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5章 魔法少女と魔物襲来
143話 魔法少女は見つけちゃう
しおりを挟む切り株で優雅にコーヒーを飲んでいると、「お前もそろそろ働け」とディーに言われてしまった。
「いや、働いてるんだけど。私、どれだけ貢献してるの思ってる?そっち、どのくらい魔物倒した?安全区域から。」
煽るような口調で、ニヤニヤ笑いながら言ってやった。
さぁさぁ、どう答える?どう答えてくれちゃう?
「300程度だ。」
「………まぁまぁ、倒してるね。」
思ったよりも数が多くて、困惑してしまう。
え、普通に倒してない?そんなに撃ち漏らしってあったかな……
「はぁ……分かった分かった。働けばいいんでしょ、働けば。」
このままだと、私はサボりの烙印を押されてしまいそうだから立ち上がる。
「おう、それでいい。」
なんか偉そうな態度が鼻につくけど、数本の魔力瓶を掻っ攫って森の奥に戻る。
————————————
「よっ、よかったん、ですか?そ、ソラさんに、その。うっ、嘘を……ついて。」
「あぁ。別にいい。」
ディーは頭を雑に掻いて言う。
「あいつがいないと、戦いが成り立たねぇ。」
「確かに……そうですね。」
傷を回復魔法で回復させられている冒険者が3人いた。
そうだ。ディーを除いて全滅だ。
300体ほど、というのは大嘘だ。そんな魔物、倒せるわけがない。
4人のSランクパーティー、それもバランスの取れたパーティー。それほどの実力でないと、そんな数は不可能だ。
それを、ソラは成し遂げた。焚きつけでもして、働いてもらわないと門付近はお終いだ。
ソラがいなくなったことにより、魔物が好き放題出てきて、冒険者達はの負担が重くなった。
そのことにより、弱い冒険者達はボッコボコとなっている。
「そ、ソラさん。大丈夫、でしょうかね?」
「大丈夫だろ。魔力切れなだけで、傷ひとつ見えなかったろ。」
また雑に剣を握り、迫る魔物の首を叩き切った。
実のところ、ディーがこのメンバーの中で最強だ。性格の悪さを除けば、だが。
「あいつもあいつで何とかしてくれんだろ。」
————————————
そんなディーの考えも知らず、嫌々ながら歩き出していた。
「やっぱり魔物多過ぎ!」
出し惜しみを無しにして、ステッキを左手、刀を右手に構えて二刀流で応戦していた。
ちょくちょく恐竜みたいなのが出てくるけど、それが地味に強いんだよ。
あ、また来た。今度は首長竜的なのが歩いてくる。
「巻き込みながらで、一石二鳥だね。ファイボルト!」
1度で2度美味しい。周りの魔物を一掃しながら、首長竜を焦がした。
「皮膚硬っ。」
顔が引き攣るも、勝つことは余裕だ。
レイタースタートの万属剣、プラス核石を物質変化で超硬物質に変化!
1箇所に万属剣が集中する。レイタースタートはただの魔法式的な物だから、そんな力技が出来る。
「この物質をどうするかって?こうするんだよっ!」
スイングアップの補正がかかったステッキで、バットみたいに振り、カキーンッといい音が鳴る。
ホームランだね。
時速何キロか分からないけど、すごい速度で万属剣で刺した箇所に直撃した。
ヒビが付いたところに直撃したから、そこから思いっきり血が噴射されたのは驚いた。
「返り血とかついてないよね?」
自分の上着を軽く見る。ぱっと見はついていないので、まぁいいでしょう、とトドメを刺す。
ドスンッと首が地面に叩きつけられ、地面が揺れる。
ふぅー、倒し終わったー!
「周りの魔物も音で警戒して奥に逃げてくし、向こう側には他の冒険者がいるし、何とかなるでしょ。」
さっきは文句を言われたから出てきたけど、そろそろ本格的に休もうと、安らげそうな場所を探す。
出来るだけ広くて、涼しくて、魔物のいない場所がいいなー。不可能だろうなー。
一縷の望みに全てをかけ、歩を進める。
出会った魔物はそのまま斬り裂き、回収とその他は冒険者に任せる。私も冒険者なのは置いとこう。
「それにしても、謎だ。水竜の魔力に寄ってくるってとこはまだ分かる。でも、寄りすぎじゃない?魔物多くない?」
考えても疑問は募る一方なので、やーめた、と両手を挙げながら言う。
そろそろ魔物はいいからさ、休憩場所をちょうだいよ。私だって体力の限界はあるよ?まだまだ元気だけども。
———なら働け。
そんな言葉が聞こえた気がするけど、どうせ気のせいだと無視をする。
その時。
「何これ?」
地面の端の方に、焦茶色の塊が割られたものが落ちいた。
魔物の核石?私が放置しまくってるから、魔物が運んだとか?
……でも、ただの魔物の核石にしては、邪気というかなんというか……変な力が多い気がする。
「万能感知にも、人神魔力での反応も似たようなもの。なんかきな臭い……」
魔法少女の勘が、何かあると訴えている……!
「よく見ればこういうの、さっきからずっと見てる気がする。」
記憶を辿ると、核石?がいくつも落ちていたことに気がつく。
私の脳内描写にはそんなの無かった。でも記憶の彼方には残ってる……
これって一体なんなの?
まさか———
ドスン、ドスン。
地面を大きく揺らす足音が、近づいてくる。四足歩行の動物を大きさ的に、さっきとは比べ物にならない。
「まさか……あれって……」
近づいてくる足音に驚愕する。姿がだんだん見え始め、これは休んでなんていられないと思った。
竜。フィリオの言ってた、竜の話って本当だったんだ。
堅そうな鱗に、刀は効かないと判断し収納する。
魔法も効くかどうか分からない。こういうのって、大体鱗は魔法防御がある。どこかの水竜さんみたいに。
「ゔっ、威圧感がすごい……」
何も声を発しない、無言の圧力にやられる。
だからって逃げ出すわけにはいかないよね……体中、嫌な汗が滲み出す。鳥肌と立ち、人間は本能的に怯えるものなんだ、と苦笑する。
「やられる前にやる。自然界では普通のことだよ!」
いつもの先手必勝で、警戒しつつも地を蹴った。
———————————————————————
なんといきなり竜戦。先手必勝で勝てるといいですねー。
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