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4章 魔法少女と人神の祠
114話 魔法少女と謎の祠
しおりを挟む「よっし、着地っと。」
海の中だからか、体の下降がゆっくりになっているため、クルッと回転して足をつく。
この辺で魔力が濃いから、絶対人神いると思うんだけどね。
アトさんの証言もあったし、いると信じよう。
「神のいる場所なんだし、祠的な物があったりしない?……流石にしないよねー。」
あはは、と笑い飛ばしながら海の中を歩行する。
海の中ってこんな感じなんだ、誰でもそうだけど海の中なんて歩いたこと無いから新鮮で面白い。
海の中には、魚魚海藻魔物魚魚海藻海藻海藻魔物魔物魚魚魔物魔物海藻……と、そんな感じ配列になってて、たまに大量の海藻群が広がってる。
通りたくないから避けてるけど。
珊瑚礁みたいなのは無かったよ。沖縄とかにはあるらしいけど、実際に見ることって無いよね。
「魔力反応だけはあるのに……って危なっ!なんでいちいち突進して来るかな?」
殺気立ってる魔物に文句を吐き捨て、不機嫌になりつつも海底を進む。
ほんと、嫌になっちゃうよ。魔物は襲って来るし、人神の手がかりは魔力しかないし。
「……だあ゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!なんなの、なんで魔力反応だけあるの!えっ、なに?隠蔽とかされてるわけ?」
とうとう私の怒りが限界に達し、海の中でそう叫ぶ。
反応はあるけど、歩いても歩いても見つからないし、なんか魔法とか仕掛けられてるんじゃない?
というか、この魔力って隠蔽の魔力を更に隠蔽するための魔力じゃないよね?
「お……私、冴えてるぅ。」
私の鋭い勘に嘆息して、歩みを止めた。
この世界にもだいぶ慣れてきて、こういう謎にも敏感になってきたね。
わたしの勘も、この世界に慣れたことによって戻ってきたね。
「で、どうしろと。隠蔽云々の話は分かったけど、分かったところでなんだよね。」
解除方法が分からないんだからどうすることもできない。
勘がいいところで何も出来ない……えー、助けてよ。
この状況を打破するために、何かいいスキルでもないか探していると、あるスキルに目がいく。
水竜之加護
水竜から与えられる加護。あらゆる力を操ることが出来る。
よく分からなかったから置いておいたスキル、水竜之加護。力を操れるっていう竜らしい能力だけど、使い方が分からなかった。
ふと、思いついたことを譫言のように呟く。
「これ使えばいけるんじゃない?力を操れるって、ここに溜まってる謎の魔力も晴らせるってことだよね?」
水竜之加護を使ってみて、(使えてるか分からないけど)目を瞑ってステッキを両手で握る。
取り敢えず、うんうん唸ってみるけどなにも起こらない。
「魔法はイメージ。スキルも一緒でイメージを作ってからやれば、出来る気がする。」
早速実践してみようと、想像を広げる。
魔力を霧として、それを晴らすようなイメージで……
……なにか力を感じる……脈?って言うのかな、そんな感じのやつに力が通ってるように感じる。これが魔力の脈ってやつ?
これに同調して、魔力を動かすよみたいに全方向へ一気に飛ばす。
「……出来、た?…………ん、はぁ?」
魔力感知に力の反応が映らなくなって、成功かと思い目を開ける。すると、巨大な屋敷レベルの大きさの祠(それは祠というのかな?)が目に飛び込む。
えっ、ちょっ待って。なになになになに?これ、なに?
ちょっと古びたお屋敷じゃん、これ。いや、それについてもそうだけど、建ってる場所が問題なの。
「なんで穴に建ってるの?」
そうだ。なんとこの祠、海底の穴の底に建っているのだ。
うん、一旦整理しよう。
これを隠すために隠蔽魔法が敷かれていた。そこに私がやってきて、どこに行っても魔力反応が消えないことに疑問を持って、スキルで魔力を分散させた。
するとそこにはあら不思議、巨大な穴があってその中には祠があるじゃないですか。
「って、なんでいきなり!?」
ステッキでビシッとツッコミを入れるも、私以外誰もいないので虚しくなってくる。
……こんなところでウダウダ言ったて、どうにもならないことは分かりきっているので、フワッと風船のように(?)穴に入る。
「入り口とかあるのかな?無いと入れないか。」
問題を自己解決しながら、ウロウロと祠の周りを探索する。
しばらくすると入り口らしき場所を見つけることができ、覗いてみると小さな丸い穴が、菱形で上下左右1つづつで合計4つある。
「なにこのRPG感。宝玉を差し込めってこと?」
こういうのは大抵、周りに中ボスがいて宝玉とかを落としてくれるってやつだよね。
「あれ?なんかマークが書かれてる。」
丸い穴のそばに動物の絵のようなものが描かれていて、時計回りに犬、鮫、シャチ、鳥。
なんの脈絡も無い動物……何の意味があるの、これに。
「謎解きにすらなって無いお粗末な謎解きだけど、こっちの方が楽でいっか。」
私の謎解き能力を試す時が来たと思ってけど、使うことはなさそうだ。
それじゃあ、書いてある通りに魔物を探そう。どうせどこかに犬、鮫、シャチ、鳥の魔物がいるはず。
「この世界の人達水準でいくと、これは難しいのかな?」
あまりの簡単さに、そんな疑問が浮上する。
これを見た瞬間、「魔物のドロップ品を差し込むんだ!」なんて発想には至らないはず。
第一、魔法も無しに水中戦なんて出来る人はいないと思う。
そういうのも含めて簡単にしてくれてるんだったら、文句は言えないね。
「そんなことはどうでもいいとして、早く魔物探しに行こう。」
祠から一旦離れ、魔物を探すことにする。
どうせ魔力感知には引っかかるでしょ、と気楽に考えてたけど……やってみた結果、ダメだった。
そう簡単に見つけさせないぞという、確固たる意志を感じないでも無い。
どうしようかな。
———————————————————————
祠(笑)を見つけたソラ。果たして、祠の中に人神はいるのか?
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