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4章 魔法少女と人神の祠

112話 魔法少女はリンチにする

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「いや、そこはオーガじゃないの?」
観察眼に表示された文字に、ついツッコミを入れてしまう。

 確かオグルって、オーガの別名……だっけ?オーガの方が分かりやすいし、イメージも浮かびやすいのに、なんでオグルなの?
 え、神様何を思って作ったの?

「ア゛ア゛ア゛ァァァァ!!」
急にオグルが叫んできて、手に持った謎の横も縦も面積が広い刃物を振り回す。

 危ないっ、危なすぎるっ!そんなもの回したって、どうにもならないでしょ。
 魔物って、やっぱりバカだね。

 一部の魔物に喧嘩を打った気もするけど、ここにはいないし関係無い。

「じゃ、なくてっ!なんでこんなところにオグルがいるの?魔力感知にもかからなかったし……」

「ア゛ァァァァ!!!」
「魔力が無い?完全物理型ってことね。流石鬼って言ったところ……って、感心してる場合じゃない。……ッ!」
振り翳したその刃物を縦にまっすぐ下ろしてきたところで、なんとかステッキを盾にして防ぐ。

 ……ふぅ。なんとか防げた。魔力が無い分、とんでもない威力だ。
 これは危ない……まぁ、魔法が使えないんじゃ、ただのデカブツだけど。

 相手は魔法が使えない。なら、1対1のタイマンで余裕だね。逃げ回る必要も無い。

「別にあなたに恨みがあるわけじゃないけど……いや、攻撃してきたしある…のかな?どうでもいいや。とにかく、ここがあなたの墓場だから。」
ステッキをバッとオグルに差し、睨みつける。

 左足を1歩後ろにずらすけど、私を敵に回したことを後悔するがいい!くっくっく、絶対に逃がさない。

「ガア゛アァァァァ……」
「そんな可哀想に啼いたって、逃してあげないよ?」
ステッキに魔力を込め、1歩1歩前に進む。

 これ、側から見たらいじめだよね。魔物からしたら、私は可愛い格好した悪魔だよね。
 襲ってきたってだけで……それはだけなのかな?まぁいいや。殺すんだもん。

 生き抜くためには仕方ない。このままだとやられちゃうしね。

「んー、言い訳しとこ。あなたが走ってる私に、突然攻撃を仕掛けてきたからでしょ。」

「………ア゛ア゛アァァァァ!!」
「それ以外に叫びのレパートリーは無いのっ⁉︎」
覚悟を決めたような叫びで、オグルは命懸けの特攻をしてくる。

 そんなところで命張られましても、ちょっと厄介になるだけだし……めんどくさいからサクッとやらせて。
 その方が楽に死ねるよ?

「愚直だねっ!そんな攻撃じゃ、格上相手には一生勝てないよ?」
軽くオルグの巨体を飛び越えて、後ろに回ることに成功する。そのままステッキを、ガラ空きな背中向けて万属剣を射出した。

「グア゛ァァァァ……!!!!」
その痛みに、悲痛な呻きしか上げることができない。

 ……オグルには悪いけど、新しい魔法の実験台になってもらおう。
 丁度よく現れたオグルが悪いんだ。そうに違いない。

「えっと、順番でやろうかな。まずは……アースアイス!」
すると、オグルの周りだけで地震が起こり、立ち上がろうとしたオグルの足を止める。

 焦燥感に駆られたように、あたふたして頭を働かせようとしている。

 働く頭が無いのに、何を考えてるんだろうね。

「アイスアースって確か、広範囲を串刺し氷で串刺しにする魔法だよね。グロいことになったりしない?」

 そんな杞憂に終わってほしいことを口にする程、フラグというのは立つもので、何が起こったのかというと簡潔にまとめるとオグルの腕が1本飛んだ。

 比喩じゃなく、空を舞ってる。

 氷の槍がこう、グサっと。

「ア゛アアァァァァァァァッ…………!ァァ、、」
元から上手く形容出来ない叫びだったけど、更によく分からなくなる。生命力が高いのか、まだギリギリ息の根は止まっていないみたい。

「あー、続けてで悪いんだけど……エアリスリップ、使っちゃうよ。」
段々可哀想になってきたけど、ここで止めるのはいい気がしないから使うことにする。

 トルネードがオグルを中心にして発生し、「アァァ……?」と困惑している様子だ。
 その直後に、外からは見えないけど内側は大量の水球が射出されまくる。

 ドッドッドッドッと地面を穿つ音が聞こえ、それと一緒にオグルの体に当たる鈍い音も聞こえてくる。

「水球の威力、高すぎるでしょ。水魔法とか舐めてたけた、考え改めよう。」
トルネードが何時しか消え去り、オグルの方を見るけど……いない。疑問に思って視線を下げると、ぶっ倒れたオグルがいた。

 あー、うん。凄い。こんなすぐに死んじゃうんだ。私の魔法は、やっぱりとんでもないってことが再確認出来た。

 あんなに驚いたオグルが、こうもあっさり倒れてくれたことに多少戸惑いつつ、死体に近づく。

「ステッキに回収しないと。あとステッキの能力付けないと。最近やってなかった気がするし。」
ステッキに死体を回収し終えると、そこにはただの血溜まりがあるだけで他のものは綺麗さっぱり消え去っていた。

 ……丁度いいし、ちょっとここで休憩していこう。

 ついでにステッキ強化もしよう。

 そう思って画面を開き、特別凄そうな効果があるわけでも無いので簡単にセットした。

 魔法少女ステッキ(2)

 [特殊効果]魔法少女 武装 スイングアップ 高速移動 自動治癒 擲力上昇 魔装 雷鳴速 錬成 竜適正

 [特殊耐性]魔法耐性 水斬耐性 風斬耐性 閃光耐性 水流無効 火雷耐性 刺突耐性 神雷耐性 雷無効

 [特殊属性]氷結 万能属性 特異体質 魔道士
 [特殊性質]黒鱗 水杖 頑強 魔法動力

 水竜と戦ったいうのに、これと言って目ぼしいものが無いっていうのはどうかと思う。
 竜適正って何?私、竜になるってこと?意味分からない。

 少し落胆して、ステッキからジュースを取り出して飲む。

 うん、安定の美味しさ。

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 ソラ、危険過ぎますね。放っておいたらそのうち国とか滅ぼしちゃいますよ。
 性格上無いとは言い切れないのが怖いところ。













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