魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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5章 魔法少女と魔物襲来

142話 魔法少女は休みたい

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 動き出した木———トレントが私を包囲した。

 魔法を重ねて強化する、人神の技を真似たアクアソーサーと刀を太陽の光を反射し、汗が滲む。

「どう動き出せば……」
左右に目を動かし、ついでに空にも目を向ける。

 まだ鳥が飛んで———

「危なっ!!」
地面からモグラのような、少し大きめな魔物が地面からひょっこり顔を出した。

 これって……空も、地面も、右も左も、全てが敵ってことになるよね?

 私が思ってたよりも、何段も難易度が上だったことに気づく。

「アクアソーサー!」
1本のアクアソーサーを飛ばし、モグラの頭を斬り裂いた。

 切るというより、斬る。それはもうシュルンと。

 私はまだ宙に舞ってるので、肩辺りからクルッと回転してついでにトレントに斜め斬りを繰り出した。

「あと何10体といる……倒し切れるかな?」
段々と不安になる。

 そりゃそうだよ。減らない魔物、それを倒し続けなきゃいけないんだから。

「やらなきゃやられる。だからやらないといけない。でもやりたくない!」
この戦いに嫌気が差してきた私は、縦横無尽に大きいアクアソーサーを飛ばしまくる。

 飛べ飛べ飛べ!斬れ斬れ斬れ!

 頭のネジが1本飛んでいったのか、私は狂気じみた台詞が頭をよぎる。

「死ねぇ!トレント!」

 訂正、口からも出てた。

「は、危ない危ない。森を燃やし尽くすところだった。」
強くなった私には、その程度造作も無いので本当にやりそうでゾッとする。

「ふぅ。正攻法でやってこそ、やりがいがある。他の場合には違うこともありますって表記も、端につけておこう。」
そんなことを口から漏らしながら、地面を駆ける。

 木をいくつも切り倒していき、側から見たら環境破壊をしてるようにしか見えないなぁ、と思いつつ刀を振るっていく。

「そろそろいいでしょ?」
そう言いながらも気が切り倒されていく。

 あちこちで勝手に気が切り倒されてるこの光景、不思議でたまらないね。
 まぁ私が引き起こしてるんだけど。

 四方を囲めるほどの戦力は削ぎ、あと10体ほどとなった。

 あとはもう簡単。

 ニヤッと顔を歪める。

「アクアソーサー!一気にやっちゃえ!」
とは言うけど、実際動かすのも斬るのと全部私と言うことに気がつく。

 まぁいい。やっちゃえ私!いっちゃえ私!

 四方八方、いや十方くらいに飛び去ったアクアソーサーがバッサバッサとトレントを刻んでいった。

 これが、環境、破壊……?あっ、危なかった。自分のやってることが悪いことに感じてきてしまった。

「この世は弱肉強食。みんな私に食われるんだよ。それがこの世の摂理……」
謎の理論を頭に浮かべ、一息つく。

 魔物は……まだいる。はぁ…………ちょっと遠くに逃げようかな?
 休憩したいしね。私はもう疲れた!休まないとやってられないよ。

「目眩しだっ、エアリスリップ!」
私を中心に巨大竜巻が現れる。

 ぐっ、ごっそり魔力が持ってかれた……回復薬貰ってこよ。

 ちなみにこの竜巻の影響は、私は受けない設定になってるためダメージはゼロだ。
 他の魔物は寄せ集められて、水球の餌食になってるけどね。

「それじゃ、先に退場するよー!」
地獄のような戦場からおさらばし、行きと同じように枝を飛び移っていく。

 ごめんね、魔物達。私のために犠牲になって。

 忍びのように枝木を跳び、遠くを見ると、冒険者達が放心しながら魔物と戦っていた。

 何してるの?あの人達。声とかかけた方がいいのかな?

「あのー、何してるんですか?」
危なっかしいので、レイタースタートの万属剣を何発も発射し、枝から地面に着地する。

「……………………あ、あぁわりぃ。帰ってきてたのか。それより、あれは何だ?」
私が逃走ように使ったエアリスリップの竜巻を指差し、顔を顰めていた。

 あー、そんなことで手を止めてたの?

「ただの竜巻じゃん。」
「森に突然竜巻が現れるかよ!」
うるさいなー、と思いながら歩き出す。

「何しにきたんだ?特攻しに行ったんじゃないのか?」
「あぁうん、したよ。したけど数が多すぎて魔力が足りないし、普通に精神的に疲れたから戻ってきただけ。」
ほら、魔物の数少ないでしょ?と辺りの木々をステッキで差した。

 ちなみに刀は仕舞ってあるよ。危ないしね。

「確かに……鳴き声の割に数は少ないよな。」
考えるように顎に指を添えてるけど、全く似合わないのでスルーする。

「そんなことより回復薬ちょうだい。魔力が枯渇してるから。」
魔法使いの人から1本の瓶を受け取り、ありがとう、とお礼を言いって蓋を取る。

 ほんとにポーションって青色なんだ。シュワシュワしてるしサイダーみたい。

「いただきます?」
なんて言えばいいか分からないので、適当に言って瓶を傾ける。

 ゴクゴクゴクゴク…………

「ぷはァ~、スッキリ爽快な感じだ。」
腕で口についたポーションを拭い、瓶を返す。

 甘ったるサイダーを想像してたけど、すっと吹き抜けるような甘みと、口に残る爽やかな風味。それに魔力の回復を感じてなかなかいい一品なんじゃない?

「あ、あの?お、お怪我はありませんか?」
おろおろと魔法使いの人が杖を持って近づいてくる。

「大丈夫大丈夫。私もこんな見た目でも強いから。」

 私は上着を羽織った普通の女の子じゃない。魔法少女だ。一緒にされては困る。

「魔法って、弱いって……私は、補助としてって……だから、だから……」
落ち着かないのか、おどおどしてる。

「魔法が弱いってのは知ってる。でも、それは人にとって魔法は不得意なものだから。私は少し得意なだけ。大丈夫、あなたは勇気を持ってここにきてるんだから。」
偉いよ、と頭を撫でてあげる。子供っぽい気もするけど、本人の顔が笑顔になったのでよしとする。

 この子は不安そうだ。自分が役に立っているのか、とか考えてるんだと思う。
 ロアだってそうだった。

 この女の子だって、本当だったらオシャレして、友達とご飯食べて、恋をして、結婚して。そんな風に過ごせたはず。

 どの世界でも、何かを取れば他の何かが取れなくなる。

「強い人が、弱い人の代わりに戦うことにも、それなりの覚悟が必要なんだよ。ここにいるだけでも、あなたは強い。」

 弱いなんて言わないでいい。フィリオに呼ばれてきたんだ。

 そんなこと言うなら働けって?無理だよ疲れたし。竜がいるんでしょ?なら私の力は温存しないと。

 切り株に座って、コーヒーを飲み始める。みんなには冷たいジュースを渡す。

「あなたもいる?」
「はっ、はい!」

 この後、私は魔法使いの人達に惚れられるなんて、思ってもみなかった。

————————————

 男が歩く。

 深くフードを被り、誰からも見られないように。

「そろそろ時だ。」
男は茶黒の石を握り、壊した。それを放り投げ、また森の奥に帰っていく。

 その手は、血のような赤い紋章が付いていた。

———————————————————————
赤い紋章の男の正体とは———


 1章約30話構成は置いといて、1話1話グダグダになってませんか?
 自分でも「こんな適当なの本当に投稿していいの?」と思ってしまう話がありまして……(そんなもの投稿しちゃだめでしょ)
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