魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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5章 魔法少女と魔物襲来

139話 魔法少女と模擬戦

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「そんなの認めないッ!僕よりその子猫ちゃんの方が強いと言うのか?」
「そう言っている。」
めんどくさそうにため息を吐いて、なんとかしろ、みたいな視線を送ってくる。

 私には対処のしようがないよ。そんなことギルマスがどうにかしてよ。

「おいソラ。あの時みたいに決闘でもしたらどうだ?それが1番早いだろ?」

「決闘?やってやるよ、女の子を傷つけるのは嫌なんだけど、力の差を見せてあげるよ。あと、君のような子に危険な場所に連れてくわけにはいかないしね。」
取ってつけたような理論を最後につけて、正当性を見せてくるあたり、性格の悪さが窺える。

 女の子傷つけたくないって、本物の実力者なら傷をつけずに差を見せつけられると思うけど?
 ま、こういう人は、痛い目見ないと分かんないよね。

「……怪我しても知らないよ?」
「君こそね。」
ギラっと聖剣を光らせた。


 10分ほどの準備時間を経て、裏口の先のポ○モンの戦闘場所みたいなところに来る。

「ポケ○ン……?」
困惑しながら周りを見る。

 やっぱり転生者だ。ポケモ○とか言ってるし。

「両者!準備はいいか!」
ギルマスの太い声がコートに響く。

「勝利条件はどちらかの戦闘不能、または降参だ。いいな?」

「はい「おう!」」

「それでは、始め!」
その声を皮切りに、私達の戦いが始まる。

 観客席を見てみると、
「どっちが勝つと思うか?」「ソラだろ」「女の方に決まってるだろ」「剣だけの男に負けないだろ」「ある冒険者をここで半殺しにしたと聞いたぞ」
などなど、有る事無い事言っていた。

 事実も混じってるからなんとも言えない……

「よそ見はいけないよッ!」
聖剣を突き出してくるも、すごく遅い。

「その剣、扱いきれてないんじゃない?振り回されてるよ?ファ、ファ……ファンタ?だっけ。」
「ファリスだ!」
声を張り上げて、怒鳴ってくる。

 本性出てますよー。

 そもそもファンタって炭酸飲料だったような……気のせいか。

「ちょこまかと逃げてても、問題が先送りになるだけだよ?」
「そっちこそ大人しく負けたら?聖剣からしか魔力が使えないのに、イキってても後悔するだけだよ?」
軽く突きを避けながら、そう言い放ってみる。

 こういう歳の子は、自分が特別~とか思っちゃうからね。自信過剰はよくない。

「突きばっかって、レパートリーは他にないの?」
「黙れッ!」
段々イラついてくる転生者、なにが彼の怒りに触れてるのか、全く分からない。

 ちょくちょく出てくる「ッ!」っていうのはなんなんだろう。仕様かな?

「そろそろ本気出してくれない?」
「うるさいッ!」
聖剣をブンブンと振り回すが、一向に当たる気配は無い。これが、動きが止まって見えるってやつなんだろう。

 これ、私が成長してるだけだと思うけど、めっちゃ弱く感じるんだけど。
 こんなんじゃ、カロォークすら倒せないよ?……いや、分かんない。この聖剣の威力が分からないから、なんとも言えない。

 1回受けてみようかな?

「突きばっかじゃ、勝てないよ?」

「分かっているッ!」
無事、私の挑発に乗ってくれた。

 魔力を纏った聖剣が真っ直ぐの太刀筋で、振り下ろされる。

 愚直だね。真っ直ぐやってどうやって敵に当てるのよ。この人、それっぽく剣使ってるだけじゃない?
 練習しようよ、ちゃんと。普通の剣でさ。

 魔法少女ステッキだと強すぎるので、刀を取り出して受け止める。

「なにッ!?」
ガキンッ!と音が鳴り、聖剣の魔力が溢れ出す。

 ちょっと!魔力の制御できてないじゃん!?それで魔力使ってるの?危なすぎるんだけど!?

 どうにかしないと……!この溢れ出した魔力、流石神の物だ。とてつもない力を感じる。
 いくら今の私でも、こんなの無理だ。

 SPを500ほど使って新スキルを生成アンド育成していく。

 出来た。

「魔力喰らい!」

 せっかく貯めたSPをこんなところで使うなんて……決闘なんてするんじゃなかったっ!!

「なんで扱えない力を、我が物顔で使おうとするの!相手が受け止めてくれる可能性なんて、ゼロに等しいんだよ!今回はたまたま相手が良かった。……でも、こんなこと普通は起こらない!」
ここからは手加減もクソもない。こんなのに、3万の魔物を相手にできるわけがない。

 私は、私達のためにこいつを吹っ飛ばす。

「なに言ってるんだ……?」
戸惑いながらも、弾かれた剣の体制を整えてまた斬撃を繰り出してくる。

 それを華麗に回避。差を見せつけるのがポイントだよ。

「言っとくけど、その攻撃、遅すぎる。避けてくださいって言ってるようなもの。もっと深く踏み込みなさい!腕だけで剣が使えると思うな!」
ステッキで腕にアタックすると、「痛ぁッ!」と叫んでいた。

「この聖剣は、剣が使えるようになってから使って。そうじゃないと、ただ危ないだけ。」
そう言いながら歩くと、尻餅をつきながらずり下がっていく。

 なんか面白い。そうだ、聖剣を蹴飛ばしてやろう。

 つま先で蹴り上げると、思ったより飛んだ。コートの外に聖剣が出て、「ひぃ」と声が聞こえてくる。
 観客か、この人か。どっちなんだろうね?

「1回、痛い目見てみる?」
神速で目の前までくると、驚きのあまり失神していた。

 おーい、起きろー。まだ途中だよ。

「ほら水。」
バシャーンッ、って水をかけると、ハッと目を覚ます。

 おー、漫画とかの拷問シーンで、水をかけて気絶させないようにするって言うのあったけど、ほんとなんだ。

「や、やめろ……」

 か弱い魔法少女にそんなこと言われても、分かんないなぁ。

 ぽん、ぽん、とステッキの先を手に叩き、微笑みながら近づく。

「じゃ、私のターンを始めようか。」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

———————————————————————

 もう少し進めても良かったんですけど、なんとなくやめました。
 こっちの転生者さんはクソ雑魚ですね。


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