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4章 魔法少女と人神の祠

124話 戦闘開始

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「余は人を統べる神、人神。名をエディレン=メヴィスという。余に恐れ、慄き、そして後悔するといい。」

「私はあなたに転生させられた魔法少女。私をこんな格好にして転生させたこと、詫びてもらうよ!」
意味の分からない言葉が交差し、沈黙が訪れる。

「は?」

「え?」

「「……………………………………………………………………………………………………………………………………」」

 私と相手の目がパッチリと合い、固まる。

 今の私なら言えるけど、神様がこんな簡単に目線合わせてもいいの?
 「目を合わせるだけで即死系チート!」とかも、漫画とかにもあったような気がするけど。

 一体何があったのか、簡潔に説明しよう。


 まず、5分くらい前のところから始めたいと思う。だって、ここに来たの数分前だし。

 私は神様に会えるとルンルンで歩いていた。歩いているうちに、景色が薄く色づいてきた。
 何かと思ったら、目の前には子どもがいた。

 でも、魔力の反応の強さとオーラで、それが人神なんだとすぐに理解する。

 ここまで、3分の出来事だ。あと2分を説明すると……必要無い?知ってた。

 え、これ襲っていいやつ?戦ってオッケーなやつ?

 これが今の心情だ。

————————————

 エディレンは焦っていた。

 あの少女が、予想より早くやってきてしまったからだ。

 今、エディレンの心の中は(ちょ、余の元に辿り着くの早くないか!?)だ。
 そのままの勢いで言ってしまった、自己紹介。それはまた、相手の少女も言っていた。

「余は人の神、人神。名をエディレン=メヴィスという。余に恐れ、慄き、そして後悔するといい。」

「私はあなたに転生させられた魔法少女。私をこんな格好にして転生させたこと、詫びてもらうよ!」

 少し会話が噛み合っていない。

 (え、何この娘。転生?余はこんなメルヘンな格好をさせて、その辺に置いとくような変人じゃない)

 エディレンは疑問に思った。映像で見ても思ったが、目鼻立ちが完全に日本人のそれなのだ。
 透視で姿を除き見ても、見えるのは上着の下のメルヘンチックな服だけだ。

 魔法少女と語る少女と、人神の少年。

 今ここに変なコンビが相対する。

————————————

「あなた、人神?ならやっちゃうよ。」

「余は人神のエディレンだが……そ、其方はなんなのだ?訳をが分からぬ。」
思った通り人神だったみたいだ。思ったより幼い見た目をしていて、困惑している。

 私の頭はハイになっていて、なんだろう。産後ハイって言葉があるように、神様を目の前にテンションが狂ってた。

「問答無用。この憤りは物理的にぶつけさせてもらうよ!」

「……だからなんの話だ!?余は何も……」
言う前に私は、セットしておいたレイタースタートの魔法を連射する。その数、およそ10。

 旋回したレイタースタートの魔法は、バチバチと雷に変化する。

 これはトールの魔法だ。直接では無いので、多少威力は落ちるものの、それ以上に便利だ。

 さっすが私。天才だ。

「新種の魔法……っ!?本当に其方はなんな………話を聞、もういいっ!」
何かキレてるように見えなくも無いけど、私の見間違いとして目を瞑る。

 現実逃避は、私の特技だ。何か言ってるけど、私の耳には聞こえなかった。

 前半の言葉は嘘だ。実際は、トールの音で聞こえなかっただけだ。

「余に魔法が効くと思うのかい?」
トールに手を触れるだけで、雷がかき消される。その光景に、私は目を開いて唖然とした。

「どうやって……?」

「余は人神ぞ?人に出来ることが、余に出来ぬとでも?」
その姿とは裏腹に、嗜虐的な笑みを湛えて言う。

 ……嘘をついてる味……なんてものは感じ取れないけど、嘘をついてる。
 だって、さっきのは魔力に分解しただけ。(魔法動力でチラ見して確認した)

 それなのに、なんで「人に出来ることが~」なんだろう。
 この神、ちょっと抜けてる……?

