魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

文字の大きさ
上 下
97 / 681
3章 魔法少女と水の都

93話  魔法少女はギルドに説明に行く

しおりを挟む

 水竜さんが見えなくなって、私はホッと息を吐く。
 ようやく水竜の件が一件落着?して、私は横に寝かせておいたルリィの元に行って、隣に座る。

「さすがの私も、今回は魔力使いすぎたね……」
はぁー、と大きめのため息を吐いてルリィを見る。

 魔力を送ってもいいけどさ、もうすっからかんなんだよね。
 私だって送りたい気持ちは山々なんだけどさぁ、魔力送るのめんどい……いや、物理的に無理だし。

「起きてー、ルリィー。ねぇー、おーい。」
私はぐっすり寝息を立てて寝てるルリィを起こそうと、トントン叩きながら声をかける。

 あの弱2人組の居場所も知らないし、ルリィに起きてもらわないとね、依頼達成も出来ないしね。

 ……依頼、達成?なんで私は依頼を受けてるの?
面白そうだったから……?なんで私はここの街いる?誕生会……そうだ!誕生会だっ。

 そうだ、そうだよ。明後日誕生会じゃん……忘れてた、忘れてたよ。
 って、なら尚更早く起きてもらわないと、えっこれ起きてくれるよね。

「起きてー!ねぇ、起きて!」
いくら声をかけても、ルリィには起きる気配が無い。

 この幸せそうに寝てる顔見てると、無性にイラついてくるんだよね。
 このイラつきは、どうやって抑えればいいと思う?

 私は少しだけど回復した体を起こし、寝てるルリィも立たせた。

 ちょっと、口調が変わるかもしれないけど……

「そろそろ起きてよ‼︎ルリィ‼︎」
ステッキから、指空き手袋の方に魔力を移してルリィの腹に張り手をかました。

 ごめんね、ルリィ。ちょっと我慢して。だいぶ、いや結構痛いと思うから。

 私の手は素早い動きで、ルリィのお腹辺りにドゴォーッ!と魔力が纏わりつくように流れる。

「ゥブゥッォ……ッ!」
血は出てないものの、(そもそも出るような攻撃はしてないからね。魔力をあげただけ)なんか凄い声をあげた。

 だ、大丈夫?えっ、死んでないよね?

「ソラ、ちゃん……なに、ゴフッ……」

「あ、ごめん。やりすぎた。」
その場でヒールで回復させ、座らせた。

 血は出てないけど、唾液が口元に垂れていた。私の必殺張り手、強すぎちゃったかな?

 それから私達は、2人で話し合いをする。

「ソラちゃん酷いよー。ルリィを殴るなんて。」
「殴ってないよ、張り手だよ。」

「おんなじじゃーん!」
私は至極真っ当な笑みを浮かべ、ルリィの言葉をスルーする。

「それはそうとして、水竜は?見当たらないけど……」

「ん?ボッコボコにしたら逃げられた。」
「えー?」
本当のことは言えないので、黙っとくことにする。

 だって水竜さんも、私に話す時少し悩んでたし、私が教えていいことじゃないと思う。
 私がすべきことは、この場をうまく収めて誕生会に出席する……ってか私、行かなきゃいけないの?

 あぁぁぁぁぁもう!頭がぐっちゃぐちゃ。

 そのあとは……そうだ、人神。人神探そう。だってさ、ちょうどここ海。水竜とかいちゃう海な訳。
 その海底に祠がある可能性は捨てきれない。

 ……細かいことは後で考えよう。そうしよう。

「まぁ、水竜の素材があったら、街一つが動きかねないしー、ルリィは逃げてくれてよかったと思うよー。」
ちなみに龍は国が動くよっ、と人差し指を立ててウインクする。

 国が動くよっ、じゃないよ!そんな軽々しく言わないで!

 そういえば、そもそも今回の水竜、倒した判定に入るのかな?苦労したから、欲しいだけど。レベルアップしたいよ?

 神様ー教えてー。…………………教えてくれませんか、そうですか。

 なら私は、ステータスを鑑定でもしてやりますよ。

 ステータス画面を開き、私は画面を見つめる。
はいはい、何も起こりませんね。

「何してるの、ソラちゃん。」
「なんでも。」
そのまま、あの弱2人組を回収してギルドに行く。


「ったく、何しやがんだよほんとに。」
「そうですよ、ルリィ。計画性を持ってください。」

「邪魔だから退いてもらっただけだよー。」
「その割には、お前も退場してたんだろ?」

「そっ、それは…ソラちゃんが規格外なだけ!」
ルリィが叫ぶように反論し、ディッシュと睨み合ってる。

 ねぇ、ルリィ。私を免罪符に使わないでもらえる?

