魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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4章 魔法少女と人神の祠

117話 魔法少女は宝玉を集める 2

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 洞窟を出て、木漏れ日ならぬ海漏れ日まもれびが差してきた。

「うーん、流石に海に漏れてくる日の光は眩しく無いなー。」
というか、海漏れ日ってなに?というセルフツッコミを挟んで、宝玉の光が差す方向に跳んで向かう。

 海の中は水圧で動きが遅くなるから、アクティブに行かないとね。

「順番的に言うと鮫だけど、今度はどんな見た目なんだろう。なんかこう、ネコザメみたいな。」

 それは鮫じゃないでしょ、って言うツッコミは無しね。鮫は鮫だ。見た目の例えなんだから、その人の感覚に任せた方がいい。

「そろそろ発動させとこうかな。……魔法動力。」
細かな揺れを察知するにはこれが1番ということで、発動をする。

 うっ、情報量の暴力!へたな魔物の攻撃なんかよりよっぽど辛いよ……じゃない。情報整理しないと……微妙な魔力のズレとその広がり具合、それを過去に巻き戻してみて魔力の震央を探る。

「ヒット。ここからもう少し右前に移動、その上空……じゃなくて上海じょうかい?」
海の底から海を見上げる私は、側から見てどう映るんだろうと思いながら、目的地に向かう。

