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3章 魔法少女と水の都
仲直り(リアナ視点)
しおりを挟む知らないうちに、ティランに着いていた。
あたしたちはソラと別れ、護衛の依頼達成の手続きをするため、冒険者ギルドに行く。
「ソラのおかげね。ソラがいなかったら、あたしたちはここにいなかった。」
あたしは弱い。あたしのせいで、あたしが弱いせいで。
あたしがもっと強ければ……
あたしに、いろんな魔物を倒せる力があれば。
あたしに、魔物を欺くほどの頭脳があれば。
そんな考えがあたしの大脳を支配して、自然と自嘲の混じった吐息をこぼれた。
「ふふっ、ソラに助けてもらえたのも、わたしたちの日頃の行いが良かったおかげでしょうか?」
エヌは能天気に、そんな戯言を吐く。
「偶然よ。そんなもの。」
さっさと依頼を達成させましょ、そう言って1人歩き出す。
「待って、リアナ。その状態のリアナを放っておくことは出来ない。」
歩き出すあたしの腕をとり、邪魔をしてくる。
「なによ、クレアス。」
あたしは怒気を言葉に込めて、手を振り払おうとした。でも、クレアスの力は強く、振り払うことが出来なかった。
「言ってくれ、何があったんだ?なぜリアナは、そんなに暗い顔をしてるんだ?」
「そのくらい察してよ‼︎」
「そんなの無理だ‼︎」
クレアスは、あたしの叫びを一蹴した。
「無理だ。わたしたちは仲間だ。それでも、心まで読めるわけじゃない。だけど、仲間だからこそ、話せるんじゃないのか?無理にとは言わない、話してくれないか?」
「仲、間……」
そうか、あたしは自分がしてしまったことばかり気にして、自分の言ったことも忘れていたみたいだ。
あたしは大馬鹿ね。
あたしはソラに言ってた。勝手に1人で思い悩まなくても、と。
思い悩んでるのは、あたしの方じゃない。
まったく、あたしの思いはどれだけ浅いものなのよ。
あたしは、あたしの弱さに何だか笑えてきた。
今日は素直になれそうな気がする。
「ごめん。今回はあたしが悪かったわ。」
「やけに素直ね。本当にリアナですか?」
「あなたはあたしを何だと思ってるのよ‼︎」
あたしの渾身のツッコミを、2人は笑って無かったことにしてきた。
素直になるんじゃなかった……
今までの悩みより、クレアスとエヌへの不満の方が大きくなってきたような気がする。
「また今度話すわ。今は気分じゃないし。」
さっきの会話を全て無かったことにして、あたしは改めてそう言って、ギルドに向かう。
「これで仲直りですね。」
「そもそも喧嘩なんてしてないわ。」
「そうだね。」
「何笑ってるのよ。」
またいつも通りの会話が始まり、何気ない日常の一コマに戻る。
今度ソラと会うときは、あんな醜態を晒さないようにしないわね。
———————————————————————
今回は閑話ということで短めです。
この先の部分も書こうと思ったんですが、皆さんのご想像にお任せするということにしました。
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