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3章 魔法少女と水の都
92話 魔法少女は色々知る(前編)
しおりを挟む「は?」
謎の声が聞こえてきて、私はそんな情けない声が漏れてしまった。
え、娘?私のこと……?というか、誰?
「我だ。目の前にいるだろう。」
「………水竜⁉︎」
「そうだ。」
「……はっ、はぁぁぁぁぁぁ?」
私の叫びから10分くらい、軽く説明を受け、ようやく目の前の現実を受け入れることが出来た。
何を説明されたかって?覚えてないんだよね、それが。
いや、私だって突然のことだし、そんないきなり水竜が喋り出したんだから、こんな風になるのも無理はない。
いやさ、特に凄いことを言ってたわけでは無いと思うよ?だって、意識が混濁してる時にそんな話する?
だから私は、改めて?これを聞くことにする。
「水竜さんに、名前はあるんですか?」
「どこから来たか、かぁ……?……っ、汝。なんと言った?」
「だから、名前はあるの?」
長生きしてるからか、耳が遠くなってるみたいだ。
「無い。付けるものなどいない。そもそも、1竜に名などあるか。」
「そうですか。」
ボケたわけじゃないのに、なんでそんな眼を細めてるの。
っていうかそれより……
「なんで小さくなってるの?」
何故か水竜は、私と同じくらいの大きさに変わっていた。別に人型にはなって無いけど。
人型だったら夢あったのにな~。
「汝、何を残念そうに見ている。」
「なんでもありませーん。」
私は子供のように体育座りをして、「あびゃ~」って感じの表情をする。
「その惚けたような顔はやめんか。」
「ふぁーい。」
ビシッと手を挙げて、表情は変えない。
「先生質問でーす。先生は、なんでこんなところいるんですかー?」
「先生はなぁ……って先生じゃない!いい加減ふざけるのをやめんか!」
おぉ、ナイスノリツッコミ。芸人目指せるよ、芸人。知らないけど。
「その質問は最初からせい。」
そういうと、渋々な感じで語り始めた。
「我は、まだ人間と魔人が争っていた頃から生きている、謂わば古竜というものだ。」
「先生ー、古竜ってなんですか?」
「だから先生じゃない!」
こっちをきっと睨んで、呆れた表情に変わる。
今、「こいつに何言っても無駄だな」って思ったでしょ!
いいよ、やってやろうじゃない。真面目に言ってあげますよ。
「古竜とは、言葉の通り古くから生きている竜のこと。竜は日に日に、力の容量が増えていく。大抵は1000年程経ったら、古竜と呼ばれる。」
短めに説明した水竜さんは、またもや私を呆れ顔で見つめる。
呆れたいのはこっちだよ!だってさ、それ。何もしなくても、強くなるってことじゃん。
SP貯めて、レベル上げしなきゃ行けない私に対して、何もしなくても強くなれるってそれ、チートじゃん。
「チート!チート!エコ贔屓だっ、チート!平等社会を要求するぅ!」
私は座ったまま、頭上で手をパチパチさせる。
「変な歌を作るな!第一そのチートとはなんだ?」
「チートはチートだ!ズルい!私だって、そんな体に生まれたかった。」
たしかルリィが、竜(龍)は、神に最も近い種族で、神から力をもらってるとかなんとか。
「だってさ、竜って神に関係してるわけでしょ?力もらっちゃってるわけでしょ?それ、生態系のトップじゃん、ヒエラルキー頂上登ってるじゃん。」
私は異世界で溜まってきたストレスと、前世の現代社会に対する不満を、目の前の理不尽に思いっきり吐き捨てる。
それってただ吐き出したかってだけじゃないかって?違う違う、文句を言いたかったんだよ。
ん?それを言ったら、神様から直々に力をもらったお前はなんなんだよって、私人間。貰う力は人間基準。
「よく分からんことを言うな。汝の言うチートに沿って言うならば、汝の方がチートではなかろうか?」
ヤケになって叫び出す私をよそに、水竜はよく分からないことを言う。
いや、水竜の方がチートでしょ。
みんなーどっちの方がチートか、アンケート取るよー。
…………さいですか。
「魔法というのは本来、人間が使えるような代物では無い。」
「えっ、どういうこと?」
シンプルに疑問に思い、私は叫ぶのをやめて真剣に聞くことにする。
「まず、この説明をするには神に触れることになるが、汝には神の力を感じる。言うてもようであろう。」
そう言って、水竜さんは神について語り始めた。
神の力が感じる、とは神様チートのことだと思う。実際私も、私に似た魔力を水竜から感じた。
だから水竜は、私の魔力を扱えたし、私も水竜の鱗に干渉できた。
流石の私も、人に勝手に魔力を扱われるほどやわな魔力は持ってない。
「世界には5柱の神がおる。」
そう言って語り出した、5柱の神々。
1柱、人神。人を司る、人を信仰もって管轄する神。
2柱、魔神。魔族、魔物を司る、異形な力を持つ種族を、圧倒的な力をもって管轄する神。
3柱、霊神。妖精、精霊を司る、人でも魔族でも無い、特殊な存在を平和をもって管轄する神。
4柱、龍神。竜、龍を司る、絶対的な覇者として管轄する神。
そして、最後に。
5柱、創滅神。その圧倒的な権力と武力をもってこの世界を作り、全てを支配する神。
この5柱が、この世界にいる神々。
「それぞれが、それぞれに対抗して生きながらえるように、力と住処を与えた。」
私は「ほうほう」と相槌を打ちながら、話を聞いていく。
この異世界には、5柱神がいるんだね。初めて知った。いつもはノリのいい、適当な神様からしか連絡きてないけど、あれは何神なんだろうね。
「人神は空力、魔神は魔力、精霊は精霊術という形で自らが力を与え、龍神は脈流で、さまざまな力を経由することが出来る。」
それが日が経つごとに容量が増える理由だ、と言って力の説明をした。
後半3つは大体分かったよ?人は空力が使える?そんなの見たことないよ。
「ねぇ、空力なんて見たことないよ。」
「それはそうだ。何故ならば、空力はほとんど絶滅しているからな。」
———————————————————————
解説編、みたいな感じです。これがないと、ソラさんの神様に会う目標は永遠に叶いません。(多分)
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