 これでしっかり魔物がいるってことが分かったから、身構えていかないと。
 というか海底だからか暗いんだけど。誰かー、光持ってきてー。

「って、誰もいないんだけど。」
自分でライトを使って目の前を光らせ、水中歩行と空中歩行の合わせ技で海中を跳ぶ。

 そこから数段ジャンプすると、何やら怪しい影が見えてくる。
 どこぞのデーデン…デーデン…って感じのBGMが鳴りそうな影だ。

 気づかれないようにライトを切り、軽く観察する。

 鮫はヒレをヒレヒレさせて、半端ない威圧感を与えてくる。流石は鮫だ。……ん?ヒレをヒレヒレはつまらないって?黙りなさい。

「フカヒレでもいただきに行きましょうか。鮫も、恨むなら私にじゃなくて神が自分のフカヒレを恨んでね。」
最後に勢いよく跳ぶと、真下に鮫がいた。

「シャ゛ーーーーー!」
「ク。」
バカみたいなギャグを入れ込みつつ、海中に着地する。

 鮫がシャーって鳴くって、ネタにしか思えない。

「さっさと倒してシャチに行きたい。シャチってめっちゃ強いってテレビでやってたし、きっと強敵だ。」
私に見向きもされてない鮫は、切れた様子で突進してくる。

 魔物はみんな突進するけど、攻撃パターン変えた方がいいよ?そんなことしても、一方的な戦いにしかならないんだし。

「はいは……い?迂回してきたっ?」
突進したと思った攻撃は、途中でぐにゃっと進行方向を変えて私の周りを泳ぎ始めた。

 向こうは水中の生物、こっちは陸上の魔法少女。地の利は向こうにある。
 現に、通常スピードは完全に負けてる。

 わたしの周りで渦を巻く鮫を目で追いながら、打開策を模索する。

「このままここに止まっても、時間の問題で渦潮とか発生しそう。だからといって魔法を撃ったって、避けられるのは目に見えてる。」

 だから、アレを使う。そう、またまた登場レイタースタート。
 空気中の魔力をステッキの先に集め、更に少量の私産魔力も混ぜる。

「この海中で使えそうな魔法は……万属剣くらいしか無いね。」
ステッキをよくに振ると、魔導法まとめられた魔法になる前の魔法陣?的なものがいくつも出来上がる。

 左右にステッキを振り続け、鮫に向かってそれを飛ばす。

「ジャァァァーー!!」
鮫の近くになると魔法が完成され、いくつかの万属剣が生成され、思いっきり鮫に刺さる。

 蒼銀に光る皮膚が、鮮血に染まった。鮫はその小さめな体をブンブンと振って避けようとするも、私の連射性が高い魔法を避けることが出来ていない。

「あとは時間の問題だね。」
さっき敵に叩きつけられた現実を、逆に叩き返してやった。

 透き通る青い海に、サメの血で彩られる。
いつしか海の流れが収まってきて、下降する鮫が目に映る。

「倒した、よね?」
海底に沈んだ鮫を追いかけ、ツンツンとして首を傾げる。

 死んでることを確認してステッキに収納すると、やはりまた宝玉が現れる。

「これの繰り返しかー。単純作業はあんまり好きじゃないんだけど。」
2個目の宝玉を見てため息をついた私は、渋々といった感じでライトの光を当てる。

 今度は穴の上を差しているその光を見て、「私、もしかして遊ばれてる?」と、こぼしてジャンプを続けた。

「洞窟入ったり、出てきて上にいったり。今度は穴の上ですか。そうですか。」
そのめんどくささに、思わず呆れ返ってしまう。

 やることといえば、探して見つけて倒す。この三拍子で終了。そしてまたリスタート。

「2回でもう十分飽きてきたよ。」
そんなこと言ったて、やらなきゃいけないことが変わることは無いので仕方ない。

 神様に会うためだし、適当にやっちゃダメだよね。よし!気合い入れよう。

 頬をペシっと叩いて気を保つ。

「シャチ探しを再開しよう。」
宝玉を頭上に持っていって、光の方向を片目で見つめた。


「ふぅー、これで後1体。地味に長かった。」
額の汗を拭うそぶりをし、ステッキにシャチの死体を収納する。

 シャチはちょっと手強かった。
犬の俊敏さに、鮫の単なるスピードを重ねた感じに、攻撃力まで加わって最初の方は防戦一方だった。

 どうやって倒したって?アクアソーサーでエアリスリップが発動しやすい位置まで誘導して、ハメただけだよ。

「まぁ、魔法少女の頭脳に勝る魔物はいないってことだね。」
ふっ、と鼻から息を吐き、得意げに語る。

 これといって頭がいいわけじゃないけどね。実を言うと誇れる頭脳なんてどこにも無い。
 知ってたって?……うるさいやい。

「宝玉もゲットできたことだし、最後の位置を確認……」
しよう、と言おうとしたところでピロン♪と音が鳴り、ビクッと肩を跳ねさせた音に大きめな安堵の息を吐く。

魔法少女•ソラへ
『飽きてきた』と仰っていましたので、特別に最後の試練だけ超強化を施してあげましたので、お楽しみください。貴方は見ていてとても面白いのでじゃんじゃんやっちゃってください。貴方の天然(笑)な所、好きですよ。
                  神様より

「…………神様さ、祠にいるはずでしょ。私が必死こいて祠の中に入ろうとしとるのに、中でぬくぬく外を厳しくって何の拷問!?」
突然の神様の手紙に、思わず本音が出る。

「あと最初の何?魔法少女•ソラって、そんなこと書かれなくても理解してるから!私は魔法少女!そうでしょ!不本意だけども!」
はぁ、はぁ、はぁ、と呼吸が荒くなるほど叫び散らした。

 何この状況楽しんでるの、あと最後。罵倒してるよね。なにが天然(笑)なの。

「これは本格的に祠に乗り込まないと。行って叱責のひとつでも受けさせないと、気が治らない。」

 ここで私は、強く決意する。次の魔物がどれだけ強かろうが、死ぬ気で倒して神様の元に行こうと。


 一方そこの海面では漁が行われており、可愛い服を着た少女が海の底で拳を握っていたという証言が、いくつも飛び交ったと言う話が、あったとか無かったとか。

———————————————————————

 神様からの突然の手紙、その内容は「次の魔物、強くしといたよ。」

 果たして、魔法少女•ソラはその強敵に勝てるのでしょうか!?

ソラ「魔法少女•ソラ言うな。」


 





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