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5章 魔法少女と魔物襲来

145話 魔法少女は拍子抜け

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 レールガンを受け、地龍が倒れた数分後。のっそりと巨体が起き上がる。

「何が……起こったのだ?」
地龍が起き上がる。頭をブンブンと振るわせ、状況を把握しようとする。

 ここ数日間の記憶が思い出せない。記憶があるのは、強い衝撃が頭にはしってからだ。
 記憶が曖昧でよく分からないが、謎の少女に攻撃され、衝撃が伝わり目が覚めた。このまま戦闘を続けても無意味だと判断し、咄嗟に死んだふりをした。

「いつ、我輩はここきた……?洗脳?衝撃で元に戻ったか?」
地龍の知恵はなかなかに働く。辺りを警戒し、動くタイミングを探った。

 どうすればここから抜け出せる、どうしたら安全に脱出できる、思考を巡らせても、出てこないものは出てこない。

 どうすれば……と思い悩んでいると、人間の気配を感じた。

「何者だ!?」
少し声を荒げ、人間に怒声を上げる。

「まぁまぁ、そう声を荒げるな。」
男の声だ。

 その男は、

「気づかれた。お前には手伝ってもらおう。」
「何なのだ、うぬは?」
続きの言葉を口にする前に、男は遮るように鉱石を割った。男の手の甲にある、血のような紋章が光る。

 それと同時に地龍の体も光り、まるで燃え尽きてしまうかのように、赤黒い炎が包んだ。

「グルゥグワ゛ア゛ァァァァァァゥゥ!!!」
そこからまた、地龍の意識は途絶えた。

 最後に見たのは、ニヤリと笑みを浮かべた男の顔だった。

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「一体どうなってるのさ?」
私は森の端辺りを歩いてる。

 なんでこんなこと言ってるかって?そんなの簡単。地龍を秒では無いけど、分で倒してしまった。

 おかしいよね、明らかにおかしいよね。なんで地龍を簡単に倒せちゃうの?
 自分で言ってて虚しいけどっ!

「そんなこともあるって、片付けていいものなの?」
はぁ~っ、と大きくため息を吐いて、知恵熱が発生したので諦めた。

 結局諦めるのかって……そんなこと言われても、私にはちょっと難しいなぁ~

 ま、拍子抜けしたってのは事実だ。可能性がある限り、まだ気を抜けないね。

 これからはまたつまらなくなる。さっきと同じようなことを、淡々と作業の繰り返し。
 魔物を吹っ飛ばして、回復して、撤退して、吹っ飛ばして、回復して、吹っ飛ばして………

 あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

「……気が狂いそうだね。口が悪いけど、しちめんどくさい。」
未だうようよしている魔物たちに一瞥をくれ、嘆息する。

 仕方ない。戻りながら狩りますか。そろそろほんとにめんどくさくなってきたから、あっちに戻って一緒に戦お。

 万属剣とアクアソーサーを数個ずつ出し、刀も取り出す。
 この3つを適当に振りながら、歩いていく。

「なんか魔物が近づかなくなってる。死臭でもするのかな?」

 ずっと魔物を倒してる。いつか死臭くらいするようになるよね。

 核石のようなものはそこらじゅう、等間隔に設置されている。それと同時に、これは人の手でやったものに違いない、と感じるようにもなってきた。

「ってことは、この魔物襲来も誰かが意図的に仕組んだものってこと?」
進めていた歩を止め、思わず考え耽る。

 水竜さんの魔力で魔物が増える。ここまでは納得いくよね。それが、どうしてここまでやってくるってことになるんだろう。

 これが誘き寄せるための餌?この核石を排除しないと、魔物は減らない……?

「回収していこう、やばいことになる前に。」
さっきまで感じていた違和感は、やっぱりこれだったんだ、と思いながら核石をステッキに収納する。

 やっぱり、闇の魔力的なのを感じる。なんだろう、麻薬みたいな?

「なんでもいいや、危ないものは基本回収。特に散らばってる変な核石。」

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 領主、フィリオは屋敷で魔法通信の映像を確認していた。

「まずい事になってるな。」
眉間を摘み、コーヒーに手を伸ばす。

 ティラン側の冒険者。負傷者は数多く出ており、こちら側もディランよりは少ないものの、少なからずいる。
 こちらは魔法使いを数名派遣し、回復に専念させることによって負傷者を減らしていた。その判断が、功を奏したようだ。

「死者はまだ出ていない。この街の冒険者に死者がいないのも、あいつのおかげか……」
大きすぎる恩を売ってしまったな、と別の意味でも頭を抱える。

 不審に思う点で言えば、多からず見つけていた。

 ソラが不審に思った、散らばったドス黒い核石たち。フィリオも画面に目を凝らし、発見に至っていた。

「確かに減っているはずの魔物が、見た目では分かりずらい。減ってるように見えない。」
目を細め、他の場所も見始めた。

「ここも、こここにも。流石に怪しくなってきたな。」

 冒険者は、戦闘に集中して全体を見るなんてどころではない。でも、外から全体を見渡せるフィリオならば、分かることもある。

「まずは近場から調べよう。」
至った結論は、ソラと同じ。。という考え。

 ここ、パズールの街近辺にはいくつかの街、そして1つの国が存在する。

 言わずもがな、ティラン。そしてドリス、ガブリスト、多少遠いがエブリスなどがあり、国というのはエンヴェルという小国だ。

 ドリスはティランよりも近くにある街だ。多少田舎街で、質の良い農作物を栽培し、輸出している。

 ガブリスト、エブリスは街全体で兄弟のようなもので、互いに助け合って生活している。
 エブリスからは多くの鉱物や資源が採れ、採掘した物をガブリストの腕利きの職人が加工し、それを売る。

 エンヴェルは商人の行き来が盛んで、表向きには荒くれ者の冒険者や、商人たちが作り上げた国と言われているが、内面を見ると奴隷売買等を中心とした危険な国だ。

 独立国エンヴェル、内側を知るフィリオにとっては要注意するべき国ではあった。

 今はどこを見ても不審にしか思えないが、証拠が無いため動けない。

「………………やはり、か。」
さまざまな資料に目を通し、ようやく可能性に思い当たる。

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 ネタバレをすると、この街や国のどこかが次回の章の中心の話になります。
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