働かせる。
「だめだ、思いつかない。」
いくら私でも、できることとできないことはある。それが、こんなところで来るなんて。
今のところ地龍の技は、ポケ○ンと一緒の4種類。土弾、土槍(地面、壁)、土槍(通常)、ビームだ。
どれもこれも威力が高くて、私じゃ対応に困る。決定打にかける私と、どんな技でも決定力のある地龍。天秤にかけたら、どっちが強いかなんてのは分かりきってる。
「でも!私は転生者。主人公的立ち位置!そんな私が死んだら、一体誰が地龍を倒すんだ!」
大声で自分を鼓舞し、頬を叩く。
効いた魔法。暗黒弓と流星光槍をいくつも出現させ、宙に浮かせる。
こういうときにこそ、頭は働いてくれる。よくそうやっていうけど、実際はどうなんだろうと思う。
やってくれよ、私。
おうさ、私。
第1フェーズは終わり。これからは第2フェーズになる。
第1フェーズは、完全不利に終わった。
———————————————————————
眠い目を擦りながら執筆しました、今も眠いです。なので、いつにも増してグダグダのような気もします。
次回の執筆のために、寝ます。
0
お気に入りに追加
116
あなたにおすすめの小説
ピンクの髪のオバサン異世界に行く
拓海のり
ファンタジー
私こと小柳江麻は美容院で間違えて染まったピンクの髪のまま死んで異世界に行ってしまった。異世界ではオバサンは要らないようで放流される。だが何と神様のロンダリングにより美少女に変身してしまったのだ。
このお話は若返って美少女になったオバサンが沢山のイケメンに囲まれる逆ハーレム物語……、でもなくて、冒険したり、学校で悪役令嬢を相手にお約束のヒロインになったりな、お話です。多分ハッピーエンドになる筈。すみません、十万字位になりそうなので長編にしました。カテゴリ変更しました。
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
伝説の魔術師の弟子になれたけど、収納魔法だけで満足です
カタナヅキ
ファンタジー
※弟子「究極魔法とかいいので収納魔法だけ教えて」師匠「Σ(゚Д゚)エー」
数十年前に異世界から召喚された人間が存在した。その人間は世界中のあらゆる魔法を習得し、伝説の魔術師と謳われた。だが、彼は全ての魔法を覚えた途端に人々の前から姿を消す。
ある日に一人の少年が山奥に暮らす老人の元に尋ねた。この老人こそが伝説の魔術師その人であり、少年は彼に弟子入りを志願する。老人は寿命を終える前に自分が覚えた魔法を少年に託し、伝説の魔術師の称号を彼に受け継いでほしいと思った。
「よし、収納魔法はちゃんと覚えたな?では、次の魔法を……」
「あ、そういうのいいんで」
「えっ!?」
異空間に物体を取り込む「収納魔法」を覚えると、魔術師の弟子は師の元から離れて旅立つ――
――後にこの少年は「収納魔導士」なる渾名を付けられることになる。
二度も親を失った俺は、今日も最強を目指す
SO/N
ファンタジー
主人公、ウルスはあるどこにでもある小さな町で、両親や幼馴染と平和に過ごしていた。
だがある日、町は襲われ、命からがら逃げたウルスは突如、前世の記憶を思い出す。
前世の記憶を思い出したウルスは、自分を拾ってくれた人類最強の英雄・グラン=ローレスに業を教わり、妹弟子のミルとともに日々修行に明け暮れた。
そして数年後、ウルスとミルはある理由から魔導学院へ入学する。そこでは天真爛漫なローナ・能天気なニイダ・元幼馴染のライナ・謎多き少女フィーリィアなど、様々な人物と出会いと再会を果たす。
二度も全てを失ったウルスは、それでも何かを守るために戦う。
たとえそれが間違いでも、意味が無くても。
誰かを守る……そのために。
【???????????????】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
*この小説は「小説家になろう」で投稿されている『二度も親を失った俺は、今日も最強を目指す』とほぼ同じ物です。こちらは不定期投稿になりますが、基本的に「小説家になろう」で投稿された部分まで投稿する予定です。
また、現在カクヨム・ノベルアップ+でも活動しております。
各サイトによる、内容の差異はほとんどありません。
銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~
雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。
左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。
この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。
しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。
彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。
その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。
遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。
様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。
黙示録戦争後に残された世界でたった一人冷凍睡眠から蘇ったオレが超科学のチート人工知能の超美女とともに文芸復興を目指す物語。
あっちゅまん
ファンタジー
黙示録の最終戦争は実際に起きてしまった……そして、人類は一度滅亡した。
だが、もう一度世界は創生され、新しい魔法文明が栄えた世界となっていた。
ところが、そんな中、冷凍睡眠されていたオレはなんと蘇生されてしまったのだ。
オレを目覚めさせた超絶ボディの超科学の人工頭脳の超美女と、オレの飼っていた粘菌が超進化したメイドと、同じく飼っていたペットの超進化したフクロウの紳士と、コレクションのフィギュアが生命を宿した双子の女子高生アンドロイドとともに、魔力がないのに元の世界の科学力を使って、マンガ・アニメを蘇らせ、この世界でも流行させるために頑張る話。
そして、そのついでに、街をどんどん発展させて建国して、いつのまにか世界にめちゃくちゃ影響力のある存在になっていく物語です。
【黙示録戦争後に残された世界観及び設定集】も別にアップしています。
よければ参考にしてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる