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3章 魔法少女と水の都

87話  魔法少女は水竜と戦う

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「なんでそんなに急ぐのー?作戦立てるんじゃないの?」
「1人で突っ走ってんじゃねえ!」
「単独行動は、身の破壊を招きますよ。」
私に着いてきて、それぞれの言葉をかける。

 説明してる暇は……少ししか無い。手早く説明しますか……

「水竜は何故かこっちの居場所が分かるみたいで、こっちを魔力ダダ漏れで睨んできてるの!」
私は走りながらも、今起こってることを掻い摘んで説明する。

 我ながら、上手くまとめられてると思う。

「だから、隙なんて生まれない。1回見つかったらそれで終わり。もう終わったの。」
その言葉を聞いて、諦めたように私に言葉を浴びせるのをやめた。

「ボク達が、安易にテリトリーに踏み込んだ所為で……不覚だったな。」

 いや、そんなこと言ってる暇無いから。喋る前にまず、足動かそう。

「でも、ルリィとソラちゃんが主軸で動くのは変わらないよ?」
精霊の力のおかげか、体を光らせながら私と並走してくる。

 いくら加減してるからといって、まさか私の速さに追いつけるなんて……精霊術って、やっぱり不思議だね。

「ルリィは接近戦が苦手だから、うまい具合に移動させてね。」

「そんなこと言われても……」
私はステッキを握りしめ、被ったフードを取り外す。潮風が吹き抜け、顔を撫でる。

「ここだと被害が大きくなる、あっちの方に移動しよう。」
ベルクさんの提案を飲み、海岸線に沿って走り、さっきみたいに2人を抱えて小島のようなところに移動した。

 これからはもう逃げられない。どれだけ逃げたいと思っても、ここまで来てしまったんだから、逃げることは出来ない。

 ベルクさんの言う通り、綺麗な鱗をしている水竜だけど、それに似合わない形相をしている。

「行くよ。これに勝てなかったら、私達死んじゃうんだから。」
水竜にステッキを向け、構える。

「リーダーはルリィなのに!」
「いつの間にかリーダー感出してきたな。」
「そんなのどうでもいいだろう。」
3人で私になんか文句言ってきてるような気がするけど、よく聞こえなかった。

「どうでもよく無い!精霊よ、ルリィの呼びかけに応じて!ルリィ大精霊の加護を!」
そう言った途端、ルリィの体に蒼白い光がパッと灯る。

「やった、当たり!蒼撃の大精霊アテック!」
ルリィは、ぴょんぴょん飛び跳ねて喜ぶ。

 蒼撃の大精霊アテ……なんだって?よく分かんないけど、結局やることは変わらない。

「最終手段はミョルスカイっと。」
「何か言ったか?」
「なんでも」と答えて空をかけた。この光景にさっきので慣れてしまったのか、呆れた目だけを向けて攻撃の隙を見定める。

 まずは、様子見でこれをっと。

「これはどう?万属剣!」
私の周りにはいつも通り剣が湧き出てきて、綺麗に並べられる。

「グギャァァァァァ゛‼︎」
巨大で細長い水竜は、四方に広がる水のレーザーらしきものを撃つ。

 危ないっ!なにその技?チートだよ、チート!

 それをチートである私が言うのである。

「ルリィの契約の精霊よ、ルリィの周りの水を、無害化して!」
レーザーがルリィに近づくと、ただの水に戻った。

 これが精霊の力?超常現象にしか見えないんですけど。

「ソラちゃん!よそ見しちゃだめ!」

「あ、ごめん。」
私はもう一度、目の前の水竜と対面する。

 いざ目の前にすると、ちょっと武者震いが……なんて、言ってられないよね。

「一斉に、放て!」
剣達は、風を斬りながら飛び去る剣は、綺麗な軌道を描いて水竜に突き刺さらんとする。

 でも、その強靭な鱗を突破することは出来なかった。私の剣を、煩わしそうに尻尾を振って壊すていく。

 はぁ?そんなのあり?まぁ、万属剣が効くとは一ミリたりとも思ってなかったけど、流石に完封は心にくるものがあるよ。

「契約の精霊よ、あいつに1発喰らわせなさい!ソラちゃんっ、これに合わせて攻撃して!」
そう言うと、ルリィの手から蒼白い炎が放たれる。

 これに合わせろってこと?よし、トールでやってみますか。

 私はトールをギュッと凝縮させ、はち切れそうなほど酷く雷が鳴り響く。
 これをどこぞの螺○丸!みたいな風に、ドーンって当ててやろう!

「ギュゥアァァァァァァァァァ゛」
蒼白い謎の炎が当たった瞬間、その部分の鱗が剥げる。

 私が驚いてると、「今がチャンスだ!」とか言ってディッシュが武器を飛ばした。

「ちょっ、邪魔!攻撃して来ないで。」
飛んでくる武器を足蹴りして、その勢いを使って水竜の鱗が剥げた部分に腕を伸ばした。

 意外と役に立ってくれたね。攻撃には全く役に立たないけど。

「ギュォォォォォォォォ゛ォ゛」
トールを固めたその雷は、さっきの万属剣とは違って直撃する。

 よっし、当たった!
……そして、精霊術の強さを知ったよ。

「ォォォォォォォォ゛ォ゛」

 ……いつまで叫んでるの、この水竜。
おーい、水竜さん?あ、のー、いつまで叫ぶおつもりで?

「ソラちゃん、伏せて!」
「伏せろって、どこに伏せればいいの!伏せる場所ないよ!」

「とにかく!あの弱2人組どうでもいいけど、ソラちゃんを失ったら勝てない!」

 なに、弱2人組って。ディッシュとベルクさんのこと?確かに弱いけど、パーティーのメンバーを弱いとか言っていいものなの?

 私は言われるがまま、すぐに空中歩行を解除して2人して地に伏せる。

「おい?なにやってんだ?」

「ディッシュが入るスペースは無いから。」
「だからなんのことだ。」

「ルリィ、独断で動きすぎだ。説明をしろ。」
「えー、そんな時間無いよぉ。」
そんな風にさっきみたいに口喧嘩をしてると、隣に伏してるルリィが、「目、瞑って」と言うので言う通りにする。

「水竜と戦うって言うのに、下調べも無しに挑むバカたちは、あそこで伸びてればいいのー」
弾んだようにそう口にしたルリィを、小悪魔系の人間なんだと感じた。

「おい、だからなんなん……ぁぁ……」
バタン、と2つの何かが倒れる音がする。

「目、絶対開けちゃダメだからね。」
「……分かってる。」
確認したい気持ちを抑え、私は眼をギュッと瞑る。

 しばらくすると「もういいよ」と聞こえたので目を開ける。

 そこには、よく伝説とかで聞くような竜が

———————————————————————

 水竜戦、始まりました。
即刻戦力外通知を送られたサブ2人、未知数な精霊術と、未知数なんてものじゃない魔法少女。水竜には勝てるのでしょうか?













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