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5章 魔法少女と魔物襲来
147話 魔法少女と中ボス 1
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真相の一端に触れたフィリオは、片手に書物、もう片方にはコーヒを持ってカップを傾ける。
「やはり———か。」
独り言のように呟き、対応を考える。
今すぐにでも近辺の街と協力し、騎士を連れて問いただしたいところだが、魔物が蔓延っているため不可能だ。
「これも狙いのうちなのか……?」
この状況では、フィリオも対応に追われている。大変の一言で片付けられないほどの忙しさで、忙殺されそうだ。
「この騒動が終わったら、またソラにでも頼るか……」
恩を買い続けるのは癪だが、この街を守るためにプライドが邪魔だとしたら、そんなものは捨てる。
書物を閉じ、目頭をつねる。もう一仕事するために、フィリオを立ち上がった。
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万能感知に従い、ディーを案内しつつ森の木々を掻い潜っていく。
「ちょ、おい!待てやっ!ペースが……早すぎるっ、、、こっちは鎧着てんだぞ!」
「知らないよ。そっちが勝手につけてるんじゃん。」
「くっ……」
悔しそうに歯を食いしばり、その光景を見た私は笑みが漏れる。
テメェ……という声も聞こえたけど、負け犬の遠吠えってやつだよね。
「実際だいぶやばそうだから。魔法少女の勘がそう言ってる。」
「なんだよその勘はよ。なんもいなかったらぶっ飛ばすぞ。」
逆に私がぶっ飛ばすことになりそうだけど、本人がいいならどんと来い。
じゃ、なくて。本気危険なことになりそう。本気と書いて本気と読むからね。テストには出ないけど。
「ぶっ飛ばすと言われましても、私をぶっ飛ばした場合の損害が酷いよ。どうやって魔物を食い止めるわけ?」
「んなこと分かってる!」
ならなんで言うの?と言ってやろうかとも思ってたけど、流石に可哀想なのでやめてあげた。
私ってば優しー。
「ここから北東へ約500メートル、400メートル……準備して。」
「わぁったよ。」
やむなくといった表情で頭を掻き、剣を引き抜く。
そろそろ姿が見えてくる頃。どんなのなんだろうね。
警戒と純粋に気になる気持ちが合わさり、脚に入る力が増す。
そして、その魔物と相対する…………
「え?「は?」」
私とディーの声が重なる。
目の前にいたのは、人型の生物。頭にはケモ耳が生え、尻尾も生えている。
獣人とかそんな感じ?というか倒したくないんだけど。獣人とは交友関係築きたい派なんだけど。
「おい、なんだこいつ。魔物じゃねぇぞ。」
「あのぉー、お名前とか教えてくれません?」
「何言ってんだ」と横からツッコまれるも、無視して聞く。
ふざけてるように見えて、ふざけてない。
これ、おかしいんだよ。私の万能感知は、その名の通りどんなものも感知できる。
例えば、箱の中の物とか、袋の中身とか。魔力が宿っていれば、大抵。
と、いうことは。一瞬惑わされたけど、これは獣人じゃない。魔物だ。
多分、隙をついて殺しに来るだろうから、私が前で押さえておく。
強さは中ボスクラス。この世界の人間が、まともにやって勝てるわけがない。
それこそ、空力とかを持ってない限り。
「おー、よしよし。いい子だー。」
手を伸ばした瞬間———
「グリュゥゥゥゥゥゥゥゥ゛!!!」
唸りと共に私の腕に噛みつこうとしてきた。
ビンゴっ!
「おいソラ!避けろっ!!」
ディーが目を見開いて叫んで駆け寄るけど、100%追いつかない。
でも、大丈夫。
私は口角をあげる。
「引っかかってくれたね。」
言うより早く体は動き、回転蹴りを食らわせる。
「久しぶりに体動かす。ちょっと腕鳴らしに、中ボスでも相手にしよう。」
はぁ?と言う表情をするディー。今起こったことが相当不思議らしい。
「今度は私が攻めるから、隙をついて攻撃して。」
「…………っ、わぁった……」
さっきより声量が低い。よほど驚いたようだ。
こっからは私のターン。そろそろこの魔物との戦いも飽きてきた頃合いだ。
これを倒して、一気に終わらせよう。
地面を深く踏み締め、私は一気に接近する。
「覚悟してね、手加減とか苦手だから。」
魔力のこもった拳を振りかぶり、目の前の吹き飛ばされた獣人に肉薄する。
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魔物の襲来により、深くダメージを負うティランとパズールの街。
冒険者達も疲弊し、気力も削がれる。
他の街も協力するも、戦況が変わることは無い。その状態を見て、男はニヤける。
男は気づかれてはいまいかと辺りを見回し、安全の確認が取れたところで撤退を始める。
これ以上する必要は無い。力を削ぎ、後は一方的に攻め込むだけだ。
地龍を再洗脳し、魔物を更に誘き寄せ、核石を割って魔物を呼ぶ。
他の街達は対応に追われ、領主はまともに休息は取れない。
侵攻した魔物は街を破壊し、いい頃合いで別の街に向かうよう仕向けてある。
そうすることにより、金銭的有利が働く。
人員も、金銭も、そして情報さえも。全ても支配し、この国を飲み込む。
それが、この男を派遣した者の狙い。
「これで、この国は我等の手中に収めることができる。この世界は、我等が国と化す。」
カッハッハッハッハ、と言う高笑いをあげる。
「そのためにも、足止めをしていてくださいよ。」
誰に言ったのか、全てを見下すような目で戦場を傍観する。
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この事件を起こしたのは、やはり人に仕業。そしてどこかの街がそれを起こし、国を支配するつもりのようです。
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