「にしても、よく1人で水竜を相手に出来たな。」
「あははー、ワタシハチョットトクベツデー。」

「……まぁいい。」
ギルドに入るディッシュに続いて、私達もギルドに入った。

 今回は水竜討伐ということで、めちゃくちゃに大事らしいので、ギルマス直々に話し合いの席に座るということで、会議室のような場所に案内される。

 大きめの机に、椅子が8個。4・4で分かれていて、私達は出入り口側。そして私とルリィが正面。
その両脇に、ディッシュとベルクさん。

 目の前には、目を細めた優しそうな雰囲気を持ってる男性、ルリィの前には少しぽちゃっとした感じのこれまた男性。その両脇に、それぞれの部下らしき人が座っている。

「集まったようだね。本題に入ろうか。水竜の件、どうなったんだい?」
その細い目をさらに細くし、私達を睨むように見る。

 ひぃ、私は無罪だ!いや、無実だ!この話し合いの場から、一刻も早く抜け出したい!

 この人、なんでこんなに殺気みたいなの出してるの?コミュ力以前の問題じゃん。

「水竜は、討伐までとはいかなかったですけど、遠くへ逃すことは出来ました。ね、ソラちゃん。」
腐ってもリーダー、こういう対応も慣れてるのか、軽くいなして私に話を振る。

 やめてー、やめてよ。私何も言えないよ?

「あ、うん。そ、そう、だね。」
私がかみかみで答えると、

「ルリィ君。何故その少女に話を振るんだい?」
ぽっちゃり男性が、ルリィを試すように聞く。

「今回水竜討伐に1番貢献したのは、こちらのソラちゃんだからです。この2人は、ソラちゃんの邪魔しかしていませんよ?」

「おいっルリィ!」
「訂正してもらいたい!」

「事実を言ったまでじゃーん?」

「それは、本当のことかい?」
「はい、1人でもランクAの冒険者の言うことが、信じられません?」
「いや、信じよう。」
鋭く細めた目を緩め、優しそうに微笑んだ。

 えっ、ランクA?高くない?

「なので、ソラちゃんの実力は私以上。推定ですが認められさえすれば、Sランクにはなれるでしょう。」

「えっ、はっ?うん?何言ってるの、ルリィ?」
「本当のこと言ってるだけだよ?」
さっきの仕返しと言わんばかりに、惚けた笑顔で笑ってる。

「あとソラちゃん。討伐の証拠、あるでしょ?」
「え?なんのこと?」
「鱗だよ、鱗。それがあれば、十分なお金も入るし、しかも討伐認定もされるよ?」
ルリィは私の耳元で、こう説明した。

 竜の討伐の判定基準はこうだ。

 1つはもちろん、核石を持ち帰る。
 2つ目は、竜の死体を持ち帰る。
 3つ目は、一定量以上の鱗を持ち帰る。

 竜は再生力が強いらしく、一部じゃ討伐とはならないらしい。
 そして、鱗を生きたまま剥ぎ取るのは、竜を殺すよりも難しいらしい。

 それは私もなんとなく分かる気がする。あんな力の塊みたいなやつ、生きたまま取ろうとなんて思えない。
 死ぬ気でぶった斬ることが出来ても、綺麗に取るのは無理だと思う。

「だから、鱗出したら?」
「あっ、うん。」
言われるがまま、戦いの最中に手に入れた鱗を出す。

 まぁ、魔力の模造品なんだけどね。効果は一緒だし、あのままだったら倒せてた。
 ん?なんかステッキに入ってる。

 それも一緒に取り出すと、鱗の中心に赤黒くてどくん、どくん、と動くるものがある。

「……ソラと言ったかい?来てもらえるかな。」

「私は何もしてなーーい‼︎」

———————————————————————

 何故か鱗に混じって見つかった、ドクドクと動く赤黒い物体。一体なんの臓器なんでしょう。
 真相は、あと2、3話あと。











しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。

みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい! だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

処理中です...