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4章 魔法少女と人神の祠
128話 魔法少女は認められる
しおりを挟む突然の人神一言に、思わず大声をあげてしまう。
私のこのふざけた格好しながら、こんな風に叫んでると頭おかしい人にしか見えないね。
それは元からだって?うるさい。
「ま、細かいことは後で話すよ。その話をしたら、もう話を戻せなくなりそうだしね。後から話そう。」
「それが1番気になるんだけど……」
「へぇ。世には関係無いね。」
「酷っ!?」
私は床にへたり込んだまま、ツッコんだ。
なに?焦らしプレイ?私は好きじゃないな、それ。弁当とかでは好物を先に食べるし、ショートケーキはイチゴを最初に食べる。
焦らされるのは好きじゃない。
……というか、早く聞いて早く帰りたい。あんな言葉聞いたら、話を聞かずに帰るなんて選択肢なんてあるわけないじゃん。
「それで、あんな大事な話を置いといて、話さなきゃいけない事って?」
皮肉混じりにジト目で睨むように見る。
「ただ話を忘れないように、ってだけなんだけど。まぁいいや。」
コホン、と咳払いを1つして話を続ける。
「そこまで大事ではないけど、余は其方を認めよう。神は認めた相手に、魔力を与えるという習慣があるんだけど、其方はやるか?」
「……あ、はい。…………って、はぁ!?」
「どれだけ叫ぶの?」
耳を小指で塞ぎ、嫌そうに目を細める。
認めて、くれた?魔力をくれる?ちょっと待って、理解が追いつかない。
頭に手を当て、うぅ…、と唸る。
「大事じゃん。普通に大事じゃん。」
「其方、ステータスに半減となる呪いがかけられているが、分かっているか?」
私の言葉を無視するように言ったそれは、覚醒の副作用のことを言ってるんだと思う。
地味にうざいんだよね、半減するっていうのも。
「この格好になるための反動?的なものだから、気にしなくても大丈夫。時間経過で治るから。」
「……ならいいんだけどね。余は其方をを気に入った。気に入ったからこそ、少し教えてやろうかと思っているけど、その前にしなきゃいけないことがあるみたいだ。」
「しなきゃいけないこと?」
首を傾げると、手を差し出してくる。
「あ、ありがと。」
手をとって立ち上がる。なんか気恥ずかしい。
「魔力を与えるって言ったよね?」
「うん。」
「ついでに、その半減の効果も打ち消しておくよ。今の余は機嫌がいい。そこで、取引と言ってはなんだが、余の質問に答えてくれ。今から説明をする、それについて。」
人差し指を上げて、どう?と聞いてくる。
ステータスが戻って、話も聞ける。内容によるけど、質問に答えるくらいなんでもない。
「分かった。いいよ。」
人神、もとい……あれ、名前なんだっけ。
「余の名前、忘れてない?」
「よく分かったね。流石神。」
「全く嬉しくない褒め言葉だね。1番最初に名乗ったはずなんだけど。余はエディレン=メヴィス、好きに呼んで。」
「じゃあ人神。」
「名前聞いた意味あった?」
「まぁまぁ」と宥めて、話を続けさせる。
人神は人神だしね。名前で呼ぶより、人神って言った方がしっくりくる。
「はぁ……魔力を与えるからこっちきな。」
手招きしてくるので、貰えるものは貰っておこうと人神の元に向かう。
「これで、魔力そのものの能力の底上げにも繋がる。」
そう言って私の前で手を挙げ、(身長的に手を挙げないと届かない)顔の前まで持っていく。
「始めるよ。」
その一言で、すっからかんだった魔力が足され始め、私の元の魔力と混ぜ合わさっている。
なんだろう。どういう例えしたらいいんだろうね。体の内側がポカポカするっていうか、満たされる感じ?
30秒程度その体制を続け、腕を下ろした。
腕ずっと上げてたせいか、なんか痛そうにしてる。
「大丈夫。きっと育つよ。」
「何に対して言ってるの、それ。」
呆れ顔をしてくる。見た目が少年なだけあって、子供に呆れられてる感が凄い。
呆れるな!私はただ身長が低……伸び代のある人神を応援しただけ。
「もういいや。いちいちツッコんでたらキリがない。余の魔力を、其方の魔力に混ぜといた。より強力になるだろう。半減の方は適当に抜いといたぞ。次回からは1日短くなるようにしといたから、感謝してよ。」
つらつらと今さっきしたことについて説明される。
覚醒の半減時間の減少。これはめっちゃありがたい。1日でも早く動けるに、越したことはない。
「もうひとつ方法としては、レベルを上げてステータスを上げまくる……とか?」
「ん?」
「いや、なんでもない。」
そう言いながら、覚醒を解除してみる。
うっ、ズッシリとだるい感覚は健、在……前回はここですぐに失神したけど、今はそうじゃないからドッと疲れが……
「あ、……ちょっと痛みが。」
お腹の辺りをさする。
「あぁ、ごめん。ちょっと本気で蹴りすぎたかな。人間だと木っ端微塵になる威力だったから、余も驚いたよ。」
「そんな攻撃を簡単にしないでよ!?私だって人間なんだから、死ぬよ?」
今度は私が「まぁまぁ」と宥められ、ため息を吐いた。
「それで、本題に戻るけどいいかな?」
凄い切り替えスピードで、本題に持ち込もうとする。
こんな気持ちで本題に持ち込まれてもね……まぁ好きにしたらいいと思う。
「いいんじゃない?」と答えると、「じゃあ始めよう」と指をパチンと鳴らす。
「何この機械。ファンタジーはどこに行ったの?」
「これは転生者の力を借りて作った機械に、魔法を応用しただけの物さ。」
「スケールが完全にだけじゃないんだけど。」
目の前には、映画とかにありそうな巨大なモニターがあった。四方の角には浮モニターがあり、下にはキーボードのような物と、いろんな精密機械?らしきものがある。
「それじゃあ説明しようか。特異すぎる、其方のことを。」
———————————————————————
今回の途中で説明を入れ込もうとしましたが、久々の会話シーンでおちゃらけ過ぎました。
そんなわけでもう尺が埋まってしまいました。微妙なところで終わらせたくないので、説明回は次から、場合によっては2話分でいきます。
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