魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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3章 魔法少女と水の都

100話 ウバワレタモノ (転生者視点)

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「なんだよ、ここ。」
俺はだだっ広い平原に、いつの間にか突っ立っていて、そんな声がつい漏れてしまう。

 だって仕方ないだろ。


 俺は式家蓮しきやれん。勉強もスポーツも他人よりも圧倒的に上で、そしてイケメンだ。

 毎日のように女と遊び、親も金持ちで権力がある。学校も何も言えなければ、何股しようと女も金で黙る。

 好きなように、好きなだけ物を買い、好きなように遊ぶ。全てが思う通りに動き、この世界は俺を中心に回ってると思えるほど、充実しきっていた。

 今日は何しようか、左右に女を侍らせて学校に行っている。まぁ学校に行くのは女と遊ぶためなんだがな。
 大抵のことは金と権力と顔でなんとかなった。


「チッ……金も権力も顔も、いざという時、何の役にも立たねぇじゃねぇかよ。」
そんな愚痴を吐くと、視界の端にアイコンのようなものが浮かび、ピコンと情けない音で鳴る。

 なんなんだよ、本当に。早く家に帰らせろ、うっ……記憶が曖昧になってる……?

 不審と不安といろんな感情がごった返していたその時、強制的に画面が開かれる。

 蓮様へ

 ようこそ、異世界へ。ここは私が創った世界、貴方は所謂異世界転生というものを果たし、今ここにいます。貴方は日本で死に、私が魂を回収したことによって、ここに転生させました。何も無いままだと死んでしまうと思うので、スキルを1つ差し上げます。
それじゃあ転生者•蓮、異世界を満喫してください。
                    神より

「は?……死ん、だ。この俺が……あ、そうだ。あのメンヘラ女に殺されたのか……」

 俺は体目当てで1人の女を家に連れ込み、そのまま1夜を過ごした。
 だが、俺が何股もしていることがバレ、逆上して包丁で刺された。

 金で解決しようとしたが、聞く耳なんてまた無かった。メンヘラ女になんかに、あたってしまったのが運の尽きか。

 その時思った。金も、権力も、顔も。全て、大事なところで無意味と化す。
 そんなもの、いつか意味は無くなる。

 この画面が消えると、更に文字の書いた画面が並んでいた。

 名前 式家 蓮

 年齢 16歳

 職業 神定魔術師

 レベル 1

 攻撃100 防御100 素早さ140

 魔法力350 魔力490

 装備 神定槍 

 スキル 神定魔法 レベル補正

 魔法 無し

 SP 0

「ステータス……漫画とかのあれか?」
神とか言う奴に憤りを感じつつ、画面を見つめて俺はスキルをタップした。

「うおっ、なんなんだよ本当に……」
新に出てきた画面には、神定魔法の説明が書かれていた。

 神定魔法

神の定めた魔法を扱うことが出来る。全ての魔法に神の力が宿り、通常の何倍もの威力に引き上げる。術者の腕次第で、大きく変わる。

 どんな魔法か、肝心なところが書いてないじゃねぇか。

「チッ、使えない神だな。」
怒りからからか、恨み言が漏れ出る。

「別に俺は転生なんざ求めてなかった。どうして俺を転生させた、どうしてこんな変な物をくっつけて、こんなところに放り出した。」
そんなことを考えていると、怒りが抑えきれなくなるほど膨れ上がり、次第に腸が煮え繰り返るほどの怒りが溢れ出す。

 俺は日本に戻る。何が何でも、日本人である式家蓮して、日本に戻ってやる。
 このは魔法とやらがあるんだろ?しかも神定魔法ときた。

 なら、そんなことは容易いんじゃないか。

 そこで俺は決めた。

「神を殺そう。」
その瞬間、手には槍が握られた。

 これで神を殺せっていうことか?神が自分を殺す武器を作るなんて、馬鹿なことだ。
 絶対見つけ出して殺してやる。

 あんなクソ神、俺が握りつぶす。

「まず手始めに、強くなって金を手に入れよう。」
どこか街でも探すため、俺は1人平原を歩き出した。

 殺す、殺す、殺す、殺す。殺す、殺す、殺す。
 殺す、殺す、殺す、殺す。殺す、殺す、殺す。
 殺す、殺す、殺す、殺す。殺す、殺す、殺す。
 殺す、殺す、殺す、殺す。殺す、殺す、殺す。

 一歩歩むたび、何か失敗するたびに、神を恨み、憎んだ。
 奪われた俺の日常、奪われた俺の生活。

 全てを奪われた俺には、もう失うものなんて無い。あとは全部を、壊すだけ。

 旅をしている中で、冒険者なんて職業もあったが、カードをもらうだけで何もしていない。ただの通行証として使っている。

 それからも俺は、神を恨みつづけて旅をする。

 神定魔法というのは、思っていたより汎用性が高かった。
 神が選ぶだけあって、御大層な魔法も多いな、魔法の量がそう沢山無いのが難点だ。

 俺は今日も金を稼ぐため、不本意だが盗賊団に入ることにした。

 何かあったらすぐ逃げて、顔を隠してバレないように細心の注意を払った。

 その日の狙いは貴族の令嬢だそうだ。

 その時の俺は、馬車に身を潜めていた。

 ふと、鳥肌が立つ。

 俺が今まで恨みつづけて、殺したいと願ってきた神が間近にいるような、そんな気分になる。
 俺は今すぐにでも飛び出したいのを我慢し、夜になった。

 気を落ち着かせるために森に入り、一眠りして馬車に戻ると、全員が縄で縛られていた。

 何が起こった?神か……いや、神がこんな干渉をするか?
 人間……?殺しに行くか。………やめておこう。

 俺は思う。今はまだ早い、もう少し力をつけよう、と。

 さっさとその場から退散し、次の街にでも行こうと歩み始める。

 後々冷静になって考えてみると、神があんなところにいるはずがなかった。
 でも、少しでも俺の心を安らげるためにも、代わりでいいから殺さなければならない。

「なんで俺がこんな思いをしなきゃいけない……ッ!クソが……」

 俺のは式家蓮。リアルを充実し尽くす、イケメンの高校1年生、のはずだった。

 今日も明日も明後日も、神を殺すためだけに、俺は歩き続ける。

———————————————————————

 蓮が出て来ました。またなんかしでかしそう奴ですね。ソラさんにボコってもらいましょう。

 というわけで、今回が丁度100話目となりました。皆さんの応援あっての作品なので、これからもソラと私の成長を見届けてください。








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