「余に襲い掛かってきたこと、後悔させてあげよう。勝てると思うなら、かかってくるといい。」
そう言って指をクイっとしてくる。

 ……勝てるんじゃない?この神だったら、なんとか勝てそうな気がする。

 勝てなくとも、認めさせて謝らせてやろう。そして最後は質問攻め。
 これが出来るよう、頑張ろう。

 私は強くステッキを握りしめた。刀はまだ使わない。使い所は考えた方がいい。一撃必殺の技を、簡単には見せられない。

「其方は少し特殊だ。余もほんの少しだけ、力を見せよう。」

「そんなに余裕ぶってたら、隙をつかれてやられちゃうかもね。」
私はブラフをかましてみるも、あんまり効いてる感じがしない。

 ここから、神との戦いが始まる。

 私には大抵の耐性があるから、並の攻撃じゃびくともしない。そう、なら、だ。

 だから神相手には全然機能しないってことだよ!
いくら耐性があろうと、強過ぎる攻撃は防ぎ切れるわけがないんだよ。

 落ち着こう。やらなきゃいけないことを順にやれば、可能性はまだある。
 そうだ、残しておいた特異体質を使おう。

 どんな体質にしようと悩んでたら、人神が大きく飛んで波動のようなものを撃ち込んできた。

 危なっ!……これ、当たってたら死んでたんじゃないの……?ひぃぃ!

「余の前で考え事とは、中々肝の据わった奴だ。」
面白いものを見るような視線で、私を直視する。

 ちょっと、人が考えてる時に攻撃って神としてどうなの?ヒーローが変身してる時に攻撃する悪役なんていないでしょ、それと一緒だよ。
 私は魔法少女だけど。

「鬱陶しいからやめて。」
本音を言うと「死ぬからやめて」だけど、そこは強がっておく。そして、牽制のための万属剣をいくつか生成し、適当に投げておく。

 本題だけど…………思いつかない。神に効きそうな体質……?
 あ、私にぴったりな体質があるじゃん。

 私はニヤリとほくそ笑む。

 世界は主人公に甘い。私は魔法少女だけど、魔法少女が主人公になれないなんて、誰が言ったの?

「ここからは、私のターンだよ。」

 ここに、1つの勝利フラグが立てられた。

————————————

 突然戦闘が始まってしまい、エディレンは混乱する。
 妙に話が噛み合わず、相手の少女は怒りとまではいかずとも、多少の憤りを感じていた。

(どうしてこの娘は余に敵意剥き出しなのだ?)
そんな疑問が絶えない。

 少女が襲ってきてしまって、もう後戻りが出来なくなった。

(仕方ない。ここは人神として、余がこの娘を倒し、勘違いをただそう。)
そう考え、目を開いたところで見たことのない新種の魔法を放たれた。

 魔法の術式だけを飛ばし、魔法の発動を遅らせて放つ技のようだ。

 通常、魔法にはそれぞれスピード差があるが、この魔法の使い方なら、使い手が実力者な場合飛び抜けたスピードになる。

(威力も人間にしては高い……?余はここまでのチートは生み出さないと決めているのだが。)
やはり彼は、この娘を知らない。

 転生者であることは確かだが、エディレンが転生させたものでは無い。

 特殊過ぎるのだ、この少女は。

 短時間しか見ることが出来ていないから、詳しく分かるわけでは無いが、特殊な人物ということは分かる。

(余の攻撃を避けた?)
軽い反撃とはいえ、人間が視認できるギリギリのスピードのはずのだ。それを少女は軽々避けた。

(面白い。これは久々に余も楽しめそうだ。)
好戦的な笑みが浮かぶ。

 どの神が転生させたのかは分からないが、今はそんなことは気にしてられない。
 目の前の少女と戦う。まずそれが今やるべきことだ。

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 一体ソラはどんな特異体質を選んだんでしょう。
魔法少女のソラ、主人公として負けるわけにはいかない。

 そして地味に楽しんでる人神。そして、人神はソラを転生させて無かった!?

 当たったらほぼ即死VS当たってもほぼ無傷
戦いのゴングは今、鳴らされました。
 







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