魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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4章 魔法少女と人神の祠

閑話 人神の行方

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 人神、エディレンは逃走していた。否、戦略的撤退である。

 別段、軽くあしらい、殺すことも簡単だった。でも、こんな危険人物を簡単に殺していいものか。他の神と相談し、監視態勢を築いたほうが良いと判断した。

「まったく、最近の転生者はどうなってるんだ。」
エディレンは体を透過させながら、空を駆けていた。

 魔神は地底や空中など、様々な場所に居を構える。気分屋の男だ。
 それでも、友達思いの憎めない奴だ。

「お、あったあった。」
山奥の空の上、雲を突き抜けた頂上にある巨大な和風の城を見下げて呟く。

 気分屋と言ったが、それはこういうことだ。転生者の知る城像を見て、このような形となったのだ。
 天守閣の頂上に、禍々しい紫色をした像が乗っていた。シャチホコという物を模したらしい。

「また趣味の悪い物を作って……あの魔神も、やはり魔神なのか。」

 魔神。名はヴァルディート。エディレンは、そのままヴァルと呼んでいる。

 エディレンはヴァルと友のような関係だ。

 そうなるのは自然だ。他の神は、正体知れず、露出狂、堅物。彼らと馬が合う者など、いるはずがない。

 だから、まずヴァルから話をつけにいくことにした。

 定期神集会は、特例がある場合に限り、突発的に始める事を許可されている。
 今回のことは、十分特例と認められるであろう。

 人神 エディレン•メヴィス
 魔神 ヴァルディート
 霊神 ミュール
 龍神 ルー

 この4柱が集まる時のみ、集会が始まる。

 創滅神はというと、来ることなど無い。この世を創り出した創造主は、神の集会程度には出席しないということだろう。

 いつの間にか、エディレンは城に潜入していた。

 正面からでは無く、目的の人物がいる場所に突撃するのがエディレンの礼儀である。
 ということは、天守閣の頂上に風穴を開けて入っていったというわけだ。

「この城、ぱっと見だけで分かるよ。罠が多すぎる。入ってくる人間なんて、あの子らしかいないだろうね。」
エディレンは遠慮なしに土足で足を踏み入れ、少し経った頃に靴を脱いだ。

「ヴァル、罠張りすぎじゃない?余じゃなかったら、みんなここに辿り着く前にくたばっちゃうよ。」

「あー、うるさいなぁ。ボクの好きにさせてよ。いちいち張り替えるの面倒なんだから、その辺に全部巻いといただけだよ。」
こんな気の抜けた事を言っている青年こそが、ヴァルディート。魔神その人である。

 漆黒の髪を持つ魔神だが、その実荒っぽい性格なのである。
 服装は、無地のズボンと黒い文字で「魔神」と書かれた白Tシャツを着ている。

 感想は、ダサい以外無い。

「いい加減、服も変えたら?」
「こっちのが楽なんだよ。」
ゲームの操作キーをカチャカチャさせながら、話半分に聞いている。はぁ、とため息を吐いた。

 ため息を吐くのも自然だ。和風な城で、魔神Tシャツを着た魔神がゲームをしている。どんな状況であろうか。

「今日は話があって来たんだから、ヴァルもゲームやめて話を……」
「ちょっと待って、今イベントきてるから。イベランしてから。」

「それ、開催期間1ヶ月くらいあるよね?」
少しキレ始めたエディレンは、電源でも切ろうかと得意の雷を手でバチバチと鳴らせた。

「嘘嘘。わざわざ人ん家の壁ぶち抜いてくるんだから、よっぽどのことなんだよね。」
ちゃっかりイベクエをしていたが、すぐに終わらせて電源を落とした。

 聞く体制になったのか、魔法で服を着替えた。
魔神らしく、格好のついた服装になってのを見て、エディレンは安心した。

 この服装を見るのはいつぶりだろうね、とエディレンが呟くと、100年ぶりじゃない?とふざけた回答をする。

「定期神集会を開きたいんだけど、連絡はつけられる?ちょっと余は難しいんだけど。」

「いい加減キミも、他の神達との連絡手段くらい持ったら?」
えぇ、と少し嫌そうにした。

 エディレンの他者からの接触を嫌う性格は、仕事にまで影響を与えてる。

「で、何があったのか教えてくれないと、なんとも言えないよ?」
珍しく乗り気なヴァルを見て、今しかないと話し出す。

 1度気が落ちると、本当に100年や200年程度なら眠りこける奴だ。集会で、寝た状態のヴァルを連れてきた日が懐かしい。

 感傷に浸る余裕など無い。エディレンは口早に用件を伝えた。

「ほうほう。人間にそこまでの脅威が……」

 2人の人間。空と謎の青年。

 空の方は、成長しきっていない。だが、青年の方は違う。ほぼ成長しきっていて、レベルの高さを見ても最強と言っても差し支えない。

「ボク達が関与していないところで、そんな怪物達を世に放つなんて……まぁ、世界を創ったとかいう神ならやりかねないね。」
そういって携帯電話のような物を取り出し、ブルルルルルルルと鳴らし始めた。

「あ、もしもし。ボクだよ、ボク」
『ボクボク詐欺の方ですかぁ?ワタクシには子どもはおりませんよぉ?』
甘ったるい声が聞こえる。

 露出狂こと、霊神ミュールである。ヴァルがエディレンにも聞こえるように、魔法をセットしていてくれたようだ。

「違うよ。ヴァルディートだよ。」
『あぁ~暇人のぉ。』

「誰が暇人だこら。今度会ったらぶっ飛ばすぞ?」
『あらぁ?女の子にそんなこと言っちゃダメよ?暴力なんて、もっての外。』

 存外、服装以外では1番まともなのである。

「今日ウチにエディーが来て、あーだこーだ言ってきたんだよ。」
言いたいことはあるが、電話の邪魔はしないでおく。

『集会を開くぅ?いいわよ。ワタクシから、ルー爺様にもお話を通しておきますぅ。』
何故あーだこーだでそこまで理解出来るか、エディレンには皆目見当もつかないが、今はいいとする。

 それから数秒後に電話が切れ、異空間にしまった。

「ほんっと、いちいち電話するのも厄介だからさ、キミもそろそろ持ったら?携帯。」

「考えておくよ。」

 流石にこのまま帰るのは面倒臭いので、適当に遊んで1泊したのであった。

———————————————————————

 ここで神の名前が創滅神以外出てきました。
創造と破滅を司る神、なんか凄そうですね。

 龍神のルーは、果たしてどんな人物なのか……!
真相はもう少し……いや、だいぶ先!

 投稿遅れてすいません!予約設定を誤って、投稿されていませんでした。
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